ボールタッチ練習の考え方|「耳より目」が幼いうちは効果的な理由

練習・上達法

「うちの子はボールタッチが硬い気がする」。そう感じて、練習メニューを探している保護者の方も多いと思います。ボールタッチが柔らかい子と硬い子の違いは、練習量だけでは説明できません。

この記事では、指導現場で長年見てきた中で感じている、タッチの感覚を左右するものと、幼いうちは「耳より目」で学ぶ方が効果的な理由をお伝えします。上手な子の真似やプロの動画が役立つ理由、緊張した状態での練習の落とし穴にも触れます。家庭で何を意識して見守ればいいかが見えてくるはずです。


まず、教科書的な答えを並べます

まず、よく言われる考え方を整理します。

繰り返しの練習で身につく

反復練習によって、ボールへの当たり方が自然と体に馴染んでいくとされています。

インサイド、アウトサイド、足裏など、部位ごとに練習する

それぞれの部位で違う感覚を意識的に練習することが推奨されます。

力を抜くことが大切

力んでいるとボールが跳ねやすく、力を抜くことでタッチが柔らかくなると言われています。

コーンやマーカーを使った複合練習

タッチと同時に判断も必要な練習をすることで、実戦に近い形で身につくとされています。

これらは正しい面があります。ただ、私が現場で見てきた中で、もう少し掘り下げて感じていることがあります。


タッチの感覚を左右するもの

ボールタッチの柔らかさは、いくつかの要素で変わってきます。

筋力の柔らかさ、膝の使い方、足首の柔らかさ。これらが組み合わさって、ボールへの当たり方が決まっていきます。

体が硬いと、ボールへの衝撃をうまく吸収できず、タッチが硬くなりがちです。逆に、関節や筋肉がしなやかに使えると、ボールが足に吸い付くような感覚が生まれやすくなります。


上手な子の真似、プロの動画が効果的な理由

こういった感覚的な部分は、言葉で説明するより、見て真似ることの方が効果的だと感じています。

基本的には、上手な子の真似をする、またはプロの動画を見ることをおすすめしています。

特に、子どもが幼いうちは、この方法が有効です。

幼いうちは、耳から入る情報より、目から入る情報の方が、無意識に体に取り込まれやすい傾向があります。「膝を柔らかく使って」と言葉で説明するより、実際に柔らかく使っている選手の映像を見せる方が、感覚として伝わりやすいのです。

このことを、ブラジルで強く実感したことがあります。滞在先の近所に、サッカーが大好きな少年がいました。ブラジルの学校は午前か午後だけの授業で、残りの時間は自由でした。彼はいつも「遊ぼう」と誘ってくれて、家の前で裸足でサッカーをしました。足から血が出ていることもありましたが、本人は気にしていませんでした。ただサッカーが好きで、ボールに触れ続けていました。

彼のボールタッチは、誰かに理論を教わったものではありませんでした。上手い選手を見て、真似て、繰り返す。それだけで、柔らかいタッチが自然と身についていました。後に、彼がブラジルの名門クラブ、クルゼイロの一員になったと聞きました。

言葉で「力を抜いて」と説明されるより、好きな選手のプレーを繰り返し見て、真似したくなる気持ちの方が、幼いうちは強く体に残るのだと思います。

言葉での説明は、ある程度成長してから、本人が理論的に理解できるようになってから効果を発揮します。幼い時期は、まず見て、真似て、体で覚える。そのプロセスの方が、後々のことを考えても有効だと思っています。


緊張した状態での練習が招く危険

もう一つ、大切にしていることがあります。

姿勢や関節の角度は、練習の雰囲気によって大きく変わります。緊張感が高まると、体に力が入った状態になりやすい。

力が入った状態でボールタッチの練習を続けると、実際の試合でミスにつながったり、怪我をする恐れがあります。

だからこそ、タッチ練習を強要することは絶対にしてはいけないと考えています。

「もっとちゃんとやりなさい」「集中しなさい」と厳しく言えば言うほど、子どもの体は緊張し、逆効果になることがあります。楽しい雰囲気の中でリラックスしてボールに触れることの方が、結果的に良いタッチが身につきます。


親にできること

子どものボールタッチ練習を見守る時、意識してほしいことがあります。

言葉で細かく指摘するより、上手な選手のプレーを一緒に見る時間を作ってみてください。プロの試合や動画を見ながら、「この選手のタッチ、柔らかいね」と話すだけでも、子どもの中に無意識のイメージが蓄積されていきます。

そして、練習中に強い口調で指導しないこと。緊張は、上達を妨げるだけでなく、怪我にもつながります。


まとめ

ボールタッチの柔らかさは、筋力、膝の使い方、足首の柔らかさなど、体の使い方によって変わってきます。

幼いうちは、言葉での説明より、上手な選手の動きを見て真似ることの方が効果的です。目から入る情報が、無意識のうちに体に染み込んでいきます。

そして、緊張した状態での練習は、ミスや怪我につながる恐れがあるため、強要は絶対に避けるべきです。

お子さんのボールタッチを伸ばしたいなら、まず一緒にプロの試合を見る時間を作ってみてください。そして、リラックスした雰囲気の中でボールに触れられる環境を、大切にしてあげてください。


【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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