サッカーの判断力を伸ばしたい。そう考えて、判断力トレーニングと呼ばれる練習メニューを探す保護者は多いと思います。
でも、判断力の本質を考えると、練習メニューだけの話ではないと感じています。
この記事では、よく挙げられる練習方法を整理したうえで、私が実際の指導現場でやっていることと、我が家での失敗談から、判断力を育てる考え方をお伝えします。
まず、教科書的な答えを並べます
よく挙げられる練習方法を整理します。
- パスかドリブルか、シュートか展開か。選択肢がある状況をつくり、その場で選ぶ練習
- 時間制限をつけて、素早く判断する力を養う練習
- 判断力は実戦の中で磨かれるという考え方から、ミニゲームを多く取り入れる方法
- プロの試合映像を見て、「この場面でどう判断するか」を考える練習
どれも間違っていないと思います。ただ、判断力の本質を考えると、もう少し深い話があると感じています。
私は、練習メニューをその場で決めています
私自身、練習メニューを事前にきっちり決めておくことは、あまりありません。
「こういうチームにしたい」という理想から逆算して、メニューを組み立てるやり方もあると思います。でも私は、子どもたちに自主的になってほしいので、現場でその都度決めることが多いです。
練習前に集まったとき、「今日、何やりたい?」と聞きます。
「わかんない」と返ってくることもあります。そのときは「じゃあ考えて」と伝えます。考えないままにするのは、良くないと思っているからです。
一方で、「シュート」と答えて、「なんで?」と聞くと理由まで言える子もいます。理由があれば、それをやろうということになります。
「わかんない」としか言えないのと、理由まで言えるのとでは、大きな差があります。この差が、判断力そのものだと思っています。
特定の子だけに聞くことは避けています
この問いかけで気をつけているのは、特定の一人だけに聞き続けないことです。
答えられずに終わってしまうと、その子にとって嫌な経験になってしまいます。
なので、誰かしら反応してくれる子に合わせたり、誰も言わなければ、誰かが言うまで待ったりしています。特定の子を追い詰める形にはしたくないと思っています。
私自身、良い例ではない失敗もあります
正直に言うと、私自身、子どもがすぐ決められないときに、「そんなんじゃ試合に出れないぞ」と言ってしまうことがあります。
良い例だとは思っていません。判断力がないことを指摘しても、判断力は育たないからです。
わかっていても、つい言ってしまう。そのくらい、判断を急かしたくなる場面は多いということでもあります。
意見を求めない指導も見たことがあります
以前、ある指導の現場を見て、感じたことがあります。
メニューも実績も申し分ないのに、子どもにも、まわりの大人にも、意見を求める場面をほとんど見たことがない指導でした。
指導者が自分の中で答えを出し、その通りに動かす。教えられている側は、考える必要がなくなっていくように見えました。
これは特定の誰かを責めたい話ではありません。自分自身も、③のように急かしてしまうことがあります。意見を求めない指導と、急かしてしまう指導は、根っこが近いのかもしれないと思っています。
学校教育で判断力は身につきにくいと感じています
もう一つ、感じていることがあります。
学校教育では、良い判断力が身につくとは思っていません。
やらされること、先生の期待に応えること、親の期待に応えること。それによって想像力は育つかもしれませんが、判断力は偏っていくと感じています。
ミスを恐れたり、間違いをしないようにする雰囲気の中で育つと、間違えることに強い抵抗を持つようになります。
だからこそ、チームの中では「間違えることは悪いことじゃない」と思ってもらえるよう工夫しています。
判断とは「境界線を引くこと」
サッカーの判断とは、いくつかある選択肢の中から、時間内に一つを選ぶことです。
例えば、「判断とは、境界線の右側か左側かを選ぶこと」だとすると、その境界線をどこに引くのかが問われます。
その境界線を引く力を育てることも、判断力を育てることにつながると思っています。
日常のあらゆる質問が判断力を育てる
境界線を引く練習は、サッカーの中だけで行うものではありません。
「今日の練習、何するの?」「そもそも練習やるの?」「なんでやるの?」「何食べたいの?」「どこ行きたいの?」「誰が好きなの?」
これら全ての問いを考えることが、境界線を引く力を育てることにつながるのではないかと思っています。
サッカーとは関係のない質問に見えるかもしれません。でも「自分はどう思うか」を考え、答えを選ぶという行為そのものが、判断力の土台になっています。
親にできること
子どもの判断力を育てたいなら、サッカーの練習メニューだけを考える必要はありません。
日常の中で、たくさん質問してあげてください。
「今日何食べたい?」「どこ行きたい?」小さな質問でも構いません。
子ども自身が考えて答える機会を、日々の中に増やしていくこと。それが、結果的にサッカーの判断力にもつながっていきます。
まとめ
サッカーの判断力は、アドリブ力に近いものだと思っています。パターンを覚えさせるだけの練習では、本当の判断力は身につきません。
私自身、練習は事前に決めきらず、その場で子どもたちに聞いて決めることが多いです。特定の子を追い詰めないよう気をつけながら、それでも急かしてしまう失敗もあります。
判断とは、いくつかの選択肢の中から境界線を引いて一つを選ぶこと。その力は、サッカーの練習の中だけでなく、日常のあらゆる場面で育てられます。
「今日の練習何する?」も「今日何食べたい?」も、本質的には同じ問いです。子どもにたくさん質問してあげてください。それが、判断力を育てる一番の自主練かもしれません。
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