試合に出られず辞める子が多いのは保護者のせいではない|普及・育成・強化から考える

コラム

試合に出られない我が子を見て、サッカーを辞めたいと言い出さないか心配になっていませんか。

SNSでも、同じ悩みを抱える保護者の声をよく見かけます。先に伝えたいのは、これは保護者の努力不足ではないということです。

この記事では「普及・育成・強化」という物差しで、試合に出られない問題を整理します。25年以上サッカーに関わってきたコーチ・パパとして、考えと、辞める前にできることをお伝えします。

試合に出られず辞める子が多いのはなぜか

試合に出られず悩む保護者の投稿は、とても多いと感じます。

私が気になるのは、出番の数そのものより、チームが何を目指しているのかが見えにくいことです。

勝ちたい気持ち、育てたい気持ち、楽しませたい気持ち。これらが整理されないまま混ざると、試合に出られない子が置いていかれやすくなります。そう見えるケースが多いです。

もちろんチームごとに事情は違います。ただ、保護者の頑張りが足りないから出られないわけではありません。

サッカーの現場を考える3つの物差し

サッカーの現場は「普及」「育成」「強化」で考えると整理しやすくなります。

普及

サッカーの楽しさを知り、楽しみ、続けたい、見たいと思う。そんな状態にもっていくことです。上手い下手では測りません。

育成

サッカー的に成長することです。技術や戦術理解だけでなく、メンタル、社会性、人間性、モラル、常識なども含みます。

強化

より高いレベルに向かうためのトレーニングです。

この3つに、はっきりした線引きはありません。グラデーションのようにつながっています。だから現場では難しいのです。

小学生は「普及」が土台だと私は考えています

私の考えでは、小学生は全部「普及」です。もっと言えば、プロになる前の年代は全部、普及と隣り合わせだと思っています。

だから、サッカーが嫌いになる、楽しくなくなる、ということはあってはなりません。

試合に出られない日が続けば、子どもがサッカーから離れていくのは自然な流れです。私は、出さない側の問題だと考えています。

ただ、指導者を責めて終わりにはしたくありません。普及・育成・強化を分けて考える機会や、学ぶ場が少ない。つまり指導者の勉強不足が大きいと感じています。

私が「楽しくない」を軽く見られない理由

私の息子は、小学3年生のときにサッカーが楽しくなくなりました。

大人の目から見ても、息子はコーチの顔色をうかがってプレーを選んでいました。5年生になって振り返ったとき、息子は当時のことを「トラウマ」と話しました。

だから私は、自分でコーチを始めました。

もう一つ、忘れられない経験があります。25年以上前、指導者として初めて受け持った子どもたちは、半分が中学でサッカーを続けませんでした。私は今でも、それは自分のせいだと思っています。

私が見てきた子の中にも、「頑張っても試合に出られないから楽しくない」と話した子がいました。

この言葉は、保護者の努力不足とは別の問題を示していると思います。

私のチームでやっていること

私がコーチに入ってから、選手はできるだけ同じ時間、試合に出すようにしています。

4年生まではほぼ同じ時間です。

5・6年生は、学年をまとめたU12チームになります。年間の大会のうち、勝ちを目指すのは2つだけと決めています。それ以外の大会は全員がほぼ同じ時間出ます。

私が入る前は、かなり偏っていました。私が関わっていない学年も同じ状況なので、言い続けています。

少しずつですが、変わってきていると感じています。

出場時間をそろえるだけでは足りない

ただ、時間をそろえるだけでは足りないとも感じています。

指導者の中には、全員出すことに納得できていない人もいます。「全員出す」と決めても、1分だけ出してオッケー、という受け止め方になることもあります。

大切なのは、出場時間の数字より、その子が試合の中で成長し、楽しめているかどうかです。

一方で、息子が5年生のときのヘッドコーチは、みんなで話をした上で、この考え方を取り入れてくれました。

その学年は、決して強豪ではない地方のチームでしたが、県大会で過去最高の成績を出しました。

全員を出すことと、勝つことは、両立しないわけではないと感じた経験です。

自分のチームがどんなタイプか見てみる

次の2点は、確認してみる価値があります。

・勝ちを目指す場面と、全員が楽しむ場面が分かれているか
・出場機会の考え方を、指導者から聞けるか

運営の形でも違いがあります。

保護者が支える少年団は、中に入って変えていく道もありますが、相当な力が要ります。

指導者が仕事として運営しているチームは、方針がはっきり示されていて、基本的に変わりません。試合に出たいなら、移籍も選択肢です。ただ、本人が楽しんでいる場合もあるので、決めるのは本人です。

辞めたいと言われたら、辞める前にできること

1. なぜ辞めたいのかを聞く

試合に出られないことが本当の理由か、一緒に深掘りします。

2. 方法の選択肢を並べる

指導者と話す、他チームの体験に参加する、移籍する。選べる道はいくつかあります。

3. 辞めた先に起こることを一緒に考える

最後は、本人が強い気持ちで決めることが大切です。

親が気をつけたいこと

他の子とは比べません。比べるなら、以前のその子です。

試合後に、悪かったプレーを親から振り返るのは控えます。本人から聞いてきたときは、答えて大丈夫です。

まとめ

試合に出られず辞める子が多いのは、保護者の努力不足ではありません。普及・育成・強化が整理されていない現場の問題が大きいと、私は考えています。

保護者のみなさんは、自分のチームの方針を確認し、子どもの気持ちを深掘りすることから始められます。

私自身、息子の経験と、最初に教えた子たちの経験から、コーチとして全員をできるだけ同じ時間出すと決めました。少しずつチームが変わってきたと感じています。

まず今日は、お子さんに「サッカー、今どう?」と聞いてみてください。

悩んでいるときは、そのままで大丈夫です。落ち着いてから、できることを一緒に考えていきましょう。

【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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