サッカーを辞めたいと言われた時の親の対応|17人を担当した指導者が考えたこと

親のサポート術

私が最初に担当した学年は、17人近くいました。途中で3人が辞め、卒団後に中学でサッカーを続けたのは半分ほどでした。

当時の私には、それが理解できませんでした。自分が中学生の頃は、辞めるという選択肢を考えたことすらなかったからです。

この記事では、「サッカーを辞めたい」と言われたときに親ができることを、辞めていく子を何人も見送ってきた立場から書きます。突然そう言われて、どう返せばいいか分からない方に向けた内容です。

「辞めたい」は、本当に辞めたいとは限らない

子どもの「辞めたい」には、いろいろな意味が混ざっています。

試合に出られなくて悔しい。コーチに怒られた。チームメイトとうまくいっていない。練習がきつい。自信を失っている。

この場合、本当に辞めたいのではなく、「今の苦しさから逃れたい」という気持ちが、その言葉になって出てきていることがあります。

だから、親が最初にやることは説得ではありません。

まず、話を聞くことです。

理由より先に、気持ちを聞く

多くの場合、親はこう聞いてしまいます。

「なんで辞めたいの?」

でも子どもは、うまく説明できません。理由を言語化できていないことのほうが多いからです。

先に聞いてほしいのは、理由ではなく気持ちのほうです。

何が一番つらい? 最近、どんな時が嫌だった? どんな気持ちで練習に行ってる?

こういう聞き方のほうが、本音が出やすくなります。子ども自身も、話しながら自分の気持ちを整理していきます。

担当した17人のうち、半分は中学でサッカーをやめました

自分が最初に担当した学年は、17人近くいました。2年生から5年生まで、一緒に過ごしました。

途中で3人が辞めました。そして卒団したあと、中学でサッカー部に入ったのは半分ほどで、残りは続けませんでした。

当時の自分には、それが理解できませんでした。自分が中学生の頃は、サッカーを辞めるという選択肢を考えたことすらなかったからです。

だから、こう思いました。

自分が、サッカーを楽しいものとして伝えきれなかったんじゃないか。

今はもう少し違う見方もしています。子どもには子どもの人生があって、他に夢中になれるものが見つかっただけの子もいたはずです。

ただ、あのとき「子どものせいではない」と考えられたことは、その後の自分の指導のしかたを変えました。原因を子どもの側に置かなかったから、自分のやり方を見直すことができました。

親がやってしまいがちな3つの対応

「せっかく続けてきたのに」

親の目線では当然の気持ちです。ただ子どもには、「自分の気持ちを分かってもらえない」と伝わります。ここまでの時間の話をされると、子どもは自分の今の気持ちを引っ込めます。

「辞めるなんて根性がない」

たいていの場合、問題は根性ではありません。この一言で本当の原因が隠れてしまい、何が起きていたのか誰も分からないまま終わります。

その場で結論を出す

「分かった、辞めよう」も「絶対に辞めちゃダメ」も、どちらも早すぎます。言われた直後は、親も動揺しています。判断に向いている状態ではありません。

続けるか辞めるかより、大切なこと

実は、「サッカーを続けたか」よりも、「自分で考えて決めたか」のほうが、あとに残ります。

親が無理に続けさせても、子どもは納得していません。かといって、勢いで辞めると後から後悔することもあります。

だから、なぜ辞めたいのか。本当はどうしたいのか。他に選べる形はないのか。この3つを一緒に考える時間が要ります。

休む、という選択肢もあります。辞めると休むの間には、けっこう広い余白があります。

現場で見てきた「辞めたい」の正体

25年以上サッカーの現場に関わってきて感じるのは、子どもが辞めたくなる原因の多くは、サッカーそのものではないということです。

人間関係。評価への不満。自信を失っていること。伸びている実感がないこと。

背景にあるのは、たいていこのあたりです。

逆に言えば、そこが解決すると再び前向きになる子も少なくありません。だから「辞めたい」という言葉だけを見て判断するのは、もったいないと思っています。

引き止めなくても、大丈夫です

「辞めたい」の裏には、たいてい別の言葉があります。しんどい、面白くない、うまくなれない、居場所がない。まずそこを聞き取れると、対応が変わります。

すぐに答えを出さなくていいと分かるだけでも、親のほうの気持ちが軽くなります。

私は、17人のうち半分が続けなかったとき、子どものせいだとは思いませんでした。自分が楽しいものとして伝えきれなかったんだろう、と考えました。あの受け止め方をしたことで、その後の関わり方が変わりました。

今日できることは、理由を問い詰めないことです。「そっか」と一度受け取って、数日おいてから「何がいちばんしんどい?」と聞いてみてください。

そして、辞めたとしても、サッカーで得たものは消えません。それはたぶん、続けるかどうかとは別の話です。

【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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