子どもがサッカーをしている今、本当に大切にすべきことは何なのか。技術を磨くことか、試合に勝つことか、上のチームを目指すことか。目の前の結果を追いかけているうちに、一番大事なことを見失っていないか。そんな問いを持っている方に向けて書きました。
この記事は、「他の子と比べてしまう」という悩みへの、そして子どものサッカーとの向き合い方全体への、私なりの答えです。25年以上の指導でたどり着いた、ジュニア年代で本当に大切なことをお伝えします。
ジュニア年代で大切だと、一般的に言われること
まず、よく言われることを整理します。
技術の基礎を身につける
ゴールデンエイジと呼ばれるこの時期に、ボール扱いの基礎を固めることが大切とされます。
サッカーを好きになる
何より、サッカーを楽しみ、好きになることが、その後の継続につながると言われます。
勝ち負けにこだわりすぎない
目先の勝利より、長期的な成長を優先すべきだとされます。
自分で考える力を育てる
指示待ちではなく、自分で判断してプレーする力が重要だとされます。
これらは、どれも大切です。このサイトでも繰り返し書いてきました。ただ、私がこれらの根っこで一番大切にしていることは、もう少し大きな話です。
サッカーは、社会の縮図
私は、サッカーというスポーツを、社会の縮図だと考えてきました。
正確に言えば、指導者として関わる中で、そう学んできました。
サッカーの中には、社会で起きることのほとんどが詰まっています。仲間と協力すること。意見がぶつかること。役割を分担すること。うまくいかない時に工夫すること。勝つ喜びと、負ける悔しさ。理不尽なことも起きるし、努力が報われないこともある。
一つのピッチの上で、子どもたちは、社会で経験することの縮図を、繰り返し体験しています。
だから私は、サッカーは社会で生きる力、すなわち社会力を身につけられるスポーツだと考えてきました。ジュニア年代で本当に大切なのは、うまくなることそのものより、サッカーを通してこの「社会で生きる力」を育てることだと思っています。
技術は、その手段でもある
こう言うと、「じゃあ技術はどうでもいいのか」と思われるかもしれません。そうではありません。
技術を身につける過程そのものが、社会で生きる力を育てます。
できないことに向き合う。工夫する。続ける。うまくなった喜びを味わう。仲間と高め合う。技術の習得は、その過程で、忍耐、工夫、継続、協調といった力を子どもに与えます。
だから、技術を磨くことも大切です。ただ、それは「うまい選手になるため」だけでなく、「その過程で人として育つため」でもある。目的が一つ上にあると考えると、結果に一喜一憂しすぎることが、少なくなります。
でも、それは「願望」であって、ゴールではない
ここで、正直に言っておきたいことがあります。
「サッカーで社会力が身につけばいい」というのは、私の願望であって、ゴールではありません。
サッカーをやったから必ず社会力が身につく、というものでもありません。子どもによって、得るものは違います。サッカーから離れて、別の場所で育つ子もいます。それでいいのです。
私がサッカーに社会の縮図を見て、社会力が育つことを願っているのは事実です。でも、それを子どもに押し付けるつもりはありません。あくまで、そうなればいいな、という願いです。
本当のゴールは、「自分らしく生きる」こと
では、本当に大切にしたいゴールは何か。
自分らしさとは何かを問い、自分らしく生きてくれること。それに尽きます。
サッカーで飯を食うのか。楽しんで続けるのか。辞めて別の道に行くのか。どれを選んでもいい。自分で問い、自分で選び、自分らしく生きていく。その力さえ育てば、ジュニア年代のサッカーは、大成功だと思っています。
試合に出られたかどうか、他の子より上手いかどうか。そんなことは、この大きなゴールの前では、小さなことです。
親が、ジュニア年代で大切にしたいこと
最後に、親として、この時期に大切にしたいことを整理します。
①サッカーを好きでいられるようにする
すべての土台です。好きでいられれば、そこから社会力も、自分らしさも育っていきます。嫌いにさせないことが、何より大切です。
②うまくいかない経験も、大切にする
負け、失敗、理不尽。それも社会の縮図の一部です。取り除くのではなく、一緒に向き合ってください。
③結果より、その子自身の成長を見る
他の子との比較ではなく、その子の中の変化を見る。人としてどう育っているかを見る。それが、社会力を育てる目です。
④自分で選ばせ、自分らしさを尊重する
親の願望を押し付けず、子どもが自分で選び、自分らしくいられるように。それが、本当のゴールへの道です。
まとめ
ジュニア年代で本当に大切なことは、技術や結果そのものではありません。サッカーは社会の縮図であり、社会で生きる力を育てられるスポーツです。技術を磨く過程も含めて、その力を育てることが、この時期の大きな意味だと思っています。
ただ、それも願望であって、ゴールではありません。本当のゴールは、子どもが自分らしさを問い、自分らしく生きていくこと。サッカーを続けても、辞めても、その力が育てば、ジュニア年代は大成功です。
他の子と比べて一喜一憂しそうになったら、思い出してください。目指す先は、うまい選手になることではなく、自分らしく生きる人になること。その視点に立てば、今の小さな比較から、あなたと子どもは自由になれます。
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