「髪切りましたね」がなぜ言えるのか|変化に気づく目の話

コラム

このブログでは、子どものサッカーや子育てについて書いています。今回は少し脇道にそれて、私自身の「ある感覚」についての話をさせてください。子どもを見る、ということを考える上で、少しは役に立つかもしれません。

それは、小さな変化に気づく目、という話です。


旦那さんも気づかなかった髪型

以前、家庭教師をしていた家庭でのことです。

玄関でお母さんと会った時、私は何気なく「髪切りましたね」と言いました。特別なことをしたつもりはありませんでした。

すると、お母さんが驚いて言いました。

「旦那も気づいてなかったのに(笑)」

毎日一緒にいる旦那さんが気づかなかった変化に、たまにしか会わない私が気づいた。自分でも、なぜ気づいたのか、その時はよく分かりませんでした。


サッカーでも、同じことが起きる

この「変化に気づく」感覚は、サッカーの指導でも、いつも働いています。

「今、足の振り始めが変わった」

「今のステップ、前回よりキレが増した」

こういう小さな変化を、理屈で分析するより先に、感じ取っています。「ここを見よう」とポイントを決めているわけではありません。全体のフォルム、大枠のようなものを捉えていて、その形が少し変わった時に、違和感として気づくのだと思います。

そして、この感覚は、子どもの調子の変化を察することにも役立っています。今日は少し元気がないな、何かあったのかもしれないな、と。プレーの調子だけでなく、心の調子の変化にも、この目は働きます。


これは、才能なのか

では、この感覚はどこから来たのか。考えてみると、2つの可能性があります。

一つは、才能かもしれない、という話です。

中学生の頃のことを思い出します。プールの清掃をしている時、私は友達に「足、太くなったね」と言ったことがあります。相手の体の変化に、自然と気づいていました。今思えば、あの頃から、人の体のフォルムの変化を捉える感覚があったのかもしれません。

だとすれば、これはもともと持っていた才能の一つ、ということになります。


それとも、育てられたものなのか

でも、もう一つの可能性もあります。後から育てられたもの、という考え方です。

私は指導者として、子どもを褒めることを大切にしてきました。しかも、嘘なく褒めることを。

嘘なく褒めるためには、本当にあった良い変化を、見つけなければなりません。「上手だね」という漠然とした言葉ではなく、「今の場面、周りを見れてたね」と具体的に褒めるには、その子の小さな変化に気づいている必要があります。

褒めるポイントを、嘘なく探す。それを25年以上、繰り返してきました。その結果として、変化に気づく目が磨かれたのかもしれません。

褒めるために見る。見るから、気づく。気づくから、また褒められる。この繰り返しが、いつのまにか「違和感で変化を捉える」感覚を育てたのだとしたら、これは才能ではなく、習慣が作ったものです。


たぶん、両方なのだと思う

正直なところ、どちらか一方ではないと思っています。

もともと少し持っていた感覚が、褒めるために見続ける習慣によって、磨かれていった。才能と習慣の、両方なのだろうと思います。

そして、ここが大切なところですが、もし習慣で磨ける部分があるなら、誰にでも育てられるということです。

我が子の良いところを、嘘なく探す。それを続けていけば、変化に気づく目は、少しずつ育っていきます。私が特別なのではなく、見続けてきた時間が、そうさせただけなのかもしれません。


親には、親にしか気づけない変化がある

最後に、これだけは伝えたいことがあります。

私は、たまに会う子どもの変化に気づけます。でも、親御さんには、毎日一緒にいる親にしか気づけない変化があります。

昨日より少し背が伸びた。最近、表情が明るくなった。前より自分から話すようになった。こうした変化は、毎日見ている人にしか捉えられません。

「髪切りましたね」と私が言えるのは、たまに会うからこそ、前回との差が見えるからです。でも、日々の小さな連続した変化は、毎日見ている親の方が、ずっと敏感に気づけます。

我が子の変化に気づく目は、親であるあなたが、一番持っているものです。


おわりに

変化に気づく目が、才能なのか、習慣なのか。答えは、たぶん両方です。

でも、少なくとも一部は、嘘なく褒めようと見続けることで育つものだと思っています。そして、我が子の変化に気づくことにかけては、毎日そばにいる親が、誰よりも優れた目を持っています。

今日、お子さんの小さな変化を、一つ見つけてみてください。そして、それを言葉にして伝えてみてください。その一言が、子どもにとって、何よりの贈り物になります。


【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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