褒めすぎは逆効果なのか|嘘がなければ、褒めすぎは存在しない

親のサポート術

子どもを褒めて育てたい。でも「褒めすぎると調子に乗る」「褒められないと動けない子になる」という話も聞く。褒めるたびに、これでいいのかと不安がよぎる。褒めるべきか、抑えるべきか、その線引きが分からない。そんな方に向けて書きました。

25年以上の指導経験からの結論を先に言います。嘘がなければ、褒めすぎは存在しません。 この記事では、その理由と、褒めることが子どもの中で何を起こしているのかという構造、そして「目が笑っていない」と子どもに見抜かれたコーチの話をお伝えします。読み終える頃には、安心して褒められるようになっているはずです。


「褒めすぎは逆効果」とされる理由

まず、褒めすぎへの警戒として一般的に言われることを整理します。

褒められないと動けなくなる

褒め言葉がご褒美になり、褒められること自体が目的化してしまうという指摘です。

打たれ弱くなる

褒められ続けた子は、批判や失敗への耐性が育たないと言われることがあります。

能力を褒めると挑戦しなくなる

「才能あるね」と能力を褒められた子は、失敗して評価が下がることを恐れ、難しい課題を避けるようになるという指摘もあります。

これらの警戒には、一理あります。ただ、私はこれらの問題の原因は「褒める量」ではないと考えています。原因は、褒め方の中身、もっと言えば嘘の有無です。


褒めることの本当の構造

私は、子どものプレーをとにかく褒めます。ただしルールが一つだけあります。嘘は言わない。良いところを探して、本当のことだけを伝える。

なぜ褒めるのか。「嬉しいから」「次も頑張れるから」というのは、実は手前の話です。褒めることには、もっと具体的な機能があります。

無意識にできていることを褒めると、意識するようになる

子どもは、自分が何をできているか気づいていないことが多いものです。「今の場面、ボールもらう前に後ろ見てたね」と褒めると、本人は「え、見てたっけ」となる。無意識でやれていたことが、意識に上がります。意識に上がった瞬間、それは再現できる技術に変わり始めます。

意識してやっていることを褒めると、自信になる

本人が意識して取り組んでいることを褒めると、「やっぱりこれで合ってるんだ」という確認になります。これが自信です。自信は「すごいね」と言われて生まれるのではなく、自分の意図が認められた時に生まれます。

つまり褒めることは、ご褒美ではなく、無意識を意識に変え、意識を自信に変える装置です。この構造で褒えている限り、量が多くて困ることはありません。むしろ多いほど、子どもの中で意識と自信が積み上がっていきます。


「目が笑っていない」と見抜かれたコーチ

一方で、忘れられない話があります。

女子チームを指導していた頃、隣町でコーチをしていた方が一緒に参加してくれた時期がありました。サッカー経験もあり、子どもを褒めることもできる方でした。

でも後日、ある保護者から聞いた話では、選手の一人が「あの人、怖い」と言っていたそうです。

怖さの中身を聞くと、こうでした。

「褒める時に、口だけ笑っていて、目が笑っていない」

その方が嘘をついていたのかどうかは、分かりません。ただ、はっきり分かったことがあります。子どもは、言葉以外の情報も受け取っているということです。

言葉でどれだけ褒めても、表情や声のトーンに本心が乗っていなければ、子どもには「言葉と中身が違う」ことが伝わります。そして、それは褒め言葉として届かないどころか、「怖い」という不信感になって返ってきます。


「褒めすぎの弊害」の正体

冒頭の警戒に戻ります。褒められないと動けなくなる、打たれ弱くなる。これらは褒めすぎたから起きるのではなく、嘘やお世辞で褒めたから起きるのだと思っています。

中身のない「すごいね」を浴び続けた子は、褒め言葉の価値を信じられなくなります。実態と違う褒め言葉で作られた自己像は、現実にぶつかった時に崩れます。それが「打たれ弱さ」の正体です。

逆に、事実に基づいた褒め言葉は、何度言っても子どもの中で崩れません。本当のことだからです。


安心して褒めるための3つの確認

褒める時に確認したいのは、この3つだけです。

①それは事実か

見ていないプレーを想像で褒めない。実際に見た、本当にあったことだけを褒めます。

②具体的か

「上手だったね」より「あの場面で味方が見えてたね」。具体的であるほど、無意識が意識に変わります。

③自分の心も動いているか

口だけにならないこと。心が動いていない時は、無理に褒めなくて構いません。子どもは目を見ています。


まとめ

褒めすぎは逆効果なのか。答えは、嘘がなければ褒めすぎは存在しない、です。

褒めることは、無意識にできていることを意識に変え、意識してやっていることを自信に変える装置です。事実に基づいている限り、量が多くて困ることはありません。

ただし、子どもは言葉以外の情報も受け取っています。口だけ笑って目が笑っていない褒め言葉は、届かないどころか不信感になります。

今日、お子さんのプレーで本当に良かった場面を一つ、具体的に伝えてみてください。嘘のない褒め言葉なら、遠慮はいりません。


【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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