先に書きます。移籍を判断するとき、一番見落とされやすいのは、チームの強さではなく、そこにいる人たちの関係だと私は思っています。
私は25歳の頃、技術も身体能力も高い選手が揃ったチームと、一緒に活動したことがあります。それでも、チームにはなりませんでした。
この記事では、その経験と、25年以上の指導で受けてきた移籍の相談をもとに、移籍を考える前に確認したい5つのことをお伝えします。
うまい子が揃っていても、チームにならなかった話
私がチームを立ち上げて2年目の頃です。
相手のチームも立ち上げたばかりで、どちらも11人に満たない状態でした。「じゃあ、一緒にやりましょう」と、自然な流れで合同での活動が始まりました。
集まった選手の中には、レベルの高いチームから来た子もいました。技術は高い。ただ、仲間へのリスペクトが感じられず、自分勝手なプレーが目立ちました。
その子に向き合って指導することが、指導者側にもできていませんでした。何より、指導者同士の考え方が、違いすぎました。
足りなかったのは、レベルではありませんでした。同じ目的に向かう、仲間との関係でした。
この経験から、チームの強さと、チームとして機能するかは、別の話だと考えるようになりました。
①移籍したい理由を、言葉にする
まず、何に不満があるのかを、はっきりさせます。
出場時間、指導方針、人間関係、通う負担、上を目指したい気持ち。理由はいろいろあります。
そのとき、「親が気にしていること」と「子どもが困っていること」を分けて考えます。同じに見えても、違うことが多いと感じています。
②環境の問題か、本人に付いてくる問題かを分ける
指導者との相性やチームの方針は、移籍で変わる可能性があります。
一方で、自信のなさや不安は、チームを変えても本人に付いてきます。ここを分けておくと、あとで後悔しにくくなると思います。
③本人の意思を確認する
親が言い出した移籍でも、子どもに自主性があり、本人の希望と合っているなら、問題はないと思います。
気をつけたいのは、視野の問題です。「もっとできることがある」という考えが本人に見えていないなら、それは伝えてあげたほうがいいと感じています。
聞き方は、「移りたい?」と直接聞くより、「今、好きなところは?」「きついところは?」と聞くほうが、本音が出やすいです。
私が受けた相談では、こんなことがありました。
「もっと上を目指して上達したい」と言われたときは、「今のチームで物足りないなら、応援します」と伝えて、送り出しました。
反対に、近隣のチームで「サッカーが楽しくなくなった」という子は、これまですべて受け入れてきました。私のチームは、人を選ばないようにしています。
④移籍で何を得たいかを、具体的にする
「上手くなりたい」だけでは、移籍先を選べません。
試合に出たいのか。強い相手と戦いたいのか。指導者との相性を変えたいのか。楽しさを取り戻したいのか。具体的にするほど、移籍先が合うかどうかを確かめやすくなります。
⑤生活への影響を、現実的に見る
練習の回数、通う時間、費用、友達との関係、家族の時間。
特にジュニアユースでは、最初のチームで合わなかったとき、より遠いチームへの移籍を考える場面があります。そのとき、費用を理由に断念した例を見てきました。
また、家族の時間がなくなることを親が心配して、本人は習いたいのに入らない子も多いと感じます。費用が理由で、入会しない子もいます。
勢いで決めるより、3年続けられるかを考えてみてください。
移籍先では、ミスの直後を見てほしい
見学や試合で、技術のうまさばかりを見てしまいがちです。
私は、仲間がミスをした直後の反応を見ます。
最近、こんな場面を見ました。無人のゴール前で、仲間がシュートを外しました。パスを出した子が、思わず「あーあ」と言ったのです。
他の子が外したときには、言わなかったと思います。その子だったから、出た言葉なのだと感じました。
全員と仲良くなることには、正直、限界があると思います。それでも、同じ目的を持つ仲間へのリスペクトがないと、うまくいかないことは多いと感じています。
まとめ
移籍を考えるときは、①理由を言葉にする、②環境の問題か本人の問題かを分ける、③本人の意思を確認する、④得たいことを具体的にする、⑤生活への影響を見る、の5つを確かめてみてください。
そして、移籍先では、技術の高さだけでなく、ミスの直後に仲間がどう関わっているかを見てください。
うまい子が揃っていても、チームにならないことがあります。強さより、人と人との関係が、続けられるかどうかを決めると、私は考えています。
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