子どもから突然「サッカー辞めたい」と言われて、頭が真っ白になったことはありませんか。
今まで楽しそうに通っていたのに、なぜ急に。ただ、その言葉が最終的な意思とは限りません。
この記事では、25年以上の指導経験と、私自身が部活を一度辞めた経験から、一時的な感情なのか、本気の意思なのかを見分ける5つの視点をお伝えします。読み終えるころには、慌てて結論を出さずに、まず何を見ればいいかが分かるはずです。
「辞めたい」と言われた日に、私が最初にすること
私が相談を受けるとき、最初にすることは決まっています。まず、全部話してもらうことです。
アドバイスは、そのあとです。一度、全部聞きます。
普段の会話では、「楽しんでる?」と聞くようにしています。返ってくる答えは、あまり気にしていません。大切なのは、こちらが「楽しんでいるか」を気にしていると、伝わることだと思っています。
親御さんも、「辞めたい」と言われた日は、その場で結論を出さないでください。理由を聞くのは、気持ちを吐き出してもらったあとです。
一晩置くだけでも、見え方が変わることがあります。
一時的な感情かを見分ける5つの視点
子どもは、感情が先に言葉になることがあります。
悔しい、腹が立つ、悲しい、疲れた。そうした気持ちを、まとめて「辞めたい」と言ってしまうことがあります。
見分ける手がかりとして、私は次の5つを見ています。
① 言ったのは、どんなタイミングか
試合に負けた直後。ミスをした帰り道。コーチに注意された日。
感情が大きく動いた直後に出た言葉は、翌日には変わっていることもあります。
② サッカー以外でも、「行きたくない」が出ていないか
我が家の子どもは、月曜日になると、特に「学校行きたくない」と言います。
サッカーに限った話ではありません。休み明けの気分が、そのまま言葉になっているのかもしれません。
我が家では、サッカーと学校の優先順位を、はっきり伝えています。「学校のことをちゃんとやらないと、サッカーは続けられない」と。その結果、学校は頑張っています。
ただ、正直に言います。指導者の私でも、「サッカー行きたくない」と言われたらと思うと、ゾッとします。
だからこそ、言葉だけで判断しないようにしています。学校や家庭を含めて、日常全体で元気がないときは、問題がサッカーにない可能性もあります。
③ サッカーそのものへの気持ちは、残っているか
私自身、高校の部活を一度辞めています。
体験入部の1年生が100名以上いて、入部希望者を減らすために、罰走がありました。それが嫌で、辞めました。
それでも、サッカーは好きでした。ボールは蹴りたいと思っていました。辞めている間も、地元の社会人チームでは、サッカーを続けていました。辞めたのは部活であって、サッカーが嫌いになったわけではありませんでした。
それまでのサッカーの記憶が楽しいものだったので、またサッカーに戻りたいと思っていました。そんなとき、友達に声をかけてもらい、また部活に入りました。ラッキーだったと思っています。
子どもも同じかもしれません。サッカーの話をするか。ボールを触っているか。友達の試合や中継を気にしているか。
気持ちが残っているなら、「辞めたい」の相手は、サッカーそのものではない可能性があります。
④ 辞めたい理由は、サッカーの中のどこにあるか
私の教え子に、辞めたいと言った子がいました。担当は、別のコーチでした。
理由は、やりたいプレーができないこと。したい練習ができないこと。それでした。
私は間に入って、通訳のように、その子の思いをコーチに伝えました。目指すプレーのイメージを共有して、話ができました。
話ができたことで、スッキリした部分が大きかったのだと思います。その子は、戻ってきました。
「辞めたい」の裏に、「こうしたい」が隠れていることがあります。そこを聞き出せると、辞めなくても解決できる場合があります。
⑤ いつから、どのくらい続いているか
その日だけの言葉なのか。何週間も続いている気持ちなのか。
続いている気持ちは、その場の感情とは別のものとして見たほうがいいと思っています。
ここまでの4つと合わせて、見てみてください。
本気で辞めると決めた子は、どう伝えてくれたか
もちろん、本気で辞める場合もあります。
私の教え子は、大学に入学するタイミングで、「辞める」と伝えてくれました。急でした。それでも、その子は意志が強く、自分のことに責任を持って取り組む子でした。
私から言うことは、ありませんでした。今でも、つながっています。
一人の例ですが、本気で決めた子の伝え方は、気分で言う「辞めたい」とは違うと感じました。そして、辞めても、関係は終わりません。
辞めたあとも、つながりを切らないようにしている
私が指導しているチームでも、辞める子はいます。親御さんの考えや事情で辞めるケースが多いです。
だから、息子には「友達なら、遊びに誘ったり、家に連れてきたりしなよ」と声をかけています。
子どもたちには、お迎えのときや遊んでいるときに、幅広く声をかけます。辞めた子にも声をかけます。またやってほしい、と伝えることもあります。
正直に言うと、戻った子はまだいません。親御さんが、もう一度入部させるのは、かなり難しいと感じています。
それでも、辞めたあとに遊びに来てくれる子は、多いです。卒団後に、大人のチームやフットサルに声をかけることもあります。
今のチームでも、一度辞めた子が「またやろうかな」と言ってくれていると聞きました。嬉しい話です。
もし辞めることになっても、友達との関係や、ボールを蹴る機会を、すぐに切らなくていいと思っています。
「辞めな」と言ってしまった保護者の話
以前、保護者の方から相談を受けました。
子どもがなかなかやる気を見せない日が続き、つい「そんなにやる気がないなら辞めな」と言ってしまったそうです。すると、子どもは本当に辞める気になってしまいました。
その保護者は、本当は続けてほしいと思っていました。それでも、出てしまった言葉で、子どもの心が折れてしまったようだ、とのことでした。
私は、無理に続けさせようとせず、評価もしないことを伝えました。本人には、練習に来たときに思いっきり楽しんでもらうこと。できないことより、できることを伸ばすことに注力しました。
今も、気分によって「辞めたい」と言うことがあるそうです。それでも、練習に来れば、楽しそうにボールを追いかけています。
この話から、言葉と行動は一致しないことがある、と感じました。「辞めたい」という言葉と、練習での様子は、別の情報として見ています。
まとめ
子どもの「サッカー辞めたい」が一時的な感情かを見分けるには、言ったタイミング、サッカー以外の様子、サッカーへの気持ち、辞めたい理由、続いている期間の5つを見てみてください。言葉だけに振り回されず、落ち着いて向き合えるようになります。
私自身、部活を辞めても、サッカーは好きでした。教え子は、「こうしたい」を伝えられたことで戻ってきました。「辞めたい」の一言の裏には、いろいろな気持ちが隠れていると感じています。辞めたあとも、サッカーや仲間とのつながりは、残せると思っています。
今日、もし「辞めたい」と言われたら、その場で結論を出さず、まず全部聞いてみてください。
「辞めたい」は、終わりの合図ではなく、何かを伝えようとしている言葉かもしれません。
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