子どもから突然「サッカー辞めたい」と言われると、多くの保護者は驚きます。
今まで楽しそうに通っていたのに、なぜ急にそんなことを言うのか。ただ、子どもの言葉が必ずしも最終的な意思とは限りません。この記事では、その言葉が一時的な感情なのか、本気の意思なのかを見分けるための視点と、実際にあった相談の話をお伝えします。
子どもは、感情が先に言葉になることがあります
大人であれば、悔しい、腹が立つ、悲しい、疲れた、と感情を分けて考えられます。しかし子どもは、それらをまとめて「辞めたい」という言葉で表現することがあります。
NTTコミュニケーション科学基礎研究所で発達心理学を専門にする研究者は、感情を表す語彙が十分に育つ前の子どもは、複雑な気持ちをそのまま言葉で伝えることが難しい場合があると指摘しています。
試合に出られなかった。コーチに注意された。仲の良い友達とケンカした。そんな出来事の直後に「もう辞める」と言うことも珍しくありません。最初の言葉だけで判断しないことが大切です。
見分ける手がかりはいくつかあります。
一つは、言ったタイミングです。試合で負けた直後、ミスをした帰り道。感情が大きく動いている時に出た言葉は、翌日には変わっていることもあります。
もう一つは、サッカー以外の様子です。学校で嫌なことがあった、睡眠不足が続いている。日常生活全体で元気がない場合は、問題の本質がサッカーではない可能性があります。
サッカーへの興味が残っているかどうかも手がかりになります。サッカー中継は見る、友達の試合結果を気にする。興味が残っているなら、感情が落ち着けば気持ちが戻る可能性もあります。
そして、時間が経っても気持ちが変わらないかどうか。その日だけの話なのか、数週間続いているのか。継続性は、大きな判断材料になります。
半年前、ある保護者から受けた相談
半年ほど前、保護者の方からこんな相談を受けました。
子どもがなかなかやる気を見せない日が続き、つい「そんなにやる気がないなら辞めな」と言ってしまったそうです。
すると、子どもは本当に辞める気になってしまいました。
その保護者は、本当は続けてほしいと思っていました。でも、つい出てしまった言葉で、子どもの心が折れてしまったようだ、とのことでした。
保護者には、無理に続けさせようとせず、評価もしないことを伝えました。本人には、練習に来た時に思いっきり楽しんでもらうこと、できないことより、できることを伸ばすことに注力しました。
今も、気分によっては「辞めたい」と言うことがあるそうです。それでも、実際に練習に来れば、楽しそうにボールを追いかけています。
「辞めたい」という言葉と、実際の様子は、別に見る必要があります
この相談から感じたのは、言葉と行動が一致しないことは珍しくない、ということです。
気分次第で「辞めたい」と口にすることと、実際に練習の場でどう過ごしているかは、別の指標として見た方がいいと思っています。
言葉だけを追いかけると、振り回されてしまいます。でも、行動まで含めて見ると、少し落ち着いて向き合えることがあります。
今日から試せる3つのこと
1. 「辞めたい」と言われた日は、その場で結論を出さない
一晩置くだけでも、見え方が変わることがあります。
2. 言葉ではなく、練習に来た時の様子を観察する
口では辞めたいと言っていても、現場での表情は別の情報を教えてくれます。
3. 「やる気がないなら辞めな」を、封印する
追い詰める言葉は、一時的な感情を本気の決断に変えてしまうことがあります。
その言葉は、今の気分でしょうか。それとも、ずっと続いている気持ちでしょうか
「辞めたい」という一言だけを見ると、重く受け止めてしまいます。
でも、それがその日だけの感情なのか、何週間も続いている気持ちなのかで、必要な対応は変わります。
焦って結論を出す前に、少し時間を置いて確かめてみてください。
よくある質問
Q. 「そんなにやる気がないなら辞めな」と、つい言ってしまいました。取り返しはつきますか。
つきます。大切なのは、その後どう関わるかです。評価をやめ、楽しめる時間を増やすことで、気持ちが戻ることもあります。
Q. 気分によって「辞めたい」と言ったり言わなかったりする場合、どう捉えればいいですか。
言葉に一喜一憂するより、実際に練習に来た時の様子を見てみてください。楽しんでいるなら、気持ちはまだそこにあります。
Q. どのくらいの期間、様子を見ればいいですか。
決まった期間はありませんが、2〜3週間、言葉と様子の両方を観察してみると、傾向が見えやすくなります。
まとめ
子どもの「サッカー辞めたい」が一時的な感情かどうかを見分けるには、言ったタイミング、サッカー以外の様子、興味が残っているか、継続しているかどうかを確認することが手がかりになります。
半年前に受けた相談では、保護者が「やる気がないなら辞めな」と言ってしまったことで、子どもが本当に辞める気になってしまいました。その後、評価をやめ、楽しむことに焦点を当てたことで、今も気分次第で辞めたいと言うことはあるものの、練習では楽しそうにしています。
今日、もし「辞めたい」と言われても、その場で結論を出さないでください。
言葉だけでなく、実際の様子を見ること。それが、一時的な感情か本気の意思かを見極める、一番確かな方法です。
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