「今日の練習、行きたくない」
ある日突然、子どもにそう言われたことはありませんか。何があったのか、このまま辞めてしまうのではないか、無理にでも行かせるべきか。不安になるのは当然です。
ただ、この言葉を軽く流していい時と、そうでない時があります。この記事では、その見分け方と、指導現場で見てきた、忘れられない一つの出来事をお伝えします。
まずは、慌てて結論を出さないことです
子どもが練習に行きたくないと言うと、「辞めたいの?」「何が不満なの?」とすぐに原因を探したくなります。
でも、その日の一言だけで結論を出す必要はありません。学校で疲れた。眠い。気分が乗らない。それだけの場合もあります。まずは「そうなんだ」と受け止めることが大切です。
文部科学省の不登校対応に関する資料でも、子どもが行きたくないと感じる背景は一つに絞れないことが多く、複数の要因が重なっているケースが大半だとされています。原因を一つに決めつけないことが、最初の一歩になります。
大切なのは、単発か継続かを見ることです。一度だけなら、疲れや気分、体調が原因かもしれません。でも、毎週言う、練習の日になると機嫌が悪くなる、朝から元気がない。そうした変化が続く場合は、何らかのサインかもしれません。
学習塾の情報サイト「塾選」が行った調査では、子どもの「行きたくない」というサインは、言葉よりも先に、生活リズムの乱れや体調の変化として現れることが多いと報告されています。言葉だけでなく、日々の様子の変化にも目を向けたいところです。
子どもが行きたくないと言うと、「そんなことでどうするの」「続けるって決めたでしょ」と言いたくなることがあります。でも、それは親自身の不安から出ている言葉かもしれません。子どもはすでに、「行きたくないと言ったら怒られるかな」と感じていることもあります。まずは、安心して本音を話せる状態を作ることが大切です。
その日行かせるかどうかより、これからも前向きに続けられるかどうか。長期的な視点で見ることも、あわせて意識したいところです。
低学年の頃、見ていた一人の教え子のこと
低学年の頃に見ていた教え子に、ある子がいました。
運動神経が良く、やる気もあり、レギュラーとしてずっと試合に出ていました。
ただ、その子は、コーチの言っていることをうまく理解できず、苦しんでいる様子がありました。
コーチも、「理解ができない」と口にするようになりました。そしてその子を、少しずつ試合で使わなくなっていきました。
大人の理解が追いつかないまま、その子は上級生になり、最終的にサッカーを辞めてしまいました。
やる気も、能力もあった子でした。それでも、「行きたくない」という言葉の奥にあったものを、周りの大人が理解できないまま、終わってしまいました。
当時、自分はその子の担当コーチではありませんでしたが、近くで見ていながら、何もできなかったという後悔が今も残っています。
この出来事は、今も忘れられません。「行きたくない」という言葉の裏には、単なる気分だけでなく、大人が理解しきれていない何かが隠れていることがある。そのことを、強く感じさせられた出来事でした。
「理解できない」で終わらせないことが、大人の役割です
この経験から、強く思うようになったことがあります。
「行きたくない」という言葉を、単なるわがままや気分の問題として片付けてしまうと、その奥にある本当のサインを見逃してしまうことがあります。
理解できないなら、理解しようとし続けること。それをやめてしまった瞬間に、子どもは一人になってしまいます。
この経験は、後に発達支援の活動に関わる、一つのきっかけにもなりました。
今日から試せる3つのこと
1. 「行きたくない」を、その日の気分と決めつけない
一度で判断せず、数日、様子を見てみます。
2. 「理解できない」で、自分の関わりを止めない
わからないなら、わからないなりに、聞き続けることを大切にします。
3. 「行くか休むか」の前に、気持ちを聞く
「今日はどんな気分?」の一言から始めてみます。
その「行きたくない」を、誰が理解しようとしているでしょうか
子どもの「行きたくない」には、いろんな理由が隠れています。
その理由を、周りの大人は、どれだけ理解しようとしているでしょうか。
わからないことを、わからないままにしていないか。一度、考えてみてほしいと思います。
よくある質問
Q. 「行きたくない」が3日続いたら、注意した方がいいですか。
日数よりも、変化の傾向を見てください。表情、食欲、会話の量など、複数のサインが重なっている場合は、注意深く見る必要があります。
Q. コーチに、子どもの様子を伝えてもいいのでしょうか。
伝えて大丈夫です。「最近、行きたくないと言うことがあって」と、責める形ではなく、共有する形で伝えると、コーチ側も対応しやすくなります。
Q. 子どもがうまく理由を説明できない場合はどうすればいいですか。
無理に説明させる必要はありません。日々の様子を記録しておくだけでも、後から振り返る材料になります。
まとめ
子どもから「練習に行きたくない」と言われても、その言葉だけで深刻に考えすぎる必要はありません。多くの場合、一時的な気分や疲れが理由です。
ただ、低学年の頃に見ていた教え子のように、大人が「理解できない」で終わらせてしまうと、本当に大切なサインを見逃してしまうことがあります。やる気も能力もあったその子は、大人の理解が追いつかないまま、サッカーを辞めてしまいました。
今日、もし「行きたくない」と言われたら、まず「そうなんだ」と受け止めてみてください。
そして、その言葉が続くようなら、わからないなりに理解しようとし続けること。それが、子どもを一人にしない、一番の方法だと思っています。
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