ジュニアサッカーの価値とは?勝敗だけではない「サッカーを学ぶ意味」

コラム

子どもがサッカーを始めると、多くの保護者はこう考えます。「サッカーが上手になってほしい」「試合で活躍してほしい」「強いチームでプレーしてほしい」。

もちろん、それもサッカーをする大切な理由だと思います。ただ、勝敗や上達の先に、サッカーを学ぶ意味があるのではないかと、私は考えています。

この記事では、25年以上の指導と、ブラジルでの留学、教え子のその後から、ジュニアサッカーの価値についてお伝えします。

「サッカーとは何か」の答えは、指導者の考え方を表す

「サッカーとは、どんなスポーツですか」と聞かれたら、何と答えるでしょうか。

勝敗を競うスポーツだと答える人もいます。協力することを学ぶ場だと答える人もいます。人間性を育てるものだと答える人もいます。

どれも間違いではないと思います。ただ、この答えの違いが、日々の指導の違いになって表れると感じています。

ジュニアサッカーは、子どもがするスポーツ

ジュニアサッカーは、大人ではなく、子どもがするスポーツです。

だとすれば、技術を身につけることと同じくらい、子ども自身が考えること、挑戦すること、失敗から学ぶこと、仲間と関わることが大切になると思います。

「プレー(play)」という言葉には、「楽しむ」という意味があります。競い合うだけの言葉ではありません。

楽しいから夢中になる。夢中になるから工夫する。工夫するから上達する。この順番を大切にしたいと考えています。

楽しさが消えたチームを見たことがある

一方で、この順番が逆になってしまったチームを見たことがあります。

友人の保護者から、あるチームの話を聞きました。指導者が自分の勝ち方に強くこだわり、子どもたちがやる気をなくしたり、迷いが出たりしている、という話でした。

気になって、自分でも見に行きました。聞いていた通り、子どもたちはサッカーを楽しめていないように見えました。

別のチームでは、選手の顔色を見たり気持ちを聞いたりすることなく、指導者が学んできた理論や戦術を徹底して練習していました。楽しそうには見えず、実際に「楽しくない」と言ってチームを移った子もいます。

この指導者を責めたい話ではありません。勝ちたい気持ちも、学んだことを伝えたい気持ちも、理解できます。

ただ、決められた形を繰り返す練習が続くと、アドリブが利かなくなると感じています。想定していない場面で力を発揮することが、難しくなります。

試合は、想定していない場面の連続です。楽しさや自分で考える余地が減ることは、勝つことにとっても遠回りかもしれません。

サッカーを取り除いたら、何が残るか

こう問いかけてみます。もしサッカーを取り除いたら、何が残るでしょうか。

協力した経験。粘り強く続けた経験。勇気を出した経験。相手を尊重する気持ち。自分で考える力。こうしたものは、試合の結果が忘れられても残ると思います。

私の教え子の一人は、現在、小学校の教師をしています。周りの人とコミュニケーションを取りながら、子どものためになる方法を探すこと。学校の方針がおかしいと感じたら、確認すること。こうした場面で、サッカーが大いに役に立ったと話してくれました。

サッカーの技術そのものではなく、サッカーを通して身についたものが、その後の人生を支えているのだと思います。

地域のサッカーが持つ価値

地域で続けるサッカーには、競技力を高めること以外の価値もあると思います。

年齢の違う子どもとの関わり。協力すること。地域とのつながり。いろいろな考え方の人と出会うこと。

クラブが競技性に寄りすぎると、勝つことが最優先の空気が生まれやすくなります。すると子どもは、ミスを恐れ、自分で決めることを避けるようになります。

競技としての面と、人を育てる面。どちらか一方ではなく、そのバランスが大切だと感じています。

サッカーは「文化」だと感じた、サルバドールでの3か月

私は26歳のとき、3か月間、ブラジルのサルバドールに留学していました。カポエイラが盛んな街です。

街中では、見せ物として披露し、通りがかりの人から小銭をもらっている人たちがいました。イベントで披露している人たちもいました。

一方で、習い事として、毎週決まった場所に集まって続けている人たちもいました。

そのとき私は、文化として続いていくのは、この毎週の習い事のほうだと感じました。見せるためではなく、暮らしの中に根づいて、続けること自体が日常になっているからです。

サッカーも、同じだと思っています。勝つためだけに続くのではなく、暮らしの中にあり、好きな気持ちが残っていく。それが文化としてのサッカーではないでしょうか。

まとめ

勝つことも、技術が上達することも、大切です。

ただ、サッカーを取り除いたときに残るもの、つまり協力、粘り強さ、勇気、尊重、自分で考える力こそが、子どもたちの将来を支える財産になると、私は考えています。

そして、サッカーが暮らしの中で続いていく文化であってほしいと願っています。

次にお子さんの試合や練習を見るときは、結果だけでなく、楽しそうか、自分で考えているかを、少しだけ見てみてください。

【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

▼ この記事と一緒に読まれています

コメント

タイトルとURLをコピーしました