自主練を始めようとする時、つい「どんなメニューを何分やるか」を考えてしまいます。でも、まず大切なのは量や内容よりも、続けられる形から始めることかもしれません。
5分から始めることの一般的なメリット
まず、よく言われる考え方を整理します。
心理的なハードルが下がる
「30分やらなければ」と思うと重くなりますが、「5分だけ」なら始めやすくなります。
続けること自体が目的になる
短時間でも毎日続けることで、習慣の土台が作られていきます。
自然に時間が伸びていく
始めてしまえば、気づいたら予定より長くやっていた、ということが起きやすくなります。
完璧主義を手放せる
「できない日があっても、また明日やればいい」という感覚が生まれやすくなります。
これらは正しい面があります。ただ、実際に5分から始めることがどういう意味を持つのか、私が近くで見てきた親子の話をお伝えします。
ボールに触れず、試合にも出られなかった子
同級生の友達が、娘と同じチームに娘さんを入れました。
運動神経が特別良いわけでもなく、入った当初はボールにほとんど触れられず、試合にも出してもらえない状況が続いていました。
私はその学年の担当コーチではありませんでしたが、その子の様子をずっと見ていました。
周りをよく見て、考えることができる。ただ、頭の回転にまだ体の動きが追いついていない印象でした。止める蹴るが身についてくれば、絶対に伸びる。そう感じていたので、同級生にそう伝え続けました。
「毎日コツコツだけはできる」
その言葉を聞いた同級生は、娘さんと一緒に朝ちょっとだけ早く起きて、毎日練習するようになりました。
最初は少しだけ早起きする程度でした。メニューも、難しいことはしていなかったと思います。
その同級生が言っていた言葉が印象に残っています。
「毎日コツコツだけはできる。」
大きなことはできないかもしれない。でも、毎日続けることだけはできる。そういう覚悟でした。
「上手くなるって言ってくれたから」
しばらくして、その親子の様子が変わってきました。
最初はちょっとだけ早起きしていたものが、今では30分早く起きて練習しているそうです。自然に時間が伸びていきました。
その娘さんは今、中盤でリズムを作れる選手になっています。
後から聞いたのですが、その子は私の言葉を疑っていたそうです。本当に上手くなれるのかどうか、信じられなかった。
でも、こう言っていたそうです。
「上手くなるって言ってくれたから。」
その言葉が、続けるための支えになっていたと聞いて、コーチとして嬉しかったと同時に、言葉の重さを改めて感じました。
5分から始めることの本当の意味
この親子の経験から感じていることがあります。
5分から始めることの意味は、技術を磨くための5分ではありませんでした。続けるための5分だったのだと思います。
毎日ちょっとだけ早起きする。ちょっとだけボールを蹴る。その積み重ねが、習慣になり、自信になり、気づいたら30分になっていた。
最初から30分練習しようとしていたら、続いていなかったかもしれません。ちょっとだけという始め方が、長続きの土台になりました。
子どもに伝える言葉の大切さ
もう一つ、この経験から感じたことがあります。
「上手くなるって言ってくれたから。」
この言葉は、子どもにとって大人からの言葉がどれほど力を持つかを教えてくれました。
自分を疑っていた時期に、誰かが「絶対に伸びる」と言い続けてくれた。それが練習を続ける支えになっていた。
自主練を始めさせることより、その子を信じて言葉をかけ続けることの方が、大切な場合があるのかもしれません。
まとめ
5分から始める自主練の意味は、技術を磨くことより、続けられる形を作ることにあります。
ちょっとだけ早起きして始めた練習が、今では30分の朝練になった親子を見てきました。「毎日コツコツだけはできる」という言葉と、「上手くなるって言ってくれたから」という言葉が、その変化の背景にありました。
お子さんに自主練を始めてほしいなら、まずちょっとだけ早起きして、ちょっとだけボールを蹴ることから始めてみてください。そしてその子のことを信じて、言葉をかけ続けることを忘れないでください。
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