「あの子、すごく上手いな」
「同じ学年なのに、なんでこんなに差があるんだろう」
「うちの子も、もっとできるはずなのに」
ジュニアサッカーの試合や練習を見ていると、つい他の子と比べてしまう瞬間があります。それは親として自然な感情です。
ただ、比べることが子どもに与える影響について、私には忘れられない記憶があります。
90点を取っても、比べられたショック
小学生の頃のことです。
テストで90点を取りました。自分としては頑張った結果でした。
しかし母から言われた言葉が今でも記憶に残っています。
「◯◯君は100点だったらしいね。」
その一言がショックでした。90点という結果ではなく、他の子との差が最初に出てきた。自分の努力や成果より、比較が先に来た瞬間の感覚は、子どもの心に残るものがあります。
母は教育熱心で、子どものことを思ってのことだったと今は分かります。個性を認めてくれる面もあり、感謝している部分も多い。ただあの瞬間の記憶は、比べることが子どもにどう響くかを、自分の体験として教えてくれました。
「十人十色」を実践できている指導者は少ない
子どもの成長は人それぞれだという言葉は、よく聞きます。十人十色とも言われます。
しかし指導現場で長年関わってきて感じるのは、それを実際に実践できている指導者は多くないということです。
「あの子はできるのに、なぜこの子はできないのか」という見方をしてしまうと、その子の「できること」が見えなくなります。
指導者の役割は、それぞれのできることとできないことを見つけて、伸ばしたり修正したりすることだと思っています。いいところを探せないのは、自分の視野が狭いだけです。その子のいいところが分かれば、無闇に比べる必要はなくなります。
双子でも個性は全然違った
ある年、双子の兄弟が入団してきました。
一卵性双生児で、顔は同じ。でもキャラクターも個性もまったく違いました。
一人はフォワード。もう一人はセンターバック。同じ顔をした二人が、コートの中でそれぞれ全く異なる役割を担っていました。
私は直接の担当コーチではありませんでしたが(笑)、外から見ていてはっきり感じたことがあります。担当コーチが二人それぞれの個性を理解して関わっていたからこそ、それぞれが力を発揮していた、ということです。
同じ家庭で育った一卵性双生児でも、これだけ個性が違う。ましてや他の子と比べることに、どれほどの意味があるでしょうか。
比べてしまう時に立ち止まってほしいこと
上手い子と比べてしまう瞬間が来た時、一度だけ立ち止まって考えてみてください。
その子の「いいところ」を言えますか?
他の子と比べる前に、自分の子どものいいところを3つ言えるかどうか。それが見えているかどうかで、関わり方が変わります。
足が速い。声を出せる。仲間を応援できる。失敗しても諦めない。技術的なことだけが「いいところ」ではありません。
比べる相手を変えてみる
他の子と比べるより、昨日のその子と比べる方が、成長が見えやすくなります。先週できなかったことが今週できるようになった。その変化を見逃さないことが、子どもの自信につながります。
親の言葉は記憶に残る
90点を取った日に言われた言葉が、何十年も記憶に残っています。
子どもは親の言葉を、思っている以上に長く覚えています。比較の言葉より、その子自身を見た言葉の方が、ずっと大きな力になります。
まとめ
上手い子と比べてしまうのは、子どもの成長を願う気持ちからです。その感情は自然なものです。
ただ、90点を取っても「あの子は100点だった」と言われたあの瞬間の記憶は、比べることが子どもに何を残すかを教えてくれています。
双子でも個性が全く違うように、子どもはそれぞれ違う成長のペースと得意なことを持っています。その子だけのいいところを探すことが、無闇な比較より何倍も子どもの力になります。
今日の練習や試合の後、「◯◯が良かったね」と一つだけ伝えてみてください。その言葉が、子どもの中に長く残ります。
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