「セレクションに落ちてしまった。」
その結果を告げられた時、子どもも保護者も落ち込みます。頑張ってきた分、ショックは大きい。「うちの子には才能がないのかな」「この先大丈夫なのかな」そんな不安が頭をよぎることもあるかもしれません。
でも、セレクションの結果が、その子の可能性を決めるわけではありません。
今回は、私が自チームのコーチとして実際に見た話をしたいと思います。
セレクションに受かった息子、落ちたチームメイト
息子が5年生の時、地域のトレセンのセレクションがありました。
私は自チームのコーチとして、その子たちを日頃から見ていた立場でした。息子はセレクションに合格しました。しかし、一緒に挑戦したチームメイトの中には、合格できなかった子もいました。
その後の1年間が、忘れられません。
落ちた子に起きた変化
セレクションに落ちた子の一人が、その後変わっていきました。
自分を振り返り始めたのだと思います。「自分には何ができるのか」「チームの中で何が自分の武器なのか」そういうことを、自分なりに考え始めた様子がありました。
練習への取り組みも変わりました。ただこなすのではなく、目的を持って取り組む姿が見えるようになっていきました。
そして5年生の1年間が終わった時、チームの中での出場時間は、息子よりその子の方が長くなっていました。
セレクションに合格した息子より、落ちたその子の方が、チームにとって必要な選手になっていた。コーチとして、その事実をはっきりと見ていました。
なぜそうなったのか
その子が出場機会を増やせた理由は、才能でも身体能力でもありませんでした。
セレクションに落ちた経験を、自分を見直すきっかけにしたからだと思っています。
合格した子は、ある意味で現状が肯定されます。「今のままでいい」と感じやすくなる面もある。一方で落ちた子は、現実を突きつけられます。その痛みを、前に進む力に変えられるかどうかで、その後が変わります。
その子は変えられた。自分の武器を明確にして、チームに必要なプレーを増やして、自分で出場機会を勝ち取りました。
セレクションの結果が教えてくれること
セレクションは、今この瞬間の評価です。
その子のサッカーの全てを測るものでも、将来を決めるものでもありません。
指導者として長年現場に関わってきて感じるのは、セレクションに落ちた経験が、その子を大きく変えることがあるということです。全員がそうなるわけではありませんが、落ちた経験を糧にした子が、その後飛躍する場面を何度も見てきました。
大切なのは、不合格という結果をどう受け取るかです。
保護者にできること
セレクションに落ちた直後、子どもは傷ついています。その気持ちを否定しないことが最初の一歩です。
「残念だったね」と受け止める。それだけで十分なことも多い。
その後、子どもが自分で「どうしようか」と考え始めるまで、少し待てるかどうか。答えを先に渡すのではなく、子ども自身が立ち上がるのを見守れるかどうか。
前述の子が変わっていったのも、誰かに言われたからではありませんでした。自分で考えて、自分で動き始めた結果でした。
そのきっかけを作れる環境が、家庭にあったのだと思っています。
まとめ
セレクションに落ちることは、終わりではありません。
息子がトレセンに合格した年、落ちたチームメイトの方が出場時間が長くなりました。コーチとして両方を見ていたからこそ、それが事実だと分かります。
不合格という結果は、その瞬間は痛い。でも、その経験を自分を見直すきっかけにできた時、一つ上のステージへ進む力になることがあります。
お子さんがセレクションに落ちてしまった時、まずその悔しさを一緒に受け止めてあげてください。その後、子どもが自分なりに立ち上がるのを、少し離れたところで見守っていただけたら、と思います。
その経験が、必ず何かを変えます。
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