試合に出られない時間が続くと、親も子どもも焦りを感じます。
「このままで大丈夫なのか」「他の子はどんどん出場機会を増やしているのに」「早く何とかしなければ」。
その焦りは自然な感情です。ただ、焦った先の行動が、実は子どもの成長を妨げてしまうことがあります。
なぜ焦ってはいけないのか、その理由
まず一般的によく言われる理由を整理します。
焦りが子どもに伝わってしまう
親の焦りは、思っている以上に子どもに伝わります。子ども自身が焦っていなくても、親の不安な様子を見て、本人も不安になることがあります。
短期的な結果を求めすぎてしまう
焦ると、すぐに結果を出させようとしてしまいます。練習量を急に増やす、技術指導を詰め込む。子どものペースを無視した働きかけは、逆効果になることがあります。
子どもの成長スピードには個人差がある
ジュニア年代は身体の成長差が大きい時期です。焦って何かを変えようとしても、成長のタイミングが追いつかないこともあります。
子ども自身の「考える力」を奪ってしまう
親が焦って先回りすると、子ども自身が状況を整理して考える機会が減ってしまいます。
スポーツ心理学の講習で学んだこと
ここからは、私自身がコーチの勉強会で学び、実際に使っている考え方です。
スポーツ心理学の講習で、こんな話を聞きました。
自分の努力やアイデア、工夫で変えられるものと、変えられないものの間に、はっきり線を引く。
それができると、「じゃあどうしようか」と考えられるようになる。そして他責をしなくなる。
天気がいい例だと教わりました。雨が嫌だと言っても、状況は変わりません。でも雨が降ると分かっていれば、濡れた時の準備ができる。濡れたピッチでのプレーを想像できる。
逆に「雨が降ったから負けた」で終わらせると、そこに成長の余白はなくなります。
子どもに使っている問いかけ
この考え方を、私は子どもとの会話でそのまま使っています。
ある試合の後、息子がこう言いました。
「今日の相手、中学生みたいにゴツくて強くてすごくむかついた。」
私はこう聞きました。
「相手って変えられる?」
「変えられない。」
「自分は急に変われる?」
「変われない。」
「じゃあ、何ならできる?」
ここで、息子は考え始めます。もっと前のタイミングで周りを見ていればタックルを避けられたかもしれない。守る時はもっと距離を取っていれば簡単に抜かれなかったかもしれない。
「次の練習でやってみよう。」
怒りや悔しさが、そのまま「次にどうするか」という前向きな問いに変わっていく瞬間でした。
試合に出られない時間にも同じことが言える
試合に出られない時間も、同じ考え方が使えます。
コーチの起用方針は変えられません。チームメイトの実力も変えられません。今日の結果も変えられません。
でも、今からできることはあります。練習の取り組み方、技術の磨き方、声の出し方。変えられる部分に意識を向けることで、出られない時間が「ただ待つ時間」から「準備する時間」に変わります。
焦りは、変えられないことに気持ちが向いている時に生まれやすいものです。
親が焦らないために
子どもが試合に出られない時、親自身も「変えられること」と「変えられないこと」を整理してみてください。
コーチの起用方針、チームの方針、他の子の成長速度。これらは親が変えることはできません。
変えられるのは、子どもへの声かけ、家庭での関わり方、サッカーを楽しめる環境づくりです。そこに意識を向けることで、焦りは少し落ち着いていきます。
まとめ
試合に出られない時間が続くと、焦りが生まれるのは自然なことです。ただ、その焦りが子どもへの過度な働きかけにつながると、逆効果になることがあります。
スポーツ心理学の講習で学んだ「変えられることと変えられないことの線引き」は、焦りを前向きな力に変える一つの方法です。雨を嫌がっても天気は変わらないように、コーチの方針や相手の強さも変えられません。でも自分にできることは必ずあります。
お子さんが焦っている様子を見せた時、「それって変えられる?」と聞いてみてください。怒りや悔しさが、次にどうするかという建設的な問いに変わっていくはずです。
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