「サッカーを辞めたら、この先どうなるんだろう。」
子どもが「辞めたい」と言った時、多くの親御さんがこんな不安を抱えます。今まで頑張ってきたのに。途中で辞めて後悔しないだろうか。将来に影響しないだろうか。
私は25年以上、ジュニアサッカーの現場で子どもたちと関わってきました。その中で、サッカーを辞めた子どもたちのその後を、長い時間をかけて見てきました。
結論から言うと、辞めることは終わりではありませんでした。
サッカーを辞めた教え子たちのこと
私が初めて少年サッカーチームを担当したのは、大学時代のことです。
2年生から5年生まで、17名ほどのメンバーと一緒に過ごしました。卒団の時、半分ほどの子が中学校でもサッカー部に入りました。しかし残りの子たちは、サッカーを続けませんでした。
剣道部に入った子。吹奏楽部を選んだ子。テニス部で活躍した子。それぞれが、サッカー以外の道へ進んでいきました。
その後も、街で会うと向こうから声をかけてくれました。親御さんも、会うたびに近況を話してくれました。
「剣道で県大会に出たんですよ」「吹奏楽部で全国を目指しています」「テニスが楽しくてしょうがないみたいで」
みんな、それぞれの場所で生き生きとしていました。高校生になった姿を見た時、はっきり思いました。サッカーを辞めたことで、その子にしか見つけられなかった世界があった、と。
辞めた子が実際に得たもの
辞めることは、何かを失うことだけではありません。私が見てきた子どもたちには、共通した変化がありました。
新しい夢中になれるものを見つけた
サッカーをやめたことで、今まで気づかなかった自分の好きなことを見つけた子が多くいました。武道、音楽、別のスポーツ。サッカーを続けていたら、出会えなかったかもしれないものです。
人は何かをやめる時、必ず次の何かに向かっています。サッカーが終わりではなく、新しいスタートの入口になっていました。
自分で決めた経験が自信になった
「辞める」という決断は、子ども自身が自分の気持ちと向き合った結果です。誰かに言われたからではなく、自分で考えて選んだ。
その経験は小さいようで、実はとても大きいものです。自分の人生を自分で決めた感覚は、その後の選択にも影響します。街で元気に声をかけてきてくれる教え子たちを見ていると、その自信がにじみ出ているように感じます。
サッカーとの関係が変わった
一度離れたことで、サッカーへの気持ちが整理できた子もいました。「やっぱりサッカーが好きだった」と気づき、数年後に自らグラウンドに戻ってきた子を、私は何人か見ています。
辞めることで、初めて見えてくるものがあります。
当時の私が気づいていなかったこと
正直に書きます。
最初の教え子たちが辞めていく時、私は理解できませんでした。自分自身は、中学生の頃にサッカーを辞めるという選択肢を一度も考えたことがなかったからです。
サッカーは続けるもの。それが当たり前でした。
でも、時間が経つにつれて気づきました。問題は辞めた子どもたちではなく、自分の側にあったのかもしれない、と。
サッカーを楽しいものとして伝えられていたか。その子にとって、グラウンドが安心できる場所になっていたか。
その問いは今も、指導者としての自分を動かし続けています。辞めていった子どもたちが、私に大切なことを教えてくれました。
親としてできること
子どもが「辞めたい」と言った時、親御さんにできることは何でしょうか。
まず、その言葉を否定しないこと。
「もったいない」「せっかくここまで頑張ったのに」という言葉は、子どもの気持ちを閉じさせてしまうことがあります。
次に、なぜそう思ったのかを聞くこと。
辞めたい理由は一つではありません。疲れているだけかもしれない。別にやりたいことが出てきたのかもしれない。まず話を聞くことが、最初の一歩です。
そして、どちらを選んでも味方でいることを伝えること。
続けても辞めても、親が自分の味方だと分かっている子は強いです。長年現場で子どもたちを見てきて、そう確信しています。
まとめ
サッカーを辞めることは、失敗ではありません。
街で元教え子に声をかけてもらうたびに、そう確信します。剣道、吹奏楽、テニス。それぞれの場所で前を向いていた子どもたちが、いちばんの証明です。
「辞めたら後悔するかも」という不安より、「辞めた先に何があるか」を一緒に考えてみてください。その言葉の奥にある気持ちを知ろうとすることが、親子にとっての本当のスタートだと思います。
▼ この記事と一緒に読まれています
▼悩み別ガイドはこちら
・サッカー辞めたい完全ガイド サッカーを辞めたいと言われたら|親が最初に知っておきたい完全ガイド「もうサッカー辞めたい」ある日、子どもから突然そんな言葉を聞いて、戸惑ったことはありませんか。今まで頑張ってきたのに、な…



コメント