サッカーの判断力を伸ばしたい。そう考えて、判断力トレーニングと呼ばれる練習メニューを探す保護者は多いと思います。
でも、判断力の本質を考えると、練習メニューだけの話ではないと感じています。
判断力を伸ばす練習として、一般的に言われるもの
まず、よく挙げられる練習方法を整理します。
複数の選択肢がある状況での練習
パスかドリブルか、シュートか味方への展開か。選択肢がある状況を作り、その場で選ぶ練習が推奨されます。
制限時間を設ける
時間制限をつけることで、素早く判断する力を養うとされています。
実戦形式のミニゲーム
判断力は実戦の中でこそ磨かれるという考え方から、ミニゲームを多く取り入れる方法が推奨されます。
動画で判断を学ぶ
プロの試合映像を見て、「この場面でどう判断するか」を考える練習も効果的とされています。
これらは間違っていません。ただ、判断力の本質を考えると、もう少し深い話があります。
サッカーの判断力はアドリブ力に近い
サッカーの判断力は、アドリブ力に近いものだと思っています。
その瞬間、その状況の中で、自分がいいと思う選択をする。それが判断です。
だからこそ、「こういう時はこうする」というパターンを覚えさせる練習だけでは、本当の判断力は身につきません。
合理的なコーチは、「判断が身につく(と思っている)練習」をよくします。でも、その練習の中で「何やってんだよ」「そういう時はこっちだろ」と言ってしまうようでは、結局判断力は育ちません。子どもは正解を探すようになり、自分で考えることをやめてしまいます。
学校教育で判断力は身につきにくい
もう一つ、感じていることがあります。
学校教育では、いい判断力が身につくとは思っていません。
やらされること、先生の期待に応えること、親の期待に応えること。それによって想像力は育つかもしれませんが、判断力は偏っていきます。
ミスを恐れたり、間違いをしないようにする雰囲気の中で育った子は、間違えることに強い抵抗を持つようになります。
だからこそ、チームの中では「間違えることは悪いことじゃない」と思ってもらえるよう工夫しています。
「わかんない」と「シュート、なんで?」の違い
具体的な練習前のやりとりの例をお話しします。
「今日の練習、何する?」
「わかんない。」
「じゃあ考えて。」
考えないのは、良くないと伝えます。
一方で、こんな会話もあります。
「今日の練習、何する?」
「シュート。」
「なんで?」
理由があれば、それをやろうということになります。
「わかんない」と答える子と、「シュート」と答えて理由まで言える子。この差は、判断力そのものです。
判断とは「境界線を引くこと」
サッカーの判断とは、いくつかある選択肢の中から、時間内に一つを選ぶことです。
例えば、「判断とは、境界線の右側か左側かを選ぶこと」だとすると、その境界線をどこに引くのかが問われます。
その境界線を引く力を育てることも、判断力を育てることにつながります。
日常のあらゆる質問が判断力を育てる
ここで大切なのは、境界線を引く練習は、サッカーの中だけで行うものではないということです。
「今日の練習、何するの?」
「そもそも練習やるの?」
「なんでやるの?」
「何食べたいの?」
「どこ行きたいの?」
「誰が好きなの?」
これら全ての問いを考えることが、境界線を引く力を育てることになるのではないかと思っています。
サッカーとは関係のない質問に見えるかもしれません。でも「自分はどう思うか」を考え、答えを選ぶという行為そのものが、判断力の土台になっています。
親にできること
子どもの判断力を育てたいなら、サッカーの練習メニューだけを考える必要はありません。
日常の中で、たくさん質問してあげてください。
「今日何食べたい?」「どこ行きたい?」小さな質問でも構いません。子ども自身が考えて答える機会を、日々の中に増やしていくこと。それが、結果的にサッカーの判断力にもつながっていきます。
まとめ
サッカーの判断力は、アドリブ力に近いものです。パターンを覚えさせるだけの練習では、本当の判断力は身につきません。
判断とは、いくつかの選択肢の中から境界線を引いて一つを選ぶこと。その力は、サッカーの練習の中だけでなく、日常のあらゆる場面で育てられます。
「今日の練習何する?」も「今日何食べたい?」も、本質的には同じ問いです。子どもにたくさん質問してあげてください。それが、判断力を育てる一番の自主練かもしれません。
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