コーチに不満がある。でも、どう伝えればいいのか分からない。
伝えたら関係が悪くなるかもしれない。子どもへの扱いが変わるかもしれない。そう考えて、飲み込んでしまう保護者は多いと思います。
今回は少し珍しい視点で、この話をしたいと思います。私自身が、保護者から意見を伝えられた側の経験です。
不満を伝える時の注意点として、一般的に言われること
まず、よく言われるポイントを整理します。
感情的にならず、事実を伝える
「ひどい」「おかしい」ではなく、「子どもがこう言っている」「こういう場面があった」と事実ベースで伝えることが推奨されます。
タイミングと場所を選ぶ
練習や試合の直後、他の保護者がいる場では避け、落ち着いて話せる機会を選ぶことが大切とされています。
要望ではなく相談の形で伝える
「こうしてください」ではなく、「こういうことで悩んでいるのですが」と相談の形にすると、受け取られやすくなります。
子どもの言葉をそのまま鵜呑みにしない
子どもの主観と実際の状況が違うこともあるため、決めつけずに確認する姿勢が大切とされています。
これらは有効な方法です。ただ、伝えられた側のコーチが何を感じるのかは、あまり語られることがありません。
「娘が怖いと言っている」と伝えられた
2年前のことです。
息子のチームの保護者から、「娘が怖いと言っている」と意見をもらいました。
私のチームは二学年で構成されていて、その子が3年生に上がったタイミングでした。チームが始動し始めたばかりの時期で、1年前までとは担当コーチも違い、話し方の雰囲気なども変わっていたと思います。
良かれと思った選択が、裏目に出ていた
私は普段、子どもによく質問をします。
ただ、考える力がまだ育っていない子は、質問されることを「怖い」と感じることがある。それは過去の経験から理解していました。頭が止まってしまってはサッカーは上達しないので、負荷がかかりすぎないように質問するようにしています。
そして、始動初期の3年生はまだ慣れていないので、伸び伸びさせたい。そう考えて、あえて声をかける頻度を減らしていました。
それが、裏目に出ました。
話しかけられることが少ない。それが、その子には「怖い」と映っていたようです。
コミュニケーションのつもりが、一方的だった
もちろん、毎回の練習で全員に挨拶をし、声をかけ、プレーを褒める。それは欠かさずやっていました。それがコミュニケーションのつもりでした。
でも振り返ると、それは一方的だったのかもしれません。
その子の気持ちや考えを聞く機会は、意識的には作っていませんでした。「自分に話しかけてくれない」と感じさせていた可能性があります。
また、保護者とも一定の距離を保つことを意識しているため、他のコーチより怖い印象を持たれることもあります。後になって「怖いと思っていた」と保護者から聞いたこともあります(笑)。そういう会話が、家の中でも起こっていたのかもしれません。
意見をもらえたから、気づけた
この経験は、大きな学びになりました。
伸び伸びさせるための自分の選択が、相手にはそう伝わっていなかった。意図と受け取られ方は、別物だということです。
そして大切なのは、この気づきは保護者が意見を伝えてくれたから得られたということです。
もしあの時、保護者が飲み込んでいたら、私はその子の「怖い」に気づかないまま指導を続けていました。
不満は期待の裏返し
不満を伝えることは、悪いことではないと思っています。
不満は、期待の裏返しです。チームや指導者に何も期待していなければ、不満すら生まれません。
意見交換によって、「そう考えていたのか」と気づかされることは多くあります。コーチの側にも、保護者の側にも、それぞれの意図があります。伝え合わなければ、すれ違ったままです。
伝える時に意識してほしいこと
伝えられた側の経験から、保護者の方に意識してほしいことがあります。
「子どもがこう感じている」と事実で伝える
あの時の保護者は、「娘が怖いと言っている」と、子どもの言葉をそのまま伝えてくれました。コーチを批判するのではなく、子どもの状態を共有する形だったからこそ、受け取りやすかったです。
コーチにも意図があることを前提にする
コーチの行動には、何かしらの意図があることが多いです。「なぜそうしているのか」を聞く姿勢があると、対話になります。
早めに伝える
小さな違和感の段階で伝えてもらえると、修正もしやすくなります。溜め込んでから伝えると、お互いに感情的になりやすくなります。
まとめ
不満を伝えることは、悪いことではありません。期待の裏返しであり、チームを良くするきっかけになります。
「娘が怖いと言っている」と伝えてもらえたおかげで、私は自分の選択が意図と違う形で伝わっていたことに気づけました。あの意見がなければ、気づかないままだったと思います。
伝える時は、感情ではなく子どもの状態を共有する形で。そしてコーチにも意図があるかもしれないという前提で。その姿勢があれば、不満は対立ではなく、対話のきっかけになります。
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