コーチに相談してもいいのか?|保護者の一言を、20年たっても覚えています

親のサポート術

コーチに相談するのは、出過ぎたことなのでしょうか。

私は指導を始めたばかりの頃、ある保護者から言われた一言を、今でも覚えています。20年以上前のことです。指導者は、思っているよりずっと保護者の言葉を覚えています。

この記事では、コーチに相談していいのかどうかと、伝えるときに気をつけたいことを書きます。言いたいことがあるけれど切り出せない、という方に向けた内容です。

相談すること自体は、悪いことではありません

まず前提として、相談は迷惑ではありません。

指導者から見て困るのは、相談されることではなく、何も言われないまま辞められることです。あとから「実はずっと悩んでいた」と聞かされるほうが、はるかに応えます。

もちろん、伝え方によっては受け取りにくくなります。ただそれは、相談すべきかどうかの話ではなく、伝え方の話です。

相談したほうがいい場面

迷ったときの目安として、次のような場合は伝えたほうがいいと思っています。

体や安全に関わること

痛みがある。前に怪我をした部位が気になる。暑さで体調を崩しやすい。これは遠慮する場面ではありません。指導者は全員の体調を把握できません。

家庭の事情

送迎が難しい日がある。下の子の行事が重なる。受験が近い。事前に分かっていれば、たいていのチームは調整します。

子どもの様子が明らかに変わったとき

急に行きたがらなくなった。帰ってから元気がない。この場合、グラウンドで何かが起きている可能性があります。指導者が気づいていないこともあります。

伝える前に、整理しておきたいこと

話す前に、自分の中で分けておくと伝わりやすくなります。

一つは、事実と気持ちを分けること。「先週の試合で出番が5分でした」は事実です。「軽く扱われている気がします」は気持ちです。混ざると、事実のほうまで感情的に聞こえます。

もう一つは、何を求めているのかをはっきりさせること。状況を知りたいのか、変えてほしいのか、ただ知っておいてほしいのか。ここが曖昧だと、コーチも返しようがありません。

コーチも、全部は見えていません

これは指導する側から正直に書きます。

一人のコーチが見られる範囲には、限りがあります。20人いれば、目が届かない子は必ず出ます。

グラウンドの端で起きたこと。着替えのときの会話。帰り道の様子。ここは、ほぼ見えていません。

だから、保護者からの情報はありがたいです。「うちの子が、こう言っていました」だけでも、次の練習での見方が変わります。

保護者の一言が、今でも残っています

少年チームで指導を始めたばかりの頃の話です。

同じ時期に、社会人チームのキャプテンも別の学年の指導を始めました。私にとっては憧れの人でした。

私が担当していたチームは、少しずつ形になっていきました。技術的にすごいことを教えていたわけではありません。ただ、「なぜそれをするのか」「何を目的にしているのか」を考えながら練習を作っていました。

翌年、人数調整で5名がこちらの学年に繰り上がってきました。そのあと、保護者からこう言われました。

「ちゃんとポジションがあって、役割があって、去年とは全然違いますね」

その言葉は、今でも覚えています。

指導者は、保護者に見られていないと思っていることがあります。私もそうでした。でも実際は、ちゃんと見られているし、言葉も届きます。そして届いた言葉は、かなり長く残ります。

相談していいのかどうか迷っているなら、届く、とだけ言っておきます。

答えを求めすぎないほうが、うまくいきます

相談するときに一番うまくいかないのは、その場で結論を求めてしまうときです。

「なぜ使わないんですか」と聞かれると、コーチは説明ではなく防御をします。人は、責められると理由を並べます。

「今、何を伸ばすと良さそうですか」と聞かれると、答えは全然違うものになります。同じことを知りたいのに、返ってくるものが変わります。

すぐに変わらなくても構いません。伝わっていれば、見方は変わります。

その一言は、たぶん届きます

コーチに相談するのは、悪いことではありません。むしろ、何も言われないまま子どもが離れていくほうが、指導者にとってはつらいことです。

事実と気持ちを分けて、何を求めているのかをはっきりさせる。それだけで、同じ内容がずっと受け取りやすくなります。

私は20年以上前に言われた保護者の一言を、今でも覚えています。批判ではなく、見ていてくれたことが伝わる言葉でした。あれがあったから、自分のやり方を続けられました。

もし今、言おうかどうか迷っていることがあるなら、まず一つだけ伝えてみてください。全部を一度に話す必要はありません。

言葉は、思っているより残ります。

【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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