チームを選ぶとき、月謝や場所、実績など比べる項目は多いのに、見学で何を見ればいいのかは意外と分かりにくいものです。私は25年以上ジュニアを指導してきて、コーチとして、また親として、チームを見る機会がありました。この記事では、その経験から、見学の短い時間でも確かめやすい視点を、私の体験を交えてお伝えします。私の場合はこうでした、というお話ですので、迷っている方の判断材料の一つにしていただければうれしいです。
まず、条件は「外すため」に使うと整理しやすい
チーム選びでは、次のような条件がよく比べられます。
- 通いやすさ(場所・時間・送迎)
- 費用(月謝のほか、遠征費やユニフォーム代を含めた年間の負担)
- チームの方針(勝利を重視するか、全員出場や楽しさを重視するか)
継続が前提になるため、どれも大切です。ただ、条件で並べていくと「無理なく続けられないチーム」は外せても、「残ったチームのどれが我が子に合うか」までは決めにくいと感じます。指導者の資格や経歴も判断材料の一つですが、書類や説明会だけでは、日々の指導の様子までは分かりにくいものです。
良いチーム選びには、勘や運の部分もあると私は思っています。ただ、避けたい条件を絞ることはできます。そのために、見学や体験で私が見ているのが、次の2つです。
見学ポイント①:子どもたちの表情と、自分で考えているか
まず見るのは、在籍している子どもたちの様子です。
- 楽しそうか
- 生き生きしているか
- 言われたことを実行するだけでなく、自分で考えてプレーしているか
技術の高さより、この3つのほうが、そのチームの日常の指導を映しやすいと感じています。サッカーはルールが少なく、ミスが多く、判断力が最も必要になる競技です。指示された通りに動く練習だけが続くと、子どもたちが自分で決める場面は減っていきます。子どもの表情には、そうした日々の積み重ねが表れやすいと思います。
見学ポイント②:コーチの視線はどこに向いているか
次に見るのは、コーチです。
- 上手い子だけでなく、全員に声がかかっているか
- ボールに関わっていない子にも、目が向いているか
- 指示ばかりでなく、子どもの言葉を聞く場面があるか
- 一人ひとりを名前で呼んでいるか
私自身、指導では名前で呼ぶことを大切にしています。ブラジルやアルゼンチンで暮らしていたとき、現地では子どもにもきちんと名前で呼びかけ、思っていることを伝え合う場面が多いと感じました。名前で呼ばれると、「ちゃんと向き合ってもらえている」という感覚が生まれやすいのではないでしょうか。
実際に、こんな場面を見たことがあります。見学中に、あるチームのコーチと話していたとき、共通の知り合いの子どもの話題になりました。話をつなげようとしてくれたのだと思います。ただ、その子について「最近はレギュラーじゃない」「あまり上達していない」と、悪気なさそうに話す姿を見て、このチームには入りたくないと感じました。その場にいない子どものことをどう話すかにも、その人が子どもをどう見ているかが表れると、私は思っています。
コーチとして、私が意識していること
見る側の目安として、私が指導で意識していることも書いておきます。
- 話してこない子にも、特別扱いせず、同じように接する
- チームで話す場面、振り返る場面をいつもつくり、一人ひとりに話す機会を作る
- 出てきた答えを否定しない
- 「思っていることを言っていい」という雰囲気をつくる
私は選手に「あの時、何を考えていた?」とよく聞きます。どんな答えが返ってきても、まず感謝して、良い方向につなげるようにしています。すると「間違っていてもいい」と感じてもらえるのか、答えやすくなっていきます。
見学のときには、子どもが自分の考えを話す場面があるか、そしてコーチがそれをどう受け止めているかを見ておくと、そのチームでの子どもの過ごし方が想像しやすくなると思います。
娘の友達のスクールを見学して感じたこと
娘の友達が入ったスクールを見学する機会がありました。その子は周りの子から指摘され続け、キーパーをずっとやることになり、前向きな気持ちを失いかけているとのことでした。
このとき気づいたのは、大切なのは「問題が起きたこと」ではなく、「それを指導者が見抜けているか」だということです。子ども同士の力関係や役割の偏りは、どのチームでも起こり得ます。見学してみると、コーチはサッカーそのものに熱心で、練習メニューも丁寧に進んでいました。ただ、一人ひとりの表情の変化までは見ていない印象でした。
上を目指すチームが悪いわけではありません。強さと、子どもを見る目が両立しているチームもあります。見分けるポイントは、やはり「コーチが子どもを見ているか」に行きつきます。
入ってから「変えにくい」ことがある
私が見てきた範囲での話ですが、保護者が支えている少年団のようなチームは、内部に入って関わることで変えていける面があります。ただし、それには相当な力が必要だと感じています。一方、クラブとして運営されているチームは、方針が明示されていることが多く、入ってから変わることは少ないと感じています。
どちらが良いという話ではありません。「変わらない前提で、方針が合うか」を入る前に見ておくと、入ってからの戸惑いが少なくなると思います。それでも合わないと感じたときは、移るという選択もあります。ただ、本人が楽しんでいる場合もあるので、決めるのは本人です。他のチームの体験に参加してみる方法もあります。
見学のチェックリスト
体験や見学に行くときの、5つのポイントです。
- 子どもたちの表情は、楽しそうで生き生きしているか
- 言われたことだけでなく、自分で考えてプレーする場面があるか
- コーチは上手い子以外にも声をかけ、名前で呼んでいるか
- ボールに関わっていない子にも、目が向いているか
- コーチと子どもの会話は、双方向か(子どもが話す場面があるか)
いくつ当てはまるかで、チームの輪郭が見えてくると思います。
まとめ
チーム選びで最後に見たいのは、月謝や実績よりも「コーチがサッカーと子どものどちらを見ているか」だと、私は考えています。子どもたちの表情とコーチの視線の先を見るだけでも、そのチームの日常が想像しやすくなります。
コーチとして私自身も、全員に話す機会を作れているかを意識しています。次に見学や体験へ行くときは、我が子のプレーよりも、在籍している子どもたちの表情とコーチの視線を、少しだけ意識して見てみてください。迷う時間も、お子さんと向き合うための大切な時間だと思います。
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