「うちの子に合う環境はどこだろう」。チーム選びや移籍を考える時、多くの保護者がこの問いにたどり着きます。合わない環境で無理をさせたくない。でも、環境のせいにして転々とするのも違う気がする。その線引きが分からず悩んでいる方に向けて書きました。
正直に言うと、私は25年以上指導に関わってきて、「子どもに合う環境」を探したことがありません。この記事では、その理由と、それでも親が動くべき瞬間、そしてチームの形態によって親にできることが違うという現実をお伝えします。読み終える頃には、「探す」以外の選択肢が見えているはずです。
「合う環境の探し方」として一般的に言われること
まず、よく言われる方法を整理します。
子どもの性格タイプで考える
競争で燃えるタイプか、認められて伸びるタイプか。性格と指導方針の相性を見る方法です。
体験に複数参加して比較する
1つのチームだけでなく、複数の体験に参加して子どもの表情を比べることが推奨されます。
子ども自身に選ばせる
最終的な決定を本人に委ねることで、入った後の主体性につながるとされています。
通いやすさや生活バランスも含めて考える
環境は練習の中身だけでなく、送迎や睡眠時間も含めた生活全体で考えるべきとされます。
どれも有効です。ただ、私自身は少し違う考えを持っています。
合う環境を探したことがない理由
私は「合う環境」を探したことがありません。
理由は2つあります。
1つ目は、「合う」というのは肌感覚に近いものだからです。条件を並べて比較しても、実際に入ってみないと分からない部分が大きい。事前に完璧な答えを出すことは、そもそも難しいのです。
2つ目は、環境に合わせることも、社会で生きる上で必要な能力だからです。
大人になれば、自分に完璧に合う職場や人間関係ばかりではありません。合わない部分がある環境の中で、折り合いをつけたり、自分の居場所を見つけたりする力。それは子ども時代の「ちょっと合わない経験」の中で育っていきます。
合わない要素を全部取り除いた環境は、一見優しいようで、その力が育つ機会を奪っているかもしれません。
それでも、子どもによって反応は違う
とはいえ、子どもによって環境への反応が違うのは事実です。我が家でもはっきり分かれます。
息子は、声の大きい怖い印象のコーチが苦手です。以前書いた通り、スクールの体験に参加すらできなかったことがあります。
娘は、練習から帰ると「今日は考える練習はなかった」と報告してきます。物足りない、と文句を言うわけではありません。ただ、考える練習があるかどうかが、娘なりの練習を見る物差しになっているようです。
同じ家で育った兄妹でも、環境のどこに反応するかは全く違います。だから「見極める」というより、日々の言葉や表情から「この子は何に反応する子なのか」を知っておく。それが、いざという時の判断材料になります。
親が動くべき瞬間はある
環境に合わせる力が大切だと言いましたが、放置でいいという意味ではありません。
環境を変えるのは大人の役割ではないか、と常々思っています。
子どもがサッカーそのものをつまらなく感じ始めた時。気持ちが折れかけて、大人の前向きな声が必要な時。そういう瞬間には、大人が環境側に働きかける必要があります。子どもに「我慢しろ」だけでは、サッカーが嫌いになって終わってしまいます。
クラブチームと少年団で、親にできることは違う
ただし、ここに現実的な違いがあります。
信念のあるクラブチームの場合、親が運営や指導に介入することは基本的にできません。チーム理念に賛同して入会するかどうか、が入口ですべてです。合わなければ、選択肢は「続ける」か「移る」の二択に近くなります。
一方、私のチームは保護者が運営する少年団です。だから、子どもたちのサッカーがつまらなくなりかけた時に、保護者やコーチが中から介入し、環境そのものを変えることができました。
どちらが良い悪いではありません。ただ、入る前に「この環境は、後から変えられる余地があるのか」を知っておくことは、チーム選びの大切な視点だと思っています。
まとめ
「子どもに合う環境」は、事前に完璧に探し当てられるものではありません。合うかどうかは肌感覚に近く、そして環境に合わせる力もまた、社会で生きるために必要な能力だからです。
それでも、子どもがサッカーをつまらなく感じ始めた時には、大人が動く必要があります。その時にできることは、クラブチームか少年団かというチームの形態によって変わります。
環境を「探す」より、我が子が何に反応する子なのかを日々の言葉から知っておくこと。そして入る前に「変えられる余地のある環境か」を確認しておくこと。その2つがあれば、完璧な環境を探し回る必要はありません。
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