私は、小学生年代ではできる限り全員が同じように試合を経験するべきだと思っています。
以前、「試合に出られない子への接し方」という記事を書きました。保護者として、出られない我が子にどう声をかけるか。それはとても大切なテーマです。
ただ、あの記事を書きながら、ずっと引っかかっていたことがあります。そもそも育成年代で試合に出られない子を作ること自体が、おかしいのではないか。この記事では、そちらの話を書きます。
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JFAも「多くの選手に試合経験を」と示している
これは私個人の考えだけではありません。
日本サッカー協会は育成年代の大会ガイドラインの中で、特にU-12以下は誰もが大きな可能性を秘めているため、大勢の選手に多くの機会を与えることが大切だとしています。そして試合は、そのための経験を積ませる貴重な場だとも示しています。
協会が一貫して掲げているのが、Players First(プレーヤーズファースト)という考え方です。目先の勝利ではなく、子どもにとって何が最も良いのかを基準に考える。それが育成年代の大前提とされています。
「全員出場」の中身は、チームによって違う
ここで一つ、知っておいてほしいことがあります。
「うちは全員出場です」と説明されていても、実際には終了間際に2〜3分だけ、という形になっている場合があります。
ルール上は出場していますし、そのチームなりの事情や考え方もあると思います。ただ、子どもに必要なのは出場記録ではなく経験だ、というのが私の立場です。
ボールを触る。失敗する。判断する。仲間と関わる。緊張する。これらは数分ではなかなか経験できません。
チームを選ぶときや説明を受けるときは、「全員出場かどうか」ではなく「どれくらいの時間を経験できるのか」まで聞いてみるといいと思います。
実力別で固定し続けることへの違和感
実力差があるのは事実です。だから練習や試合で一時的にグループを分けることはあります。
気になるのは、それがそのまま固定されてしまうケースです。上のグループは自信を持ち、下のグループは自信を失う。そして経験する機会の差まで開いていきます。
日本サッカー協会も、育成年代については長期的視野に立った選手育成を重視しています。
子どもの成長は一直線ではありません。今うまい子が将来も伸び続けるとは限らないし、今できない子が後から大きく伸びることも珍しくありません。だから私は、小学生年代で可能性を決めつけるべきではないと思っています。
それでも、5分で交代させることがあります
誤解してほしくないのは、全員出場は放任ではないということです。
私は試合開始から5分で交代させることがあります。実際、よくあります。
たとえば、試合前に確認した約束をまったく意識していなかった場合です。そういうときは交代させます。
でも、そこで終わりにはしません。必ず理由を伝えます。そして「なぜ交代になったと思う?」と本人に確認します。意図を理解できたら、もう一度出場させます。
大事なのは罰ではなく、学びです。出場時間を取り上げるためではなく、気づいてもらうために一度ベンチに戻す。全員出場と、何も求めないことは別のものだと考えています。
「出たくない」と言った時は、無理に出さない
全員出場を基本にしていますが、例外もあります。本人が「今日は出たくない」と言った時です。
無理やり出しても、良い経験にはなりません。まずは気持ちを聞きます。何が不安なのか、何が嫌なのか。そこを一緒に考えます。
育成とは、サッカーの技術だけでなく、子どもの心も育てることだと思っています。
「勝たせる人」より「経験させる人」でありたい
勝つことは大切です。勝った喜びもサッカーの魅力です。私自身、勝ちにいく大会を年間に設けています。
ただ、小学生年代の目的は優勝ではなく育成です。日本サッカー協会も、この年代にふさわしい環境の中で豊かな経験を積み重ねることを重視しています。
だから育成年代の指導者は、「勝たせる人」である前に「経験させる人」であってほしい。これは、自分自身への言葉でもあります。
一つだけ、考えてみてほしいこと
お子さんが今いるチームは、「全員出場かどうか」で言えばどちらでしょうか。
そしてもう一つ。そのチームがどういう考えで出場時間を決めているか、聞いたことはあるでしょうか。
方針が合わないことは、悪いことではありません。合っていないと気づかないまま6年間が過ぎることのほうが、もったいないのだと思います。
よくある質問
Q. 全員出場だと、上手い子が伸びなくなりませんか。
A. 私はそうは感じていません。誰にでも出番があると分かっている環境のほうが、チーム全体の練習の質が上がります。そのうえで、勝ちにいく大会を別に用意すれば、目標も残ります。
Q. チームの方針を変えてほしいと伝えてもいいのでしょうか。
A. 伝えること自体は自由です。ただ、方針は簡単には変わりません。「変えてもらう」より「合う場所を選ぶ」ほうが、子どもの時間を守れる場合が多いと思います。
Q. 少年団とクラブチームで、考え方は違いますか。
A. 団体の種類より、その現場の指導者の考え方によるところが大きいと感じています。名称ではなく、実際の試合を一度見て判断するのが確実です。
まとめ
試合に出られない子への接し方は大切です。でも私は、その前に「試合に出られない子をできるだけ作らないこと」のほうが大切だと思っています。
日本サッカー協会も、U-12以下では大勢の選手に多くの機会を与えることが大切だと示しています。Players Firstという考え方は、目先の勝利より子どもにとって何が良いかを基準にするということです。
私は全員を出しますが、約束を意識していなければ5分で交代させることもあります。全員出場は、何も求めないことではありません。出場時間を保証したうえで、そこで何を学ぶかを一緒に考える。それが私のやり方です。
まずは一度、お子さんのチームの試合を最後まで見てみてください。誰が、どれくらいの時間出ているか。そこにチームの考え方が表れています。
育成年代の試合は、うまい子だけのものではありません。すべての子どものものです。そう信じて、これからも全員が経験できる環境をつくっていきたいと思っています。
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