試合に出られない時期に、子どもは何かを得られるのか。
そう考えた時、よく挙げられるのが「忍耐力」「感情のコントロール」「メンタルの強さ」といった言葉です。
でも正直に言うと、私はこの考え方に少し疑問を持っています。
ジュニア年代にメンタルを求めていいのか
大人でもメンタルと向き合えている人は少ない。感情をコントロールできる大人が、どれだけいるか。
そう考えると、ジュニア年代の子どもに「我慢しろ」「感情をコントロールしろ」と求めることが、本当に正しいのかと思います。
子どもの心はたくさん動いていい。喜んでいい。悔しがっていい。怒っていい。泣いていい。
むしろ、ジュニア年代のうちに心がたくさん動く経験をした子の方が、その後の成長につながると思っています。感情をコントロールできるようになるのは、たくさん心が動いた経験を積み重ねた先にあることです。順番が逆なのです。
試合に出られない時期に「我慢できたかどうか」より、「どれだけ心が動いたか」の方が大切だと思っています。
本当に身についてほしい力
では、試合に出られない時期に身についてほしい力は何か。
私が現場で感じてきたのは、仲間にアンテナを向ける力です。
仲間のプレーを見ている。良いプレーに気づく。それを言葉にして伝えられる。仲間の活躍を自分のことのように喜べる。
この力は、試合に出続けている選手より、ベンチから試合を見ている選手の方が育ちやすい部分があります。自分がプレーしている時は、自分のことで精一杯になります。外から見ている時間があるからこそ、仲間に目が向く。
他の記事で書いた、スタメンの子がベンチスタートの子の活躍を素直に喜んだ場面。「自分だったら止められなかった」と言えたキーパーの言葉。あれも、出たり出なかったりを経験する中で育った力でした。
良いチームとそうでないチームの違い
長年指導してきて、チームを見る時に感じることがあります。
子どもが元気で、声をたくさん出しているチームは良いチームだと思います。ただ声が出ていても、コーチの真似をしてコーチングばかりする子が多いチーム、強い言葉で仲間を指示するチームは、良いとは思いません。
私が好きなのは、仲間にアンテナがあるチームです。
仲間の良いプレーを見つけて喜ぶ。「ナイス」「よかったよ」という声が自然に出る。仲間のプレーを自分のことのように感じられる。そういうチームになりたいと、ずっと思ってきました。
そしてそういうチームは、試合に出る出ないを固定せず、いろんな選手がいろんな役割を経験しているチームが多い印象があります。
出られない時期に親ができること
試合に出られない時期の子どもに、親としてできることがあります。
感情を抑えさせようとしない。悔しがっていたら、その悔しさを否定しない。「我慢しなさい」より先に、「悔しかったね」と受け止める。
そして「今日、誰のプレーが良かったと思った?」と聞いてみる。仲間に目を向けるきっかけを作ること。それが、試合に出られない時期の子どもに、親が渡せる一番の力だと思っています。
まとめ
試合に出られない時期に身につく力として、メンタルの強さや感情のコントロールがよく挙げられます。でもジュニア年代のうちは、心がたくさん動いていい。感情をコントロールできるようになるのは、たくさん動いた心の積み重ねの先にあることです。
出られない時期に本当に身についてほしいのは、仲間にアンテナを向ける力です。仲間の良いプレーを見つけて喜べる。その言葉を伝えられる。その力が育っているチームは、結果以上の何かを持っています。
試合に出られない時期のお子さんに「我慢しなさい」と言う前に、「今日誰のプレーが良かった?」と一言聞いてみてください。その問いが、仲間へのアンテナを育てるきっかけになります。
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