子どもが自信を失っている。
サッカーへの取り組みが暗くなった。以前より元気がない。練習中も表情が硬い。
そんな子どもを見た時、親としてどう接すればいいか迷うことがあります。
私には、この問いについて、ずっと忘れられない経験があります。指導者として若かった頃の話です。
若い指導者だった頃の後悔
大学時代、少年サッカーチームで指導を始めた頃のことです。
チームには20人近くの子どもがいました。友達との関係がうまくいかず、周囲から少し距離を置かれている子がいました。その子はよく私のところに来て、話しかけてきました。
今思えば、私に安心できる場所を求めていたのだと思います。
でも当時の私は、20人の子どもたちとバランスよく関わることに精一杯でした。一人に時間をかけすぎることへの迷いもありました。結果として、その子が来るたびに、どこかそっけない対応をしてしまっていた。冷たい態度を取っていたかもしれません。
良いところはたくさんある子でした。特にキックは光るものがあった。褒めることもありました。でも振り返ると、プレーの良し悪しより前に、その子が必要としていたのは「安心できる場所」だったと思います。それを作れなかった。
その後、お母さんから「辞めます」という連絡が来ました。謝りました。するとお母さんから「たくさん話を聞いてくれてありがとうございました」という言葉が返ってきました。
納得できませんでした。自分の対応の悪さを、感謝の言葉で包まれた気がして、余計に苦しかった。
十数年後の再会
それから十数年が経った頃、その子と再会する機会がありました。
直接謝りました。当時の自分の対応について。
しかし本人は気にしていませんでした。それどころか、チームを辞めた理由を「自分のコミュ力のなさのせい」と自分で言っていました。
その言葉を聞いて、複雑な気持ちになりました。本人が自分のせいだと思っている。でも私の対応が違えば、その子の自己評価は変わっていたかもしれない。
彼はその後、ダンスに明け暮れ、海外を目指すほどになっていました。日本にいる間は児童指導員として子どもと関わっていた。サッカーを辞めた後も、自分の道を歩んでいた。
その姿を見て、少し救われた気持ちになりました。同時に、あの頃もっと安心できる場所を作れていたら、と今でも思います。
自信を失った子どもに本当に必要なこと
この経験から、自信を失った子どもへの接し方について、伝えたいことがあります。
技術より先に「安心」が必要
自信を失っている子どもに、技術的なアドバイスや褒め言葉を伝えることは大切です。でも、それより先に必要なことがあります。
この場所にいていい、という安心感です。
その子はキックを褒めていました。でも彼が求めていたのは、技術の評価ではなく、安心できる関係でした。技術を褒める前に、その子の存在を受け入れることが先だったと、今なら分かります。
話しかけてくる子どものサインを見逃さない
自信を失った子どもは、言葉にしないことが多い。
でも行動に出ます。親のそばに来る時間が増える。話しかけてくる回数が増える。試合や練習への取り組みが変わる。
そのサインを見た時、忙しくても一度立ち止まって向き合うことが大切だと思っています。私はそれができなかった。
「待つ」ことも接し方のひとつ
自信を失った子どもに、すぐに答えを出す必要はありません。
「大丈夫?」と声をかけて、反応を待つ。隣にいるだけでいい時もある。何か言わなければという焦りより、ただそばにいる安心感の方が、子どもに届くことがあります。
まとめ
自信を失った子どもへの接し方で大切なのは、技術の評価より先に安心できる場所を作ることです。
あの頃の自分にもっと余裕があれば、と今でも思います。20人の子どもたちのバランスを取ろうとした結果、一人の子どもが安心できる場所を失っていた。その後悔は今も残っています。
十数年後に再会した彼は、自分の道を歩んでいました。ダンスで海外を目指し、児童指導員として子どもに関わっていた。サッカーを辞めた先に、彼自身の人生がありました。
ただ、もし安心できる場所があったなら、その後の彼の自己評価は少し違っていたかもしれない。その思いは消えません。
お子さんが自信を失っているように見えた時、まず「ここにいていいよ」という空気を作ることから始めてみてください。言葉にしなくても、その安心感は子どもに届きます。
▼ この記事と一緒に読まれています
▼悩み別ガイドはこちら
試合に出られない子の親が知っておきたいこと完全ガイド|25年の指導経験から伝えたいこと「また今日も試合に出られなかった…」ベンチで試合終了を迎える我が子を見て、つらい気持ちになったことはありませんか。一生懸…



コメント