「悔しさをバネにして頑張れ」
サッカーの現場でよく聞く言葉です。負けた時、試合に出られない時、悔しさを成長のエネルギーに変えることは大切だと言われます。
でも25年以上の指導経験を振り返った時、正直に言うと、悔しさをバネに伸びた子よりも、サッカーを楽しんで伸びた子の方がずっと印象に残っています。
今回はその話と、中学3年間試合に出られなかった子が、高校で誰よりも輝いた話をしたいと思います。
ジュニア年代で印象に残るのは「楽しんで伸びた子」
田舎という地域性もあったかもしれませんが、ジュニア年代で「悔しさをバネに練習しまくって伸びた」という経験は、正直あまり記憶にありません。
代わりに強く印象に残っているのは、サッカーが好きで、楽しんでいて、気づいたら上手くなっていた子どもたちです。
誰かに言われたからやるのではなく、ボールを蹴ることそのものが好きだった子。練習が終わっても帰らずにボールを触り続けていた子。そういう子が、長い目で見て大きく成長していく姿を何度も見てきました。
ジュニア年代に必要なのは「悔しさ」より「楽しさ」。サッカーを好きになれるかどうかが、その後の成長を左右すると思っています。
中学3年間、試合に出られなかった子
ジュニアユース年代での話です。
一人、体が小さくて試合出場機会がほとんどない子がいました。その代は大きい子が揃っていて、市の大会で優勝するほどのチームでした。実力のある選手が多い中で、体格で劣るその子は、なかなか出場機会を得られませんでした。
ただ、私はその子のプレーを見ていて、確信していることがありました。
キックがきれいだった。ボールをしっかり捉えている。周りを見る力もある。体格は小さくても、サッカーの本質的な部分を持っていた。
だから伝え続けました。
「体がついてくれば、絶対に上手くなるから諦めるな。」
高校で、元レギュラーを超えた
その後、彼は高校で部活には入らず、私の社会人チームに加わりました。
結果として、中学でレギュラーだった同級生たちが高校のサッカー部でプレーを続けていた中で、彼の方がよっぽど上手くなっていました。
体が成長した。技術は中学時代から積み上げていた。周りを見る力も磨かれていた。出場機会が少なかった時間も、サッカーへの関わりをやめていなかった。
全部がつながって、一気に花開いた感覚でした。
あの時諦めずにいてくれた、と思いました。
試合に出られない時期に何が大切か
この経験から感じていることがあります。
「楽しさ」を手放さないこと
試合に出られない時期は苦しい。でも、その時期にサッカーへの楽しさや好きという気持ちを失わずにいられるかどうかが、その後を分けます。
悔しさをバネにすることも大切ですが、それより先に「またボールを蹴りたい」と思える気持ちが残っているかどうかの方が重要だと思っています。
今見えていない部分を信じる
体格の差、成長速度の差。ジュニアからジュニアユース年代は、この差が非常に大きい時期です。今の序列が将来を決めるわけではありません。
彼の場合、キックと視野という「今は発揮できていないが確かにある力」が見えていました。それが見えていたからこそ、諦めるなと伝え続けられた。
子どもの今見えていない部分を信じることが、指導者にも親にも求められることだと思っています。
諦めないための環境を作る
彼が諦めなかった理由のひとつに、サッカーを続けられる場所があったことがあると思います。部活に入らず社会人チームを選んだのも、自分に合った環境を選んだ結果でした。
試合に出られない時期の子どもに必要なのは、「諦めるな」という言葉だけではなく、諦めなくていい環境です。
まとめ
悔しさをバネにすることより、楽しさを持ち続けることの方が、ジュニア年代の成長には大切だと感じています。
中学3年間試合に出られなかった子が、高校で元レギュラーたちを超えていった。その姿を見た時、指導者として伝え続けたことが間違いではなかったと感じました。
試合に出られない時期にいるお子さんへ。今この瞬間の序列が、その子の未来を決めるわけではありません。サッカーへの楽しさや好きという気持ちを失わずにいること、それを支える環境を作ること。それが今、親にできる一番大切なことだと思っています。
体がついてくれば、必ず変わります。その言葉を、私は今でも信じています。
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