「うちの子、なぜ試合に出られないんだろう。」
検索すると、「出場機会が少ない子の特徴」という記事がよく出てきます。身体能力、判断の速さ、声の大きさ。どれも間違ってはいません。ただ25年以上指導してきた立場から、正直に思うこともあります。この記事では、一般的に言われる特徴と、指導者としての本音、そして実際に変わった子の話をお伝えします。
出場機会が少ない子に、よく挙げられる5つの特徴
1. 身体能力の成長が周りより遅い
スプリント、持久力、フィジカルの強さ。身体の成長スピードには個人差があり、同学年でも差が大きく出やすい時期です。
2. 試合中の判断が遅い
ボールを持った時、どこを見て、どう動くか。判断の速さは経験によって変わります。
3. 声を出す習慣がない
ピッチ上でのコミュニケーション、味方への指示、ポジション修正の声。声を出せる選手は、評価が上がりやすい傾向があります。
4. 練習への取り組み方に波がある
集中している時とそうでない時の差が大きい子は、安定したパフォーマンスを評価されにくいことがあります。
5. ミスを引きずりやすい
一度のミスで気持ちが切れてしまうと、その後のプレーにも影響が出ることがあります。
このうち「声を出す習慣」は、実は一番変えやすい特徴だと感じています。元Jリーグクラブの育成コーチとして60万人以上の子どもを指導してきた池上正氏は、声を出す習慣は繰り返しの練習によって身につけられるものであり、数回のトレーニングを重ねるだけで声を出せるようになる子は少なくない、と述べています。
つまり、「声が出ない子」は、生まれつきそういう性格というより、その練習をしてこなかっただけ、ということが多いのです。出場機会の差そのものについては、レギュラーになれない本当の理由とはでも詳しく取り上げています。
シャイで目も合わせられなかった子が、パスの中心になった話
以前指導していた子に、極端にシャイな子がいました。
朝の挨拶の時、目を見て話すことができない。声も小さい。試合中も、ほとんど声を出しませんでした。
技術は、決して低くありませんでした。ボールタッチも、視野の広さも、悪くない。ただ、味方に「ここに出して」と言えない。だから、ボールが集まってこない。
そこで、声を出す必要性を繰り返し伝えました。技術の指導ではなく、「なぜ声が必要なのか」を、何度も言葉にして伝え続けました。
味方は、声を出している選手にボールを出したくなる。声は、自分の位置と意図を伝える、一番簡単な方法だということ。
最初は、小さな声でした。それでも、出すたびに声をかけました。
しばらくすると、少しずつ声が大きくなっていきました。そして気づけば、その子はチームの中で、一番パスを集める選手になっていました。
技術は、最初から持っていました。変わったのは、声を出せるようになったことだけです。
「性格」だと思われていたものが、実は「未経験」だったりします
シャイであることと、声が出せないことは、必ずしも同じではありません。声を出す経験を積んでいないだけ、というケースは少なくないと感じています。
「うちの子は大人しいから」と決めつける前に、声を出す練習そのものをしてきたかどうかを、振り返ってみる価値があります。
今日から試せる3つのこと
1. 「声を出して」ではなく「なぜ声が必要か」を伝える
指示だけでは続きません。理由が分かると、子ども自身が意識するようになります。
2. 家の中で、小さな声出しから始める
「今日どうだった?」への返事を、少しはっきり言ってもらうだけでも練習になります。
3. 出せた時に、その場で認める
「今の声、良かったね」の一言が、次の一歩につながります。
その「特徴」は、本当に変えられないものでしょうか
身体能力のように、今すぐには変えられないものもあります。
でも、声を出す習慣のように、練習で変えられるものもあります。
今、うちの子に当てはまると思っている特徴は、本当に変えられないものでしょうか。それとも、まだ練習していないだけのものでしょうか。
よくある質問
Q. 声を出す練習は、家庭でもできますか。
できます。返事をはっきり言う、挨拶の時に相手の目を見る、といった日常の小さな習慣から始められます。
Q. 声を出しても、なかなか試合で使えません。
練習と試合では緊張感が違います。練習で出せるようになった声を、試合でも1回だけ出す、といった小さな目標から始めると、つながりやすくなります。
Q. 性格的にシャイな子に、無理に声を出させてもいいのでしょうか。
無理に大声を出させる必要はありません。まずは味方に聞こえる小さな声から、少しずつで大丈夫です。
まとめ
出場機会が少ない子に共通する特徴として、身体能力や判断の速さ、声の出し方などがよく挙げられます。どれも間違いではありません。
ただ、その中で「声を出す習慣」は、練習によって変えられる部分です。以前指導した、目も合わせられないほどシャイだった子が、声を出す練習を重ねてパスの中心になった経験があります。
今日、家庭でできることは、返事を少しはっきり言ってもらうことだけです。
「性格だから仕方ない」で終わらせず、まだ練習していないだけかもしれない、という見方を持ってみてください。それが、子どもの可能性を広げる一歩になります。
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