成長曲線には個人差がある|25年の現場で見てきた「バラバラな伸び方」

親のサポート術

「成長には個人差があります」。よく聞く言葉です。頭では分かっている。でも、目の前で我が子とあの子の差を見せつけられると、その言葉はあまり慰めになりません。「個人差って、具体的にどれくらいあるの?」「本当に後から伸びる子なんているの?」。そう思っている方に向けて書きました。

この記事では、一般論としての個人差の話に加えて、25年以上の指導現場で実際に見てきた「バラバラな伸び方」の実例を並べます。抽象的な励ましではなく、具体的な事実として読んでください。読み終える頃には、今の差が「確定した差」に見えなくなっているはずです。


成長曲線の個人差について、一般的に言われること

まず、知識として押さえておきたいことを整理します。

発育のピークは人によって数年ずれる

身長が一気に伸びる時期(成長スパート)は、早い子と遅い子で数年の差があります。同じ学年に、発育段階の違う子どもが混ざっているのがジュニア年代です。

体・技術・頭は、別々に育つ

身体能力、ボール技術、状況判断。この3つは同じペースでは育ちません。体が先の子、技術が先の子、頭が先の子がいます。

ジュニア年代の評価は発育差の影響を強く受ける

今の時点の試合での活躍は、実力よりも発育の早さを反映していることが多いとされます。

早熟の優位は、いずれ縮まる

体の差は最終的に縮まります。その時に残るのは、それまでに積み上げた技術と判断力です。

理屈はこの通りです。では、現場では実際に何が起きているのか。


現場で見てきた、バラバラな伸び方

私が実際に見てきた子どもたちの話をします。

中学3年間出られず、高校で開花した子

体が小さく、ジュニアユースの3年間ほとんど試合に出られなかった子がいました。ただ、キックはボールを正確に捉えていて、周りを見る力もありました。「体がついてくれば絶対に上手くなる」と伝え続けました。高校で体が追いつくと、中学時代にレギュラーだった同級生よりも上手くなっていました。

体が最後に来たパターンです。技術と頭が先に育っていたから、体が来た瞬間に全部つながりました。

セレクションに落ちてから、追い抜いた子

5年生でトレセンのセレクションに落ちた子が、そこから自分の武器を見つめ直し、1年後には合格した息子よりチームでの出場時間が長くなっていました。

きっかけで曲線の角度が変わったパターンです。成長曲線は生まれつき決まっているものではなく、本人の気づき一つで途中から変わります。

大人になってから伸びた人

女子チームには、娘の入団をきっかけに自分もサッカーを始めたお母さんがいました。頭では分かるのにできない悔しさから、朝早く起きて自主練を重ね、リフティング100回に到達しました。

曲線に終わりがないパターンです。伸びる時期は、子ども時代だけとは限りません。

学校の外で花開いた子

サッカーを辞めた教え子たちは、剣道、吹奏楽、テニス、ダンスと、それぞれの場所で伸びていきました。海外を目指すほどダンスに打ち込んだ子もいます。

曲線がサッカーの外に伸びたパターンです。成長曲線は一本ではありません。

偏差値が真逆の高校から、同じ大学へ

サッカーの話ではありませんが、高校の友人に、市内で偏差値が一番低い高校へ行った友人と、一番高い高校へ行った友人がいます。二人は同じ大学に進学しました。

通る道が違っても、着く場所は分からないという話です。今の位置は、到達点を決めません。


実例が教えてくれること

これらを並べて見えてくるのは、3つです。

①伸びる時期は、本当にバラバラ。 小学生で伸びる子、高校で伸びる子、大人になって伸びる人までいます。

②伸びる順番も、バラバラ。 体が先か、技術が先か、頭が先か。順番が違うだけで、遅れではありません。

③曲線は、途中で変わる。 セレクション落ちのような出来事一つで、角度は変わります。今の曲線の延長線上に未来があるわけではありません。


親にできるのは、曲線を「切らない」こと

個人差があると分かった上で、親の役割は何か。

成長曲線を伸ばすことは、親にはできません。できるのは、曲線を途中で切らないことだけです。

体が追いつく前に「向いていない」と結論を出す。伸びる前に比較で自信を折る。きっかけが来る前に辞めさせる。曲線が切れるのは、いつも「まだ伸びる前」です。

続けられる環境と、サッカーを好きでいられる気持ち。この2つさえ切らさなければ、曲線はその子のタイミングで伸びていきます。


まとめ

成長曲線の個人差は、慰めの言葉ではなく、現場で毎年起きている事実です。中学3年間出られなかった子が高校で開花し、セレクションに落ちた子が1年で逆転し、大人になってから伸びた人までいます。

伸びる時期も、順番も、バラバラです。そして曲線は、きっかけ一つで途中から変わります。

今の差に焦った時は、思い出してください。親にできるのは曲線を伸ばすことではなく、切らないことです。続けられる環境と好きという気持ちを守っていれば、あとはその子のタイミングが来ます。


【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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