「うちの子には才能がないのかな」
試合に出られない日々が続くと、そんな不安がよぎることがあります。
私自身も、ベンチに座る子を見て、同じように考えたことがあります。
でも、指導の現場を長く見ていると、出場機会と才能は、必ずしも一致しません。
この記事では、その理由と、保護者としてどう関わればいいかを整理しました。
出場人数には、そもそも限りがあります
まず、事実として押さえておきたいことがあります。
8人制サッカーで、同じ学年に20人所属していたとします。
試合開始時にピッチへ立てるのは、8人だけです。
残りの12人は、ベンチになります。
つまり、今の8人に入っていない、という事実があるだけです。
そこに「才能がない」という意味は含まれていません。
育成年代の評価は、途中経過にすぎません
日本サッカー協会は、選手育成の基本方針として、目先の勝敗ではなく、一人ひとりの選手が長期的にどれだけ成長できるかを重視する考え方を掲げています。
人の心身が育つ速さは一定ではなく、子どもは大人を小さくした存在ではない。
そういう前提に立っています。
小学生年代では、同じ学年でも体格や運動能力に大きな差があります。
身長で10cm以上、体重で10kg以上違うことも、珍しくありません。
体の成長に個人差があることは、成長曲線には個人差があるでも詳しく触れています。
日本サッカー協会は公式サイト上で、生年月日や身長などのデータをもとに、その時点の成長段階が早熟・標準・晩熟のどれに近いかを推定できる仕組みを公開しています。
体の成長には、そもそも早い遅いがある。
それを前提にした仕組みが、協会側にも用意されているということです。
走れる。当たり負けしない。ボールを奪える。
そうした選手が、今は目立ちやすくなっているだけかもしれません。
今の8人は、そのまま10年後の8人ではありません。
今の結果だけで、才能を判断するのは早すぎます。
「ずるい」と感じた、ある光景
正直に言います。
自分は、スタメンや出場メンバーを固定しないようにしてきました。
だから、自分が見てきた子たちは、出られなかったという経験そのものが少ないです。
一方で、他のチームを見ていて、感じたことがあります。
技術が追いつかず、1年間ほとんど試合に出さなかった選手がいました。
その後、身体の成長が追いついて、フィジカルで勝てるようになった途端、そのコーチは同じ選手を使うようになりました。
正直、「ずるいな」と思いました。
その選手を育てたのは、そのコーチではありません。
ただ、体が勝手に大きくなっただけです。
なのに、まるで自分の指導の成果のように、その選手を使い始める。
そう見えてしまいました。
これは、特定の誰かを責めたい話ではありません。
ただ、この光景を見るたびに、思うことがあります。
今出ている子が、優れているとは限らない。
出られていない子が、劣っているとも限らない。
そこにあるのは、今の体の成長のタイミングだけかもしれない、ということです。
出場は、成果ではなく「今のタイミング」であることも
出ている子を見て、「自分の子には才能がないのかも」と思う必要はありません。
出ている理由が、技術でも努力でもなく、単に体の成長が早いだけ、ということは十分にあります。
大事なのは、今出ているかどうかではありません。
今、何を積み上げているか、です。
出場が少ない時期にどんな力がつくのかは、ベンチばかりでも成長する子の特徴でも整理しています。
今日から試せる3つのこと
1. 「出ている子との差」より「半年前の我が子との差」を見る
比べる相手を、他人から過去の本人に変えるだけで、見えるものが変わります。
2. 「今できないこと」より「今できること」を一緒に数える
技術でも、姿勢でも構いません。今日できたことを、1つ言葉にしてみます。
3. 「まだ途中」という言葉を、家庭の口ぐせにする
「才能がない」ではなく、「まだ途中」。この言い換えだけで、子どもへの接し方が変わります。
今出ていないのは、本当に「才能」のせいでしょうか
今の出場時間を決めているのは、技術だけではありません。
体格。生まれた月。今のチームの人数構成。
いろんな要素が重なっています。
その中で、「才能がない」という言葉だけを選んでいないか。
一度、立ち止まって考えてみてほしいと思います。
よくある質問
Q. 体格差は、いつ頃なくなりますか。
個人差が大きく、いつとは言い切れません。中学生、高校生になってから追いつく子も珍しくありません。
Q. コーチに「体格で選んでいませんか」と聞いてもいいですか。
聞き方次第では角が立つこともあります。「今、どんな基準で見ていますか」といった聞き方の方が、答えやすいかもしれません。
Q. 出場機会が少ないまま、成長は止まってしまいませんか。
止まるとは限りません。試合に出られない時間の使い方次第で、むしろ伸びる部分もあります。
まとめ
試合に出られないことと、才能の有無は、別の話です。
出場人数には限りがあり、育成年代の評価は、まだ途中経過にすぎません。
自分自身、体の成長が追いついた途端に急に使われ始める選手を見て、「ずるい」と感じた経験があります。その時に気づいたのは、出ているかどうかは、その子の価値を決めるものではない、ということです。
今日から、比べる相手を「他の子」から「半年前の我が子」に変えてみてください。
「才能がない」ではなく、「まだ途中」。
その見方が、子どもが自分を諦めない力になります。
▼あわせて読みたい
・試合に出られない子への接し方|保護者ができる本当のサポート
・試合に出られない子をつくらない|ぽこちパパが全員出場にこだわる理由
・成長曲線には個人差がある|25年の現場で見てきた「バラバラな伸び方」
・成長が遅いと感じる理由|中1で140cmだった自分と、母の一言
・ベンチばかりでも成長する子の特徴|指導者として本音で考えること



コメント