自分で考える力を育てる方法|「先読みの天才」が子どもを止めてしまう理由

親のサポート術

自分で考える力を育てたい。多くの保護者がそう願っています。でも実際には、大人が良かれと思ってやっていることが、その力を奪ってしまうことがあります。

25年以上の指導経験から、率直に感じていることをお伝えします。


自分で考える力を育てる方法として、一般的に言われること

まず、よく言われる方法を整理します。

答えをすぐに教えない

子どもが困っている時、すぐに答えを渡さず、まず自分で考えさせることが推奨されます。

選択肢を用意し、選ばせる

いくつかの選択肢を用意し、その中から子ども自身に選ばせることで、判断力が養われるとされます。

失敗を経験させる

失敗を過度に恐れず、経験させることが成長につながると言われます。

質問で考えを引き出す

「どう思う?」と問いかけることで、子ども自身の考えを言語化させる方法も推奨されます。

これらは正しい方向です。ただ、現場で見てきたのは、この逆をやってしまう大人の存在でした。


先読みの天才の正体

保護者の中に、全てを先回りして答えたり、用意してしまう方がいます。

保育園でのサッカー教室に行くと、どの園にも必ず、こういう先生がいます。学校の先生にも同じタイプがいます。先読みの天才です。

管理職からの評価は高く、周りからの信頼も厚い。仕事がとても丁寧で、抜け漏れがない。

でも、子どもが自分で考える機会は少なくなります。


大人にとって都合がいい存在

大人は、仕事ができる同僚が好きです。目標を達成できるし、早く帰れる。組織の中では、間違いなく評価される存在です。

でも、子どもの現場でこのタイプの人が過剰にコントロールすると、子どもが自分で考える機会は少なくなります。

コントロールが過ぎると、仕事は楽になります。システムが構築され、無駄が省かれ、合理的に整理された環境は、働きやすく結果も出やすいかもしれません。

でも、それだけでは子どもの考える力は育ちにくくなります。


遠回りの先にある近道

子どもは、自分で試行錯誤し、成功と失敗を重ねる中で成長していきます。遠回りをした先に、初めて近道が見えてきます。

その体験を全部大人が先に取ってしまえば、大人は楽になります。でも、子どもは考える機会を失っていきます。

先読みの天才は、子どもが困る前に手を差し伸べます。それは優しさに見えて、実は子どもから「考える機会」を奪っている行為です。


「靴がない!」と言われたら

具体的な場面で考えてみます。

子どもが「靴がない!」と言ったとします。

多くの場合、大人はこう答えます。

「ここにあるよ。」

でも、こう聞いてみるとどうでしょうか。

「どこを探した?」

そう聞いて、少し待ってみる。すぐに答えを渡さず、子ども自身に探させる。

小さなことですが、この積み重ねが「自分で考えて動く」という感覚を育てていきます。


「再現性」という言葉への違和感

サッカーでも同じことを感じています。

合理的なコーチは、「再現性」という言葉を好みます。

再現性を求める場合、いい判断とその判断ができるようになるためのトレーニングをドリル化します。同じシチュエーションを繰り返し練習させ、正しい選択を体に覚え込ませる。

そのシチュエーションにおいては、再現力は確かに上がります。それが一つの成功体験になるかもしれません。

でも、正直に言うと、そんなサッカーはつまらないと思っています。

決まった状況で決まった答えを出すだけなら、それはサッカーではなく作業です。試合は、練習で想定した通りの場面ばかりではありません。予測できない状況で、自分の頭で考えて選択する。そこにサッカーの本質があると思っています。


自分で考える力を育てるために手放すべきこと

自分で考える力を育てたいなら、大人が手放すべきことがあります。

先回りして答えを用意すること

「靴がない」に「ここにあるよ」ではなく「どこを探した?」。子どもが困る前に手を差し伸べたくなる気持ちは分かります。でも、その一歩を我慢することが、考える力を育てます。

効率よく正解にたどり着かせようとすること

遠回りを許容してください。試行錯誤の時間こそが、成長の土台になります。

決まったパターンを覚えさせること

再現性のある正解を教え込むより、その場その場で自分なりの答えを見つける経験を積ませてください。


まとめ

先読みの天才は、大人にとって都合のいい存在です。仕事は早く終わり、評価も高くなります。でも、子どもが自分で考える機会は少なくなっていきます。

自分で試行錯誤し、失敗を重ね、遠回りした先に見える近道こそが、本当の成長です。その体験を大人が先取りしてしまえば、子どもは考える力を伸ばす機会を失います。

再現性を求めるドリル練習も、一つの成功体験にはなるかもしれません。でも、決まった答えを繰り返すだけのサッカーは、つまらない。

お子さんの考える力を育てたいなら、先回りしたくなる気持ちを、一度我慢してみてください。「どこを探した?」と聞いて待つ。その小さな我慢の先に、子ども自身の力が育っていきます。


【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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