移籍が成功するケース|「チームをコロコロ変える選手は上手くならない」の裏返し

親のサポート術

今のチームから移籍させるべきか。子どもは移籍を望んでいるけれど、環境を変えてうまくいく保証はない。「逃げ癖がつくのでは」という不安もあり、決断できないまま時間だけが過ぎていく。そんな状況の方に向けて書きました。

半年前、県や市のトレセンコーチを務める友人と話した時、印象的な言葉がありました。「チームをコロコロ変える選手は上手くならない」。私も同感です。ただ、この言葉を裏返すと、成功する移籍の条件が見えてきます。この記事では、25年以上の指導経験から、うまくいく移籍に共通するものをお伝えします。


移籍が成功するケースとして、一般的に言われること

まず、よく挙げられる成功パターンを整理します。

移籍の理由が明確である

「なんとなく」ではなく、「出場機会を求めて」「指導方針との相違」など、理由がはっきりしている移籍は成功しやすいとされます。

子ども自身が移籍を望んでいる

親主導ではなく、本人の意思による移籍は、新しい環境への適応も早い傾向があります。

移籍先を事前によく調べている

体験や見学を重ね、練習の雰囲気や指導方針を確認してから移る場合、ミスマッチが起こりにくくなります。

今のチームで学べることを学び切っている

不満から逃げるのではなく、やり切った上での移籍は、次の環境でも積み上げが効きます。


「コロコロ変える選手は上手くならない」の意味

トレセンコーチの友人の言葉に戻ります。

なぜコロコロ変える選手は上手くならないのか。私なりの解釈はこうです。

環境を変えることが「うまくいかない時の解決策」として習慣になってしまうと、壁を乗り越える経験が積めなくなるからです。どの環境にも合わない部分は必ずあります。それを乗り越える力は、一つの場所で踏ん張る中でしか育ちません。

つまり、この言葉の裏返しはこうなります。

成功する移籍とは、「逃げるための移籍」ではなく「やり切った上での移籍」だということです。


成功する移籍に共通する3つの条件

指導現場で見てきた経験と合わせて、成功する移籍の条件を3つに整理します。

①移籍が「最後の手段」になっている

今のチームでコーチに相談した、環境を変える努力をした、それでも改善しなかった。そのプロセスを経た移籍は、子ども自身が「やることはやった」と納得しています。この納得感が、新しい環境での踏ん張りにつながります。

②「〜から逃げる」ではなく「〜へ行く」になっている

「コーチが嫌だから出る」だけの移籍と、「あのチームでこういうサッカーがしたいから行く」という移籍では、移った後のエネルギーが違います。目的地がある移籍は成功しやすいです。

③子どもの中に、変わらないものがある

チームが変わっても、サッカーが好きだという気持ち、自分の武器、続けてきた習慣。環境に依存しない「自分のもの」を持っている子は、どこへ行っても積み上げが途切れません。


大学生になった2人から、泣きながら連絡が来た日

女子のクラブチームを立ち上げたあと、人数の問題で、市内の別のチームと合同で活動していた時期があります。

数年たって人数が増え、また別々のチームとして活動することになりました。

そのとき、大学生になっていた2人から連絡が来ました。

「どうしても、あなたのチームでサッカーがしたい」

泣きながら、そう言われました。

もちろん受け入れました。ただ、正直に言うと、複雑な気持ちもありました。その2人は、もう一方のチームの指導者が、小学生の頃からずっと大切に育ててきた選手だったからです。

長い時間をかけて関わってきた選手が、別の場所を選ぶ。送り出す側から見れば、決して気持ちのいい話ではないと思います。

ただ、この経験で自分が感じたのは、移籍がうまくいくかどうかを決めているのは、環境の良し悪しではないということでした。

あの2人は、誰かに勧められて動いたわけではありません。自分で決めて、自分から連絡してきました。だから続いたのだと思っています。

移籍がうまくいった子を思い返すと、共通しているのはそこです。良いチームに入れたから続いたのではなく、自分で選んだと言えるから続いた。順番が逆なんだと思います。


移籍を考える時のチェックリスト

移籍を検討している方は、この5つを確認してみてください。

  • 移籍の理由を、子ども自身が自分の言葉で言えるか
  • 今のチームで、やれることはやったと言えるか
  • 「逃げたい場所」ではなく「行きたい場所」があるか
  • 移籍先の練習を、子どもと一緒に見に行ったか
  • 移籍しても変わらない「自分のもの」(好き・武器・習慣)があるか

5つのうち4つ以上当てはまるなら、その移籍は成功する可能性が高いと思います。


まとめ

成功する移籍とは、「チームをコロコロ変える」の反対にあるものです。やり切った上で、行きたい場所へ、自分のものを持って移る。この3つが揃った移籍は、環境が変わっても積み上げが途切れません。

移籍は逃げではありません。ただし、逃げるための移籍は成功しにくいのも事実です。

お子さんの移籍を考えているなら、まず「なんで移りたいの?」と聞いてみてください。その答えが「〜が嫌だから」で止まるのか、「〜がしたいから」まで出てくるのか。そこに、この移籍が成功するかどうかのヒントがあります。


【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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