「最近、なんかやる気がないな」
練習中の表情が暗い。返事はするけど元気がない。以前ほど積極的に見えない。そんな姿を見ると、親や指導者は心配になります。
でも「やる気がない」に見える時、その原因が本人のやる気の問題ではないことがあります。長年の指導経験の中で、そのことを何度も教えてもらいました。
目を合わせない子が、全部聞いていた
昔指導していた子の話です。
話をしている時、目を合わせない子がいました。視線が別のところに向いている。聞いているのかどうか分からない。正直、やる気がないのかなと感じていました。
ある時、確認してみました。
「今コーチが言ったこと、分かる?」
するとその子は、話した内容を全部答えました。一言も漏れなく。
その瞬間、自分の見方が間違っていたと気づきました。話を吸収する態度は人によって違う。目を合わせることが「聞いている証拠」ではない。その子なりの聞き方があっただけでした。
「やる気がない」と見えた原因は、その子ではなく自分の視野の狭さにありました。
息子のやる気が戻った瞬間
今指導しているチームでの話です。
ある子がやる気がないように見えました。練習中の表情が曇っている。いつもより動きが重い。
「なんかあった?」と声をかけると、こう言いました。
「仲間からの指示が分かりづらいし、強く言われて凹んでる。」
その子は息子でした(笑)。
内容を整理しました。まず「分からない時は聞いていい」と伝えた。そしてもう一つ、こう言いました。
「お前のことをずっと見てるけど、良いプレーもめちゃめちゃしてるぞ。」
それだけで、やる気が戻りました。
後から分かったのは、息子にはネガティブな声しか届いていなかったということでした。厳しい指示や批判は耳に入っていた。でも褒める言葉は、意識の外に消えていた。
やる気がなく見えた理由は、やる気の問題ではありませんでした。ポジティブな声が届いていなかっただけでした。
「やる気がない」の裏にあるもの
この2つの経験から、子どものやる気について感じていることがあります。
「やる気がない」は見た目の話
やる気は目に見えません。表情や動きで判断しがちですが、それが全てではありません。
目を合わせない子が全部聞いていたように、外から見える姿と内側の状態は一致しないことがあります。「やる気がない」と決めつける前に、もう一歩近づいてみることが大切です。
「なんかあった?」の一言が入口になる
やる気がなく見えた時、最初にかける言葉は「頑張れ」より「なんかあった?」の方が効くことがあります。
理由を探ることで、本当の原因が見えてきます。息子の場合、声をかけなければ「仲間の指示が分かりづらい」という本音は出てこなかった。原因が分かれば、対処できます。
ポジティブな声は意識して届ける
批判や指摘は自然と耳に入りやすい。でも褒める言葉は、意識して届けないと消えてしまうことがあります。
息子がネガティブな声しか届いていなかったように、子どもは褒められていても気づいていないことがあります。「良いプレーをしてるぞ」と具体的に伝えることが、やる気を取り戻す一番の近道になることがあります。
親が「なんかあった?」と聞ける関係を作る
指導者がこの言葉をかけられたのは、普段から子どもたちと関わっていたからです。
親子の場合はどうでしょうか。
普段の会話の積み重ねが、子どもが「なんかあった」を話せる関係を作ります。試合や練習の話だけでなく、日常のやりとりの中で「聞いてもらえる」という安心感を持てているかどうか。それが、やる気が落ちた時の入口になります。
息子が話してくれたのも、普段から話せる関係があったからだと思っています。
まとめ
「やる気がない」に見える時、本当の原因はやる気の問題ではないことがあります。
目を合わせない子が全部聞いていた。息子がやる気をなくしていたのはポジティブな声が届いていなかったから。どちらも「やる気がない」という見方をしていたら、気づけなかったことです。
まず「なんかあった?」と一言聞いてみてください。その言葉が、子どもの本音への入口になります。そして良いプレーや良い行動を見たら、具体的に伝えること。批判は自然と届くけれど、褒める言葉は意識して届けないと消えてしまいます。
子どもを見る時、やる気があるかどうかより、何が起きているかを知ろうとすること。その一歩が、関係を変えるきっかけになります。
▼ この記事と一緒に読まれています
▼悩み別ガイドはこちら
・親の声かけ完全ガイド ジュニアサッカーの親の声かけ完全ガイド|子どもが伸びる関わり方とは「何て声をかければいいんだろう?」ジュニアサッカーをしていると、多くの保護者が一度は悩みます。試合でミスをした時。負けて…



コメント