チーム変更で後悔しないために|「決断の質」より「決断の後」の話

親のサポート術

チームを変えて、後悔したらどうしよう。

移籍を考え始めた保護者の頭から離れないのが、この不安だと思います。移った先が合わなかったら。今のチームの方が良かったと子どもが言い出したら。仲間と離れたことを悔やんだら。「後悔しない選択」を探すほど、決断はどんどん重くなり、動けなくなっていきます。

この記事では、25年以上の指導経験から、後悔についての少し違う考え方をお伝えします。結論を先に言うと、後悔するかどうかは「どちらを選んだか」ではなく「選んだ後にどう過ごすか」で決まります。読み終える頃には、決断への恐さが少し軽くなっているはずです。


チーム変更で後悔しないために、一般的に言われること

まず、よく言われるポイントを整理します。

情報収集を徹底する

移籍先の練習見学、体験参加、在籍保護者への聞き取り。事前情報が多いほどミスマッチは減るとされます。

子ども本人の意思で決める

親主導の移籍は、うまくいかなかった時に「親のせい」になりやすく、後悔が残りやすいとされています。

今のチームでやれることをやり切る

相談や話し合いを尽くした上での決断は、「あの時こうしていれば」が残りにくくなります。

移籍のデメリットも受け入れて決める

良い面だけ見て決めると、デメリットが現実になった時の落差が大きくなります。

これらはすべて「決断の質を上げる」ためのものです。大切なことですが、実は、それだけでは後悔は防げません。


完璧な決断をしても、後悔する時はする

正直に言うと、移籍の判断には「正解が後からしか分からない」という性質があります。

私自身、20年前に移籍希望の子を断り、「あと一年頑張れ」と伝えた判断が正解だったのか、今でも分かりません。どれだけ考え抜いて決めても、選ばなかった方の未来は誰にも見えないのです。

つまり、「後悔しない決断」を完璧にすることは、そもそも不可能です。

では、何が後悔を分けるのか。


「本当にこの高校で良かった」と言えた友人

前の記事でも書いた、4歳年下の友人の話をもう一度します。

彼は中学生の時、進路で迷って私に相談し、私と同じ高校を選びました。数年後、「本当にこの高校に決めて良かった」と言ってくれました。

でも私は、こう思っています。彼はもう一つの高校を選んでいても、きっと「楽しい、良かった」と言っていたはずだと。

彼が後悔しなかったのは、選択が正しかったからではありません。選んだ場所で、そこにあるものから学び、感謝できる人だったからです。

チーム変更もまったく同じです。後悔するかどうかは、決断の瞬間ではなく、決断の後の日々で決まります。


後悔しないための3つの考え方

その上で、チーム変更に向き合う時に持っておいてほしい考え方を3つお伝えします。

①「正解を選ぶ」のではなく「選んだ方を正解にする」

移籍しても残留しても、必ず良いことと嫌なことの両方が起きます。その時に「あっちにすれば良かった」と過去を振り返るのか、「ここで何を学べるか」と目の前を見るのか。後悔の正体は、選択そのものではなく、この視線の向きです。

そして、この視線の向きは、親の言葉が作ります。移籍後にうまくいかない時期が来ても、「前のチームの方が良かったね」ではなく「ここで何ができるかな」と声をかけてあげてください。

②決断のプロセスを、子どもと共有しておく

なぜ移るのか、なぜ残るのか。決断の理由を子どもと一緒に言葉にしておくと、後で苦しい時期が来た時に「自分たちで決めたこと」として立ち返る場所になります。親が一人で決めて結果だけ伝えると、うまくいかない時にその決断が恨みの対象になります。

③「後悔しそうな自分」も受け入れておく

どんな選択をしても、ふと「あっちだったら」と思う瞬間は来ます。それは自然なことで、決断が間違っていた証拠ではありません。あらかじめ「そういう瞬間は来る」と知っておくだけで、その瞬間に飲み込まれずに済みます。


決断を先延ばしにすることの方が、後悔になる

もう一つだけ、お伝えしたいことがあります。

「後悔したくない」という気持ちが強すぎると、決断そのものを先延ばしにし続けることになります。でも、子どもの1年は大人の1年よりずっと濃い時間です。

悩み続けて何もしなかった1年こそ、後から「あの時動いていれば」という一番大きな後悔になることがあります。移る、残る、どちらでも構いません。子どもと一緒に考えて、決めて、前を向く。そのプロセス自体が、家族の財産になります。


まとめ

チーム変更で後悔しないために本当に必要なのは、完璧な決断ではありません。正解は後からしか分からないからです。

後悔を分けるのは、決断の後の過ごし方です。選んだ場所で学べる子は、どちらを選んでも「良かった」と言えるようになります。そしてその視線の向きは、親の日々の言葉が作っていきます。

移籍か残留かで立ち止まっているなら、「正解を選ぼう」とするのを一度やめて、「選んだ方を正解にしよう」と考えてみてください。決断が、少し軽くなるはずです。


【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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