今のチームに残るべきケース|「どっちを選んでも良かったと言える」という話

親のサポート術

移籍を考え始めたけれど、本当に移るべきなのか。今のチームに不満はある。でも、いいところもある。移った先が今より良い保証はないし、「残る」という選択が正解の場合もあるはずだ。その見極めがつかずに悩んでいる方に向けて書きました。

この記事では、一般的に「残るべき」とされるケースを整理した上で、25年以上の指導経験と、ある友人との進路相談のエピソードから見えてきた「選択そのものより大切なこと」をお伝えします。読み終える頃には、移籍か残留かの二択で苦しむ気持ちが、少し軽くなっているはずです。


今のチームに残るべきとされる一般的なケース

まず、よく言われる「残った方がいい」パターンを整理します。

不満の原因が一時的なものである場合

コーチの交代、学年の変わり目、一時的な出場機会の減少。時間が解決する可能性が高い問題なら、急いで動く必要はありません。

子ども自身は今のチームが好きな場合

親から見て不満な環境でも、子ども本人が仲間やチームを気に入っているなら、その気持ちが最優先です。

話し合いで変わる余地がある場合

コーチに相談していない、運営に伝えていない段階なら、まず中から変える努力の余地があります。特に保護者が運営に関われる少年団は、環境を中から変えられる可能性があります。

移籍理由が「逃げ」だけの場合

嫌なことから離れたいだけで、行きたい場所がない移籍は、次の環境でも同じ問題を繰り返しやすくなります。

卒団や進級まで期間が短い場合

残り数ヶ月なら、移籍の手続きや適応のコストの方が大きくなることがあります。


「あと一年頑張れ」と伝えた経験

以前の記事でも書きましたが、20年前、隣町のチームから移籍を希望してきた子に「あと一年頑張って、それから来るように」と伝えたことがあります。

その子は一年踏ん張りました。「チームをコロコロ変える選手は上手くならない」というトレセンコーチの友人の言葉に照らせば、残って踏ん張った経験は、その子の力になった面があると思います。

ただ、あの判断が正解だったのかは、今でも分かりません。移籍か残留かの判断には、「正解が後からしか分からない」という性質が、どうしてもついて回ります。

だからこそ、お伝えしたい話があります。


「本当にこの高校で良かった」

今でも付き合いのある、4歳年下の古い友人の話です。

彼が中学生の時、進路で迷っていると相談してきました。候補の一つが私の通っていた高校だったので、「素晴らしい校風だし、楽しいよ」と伝えました。今考えれば、ずいぶん無責任なアドバイスだったと思います。

数年後、彼は言ってくれました。

「本当に同じ高校に決めて良かった」と。

嬉しい言葉でした。でも私は、こう返しました。

「多分もう一つの高校に行ってても、『楽しい、話を聞いてくれてありがとう』って言ってると思うよ」


どの環境にいても、学べる人がいる

彼が「良かった」と言えたのは、私のアドバイスが正しかったからでも、その高校が特別だったからでもないと思っています。

彼自身が、どの環境にいても、そこにあるものから学び、感謝できる人だったからです。

そういう人は、どちらを選んでも「選んで良かった」と言えます。逆に、環境のせいにする癖がついていると、どちらを選んでも「あっちにすれば良かった」と言い続けることになります。

移籍か残留か。この二択の答えより、選んだ場所で学べる子になっているかの方が、長い目で見てずっと重要なのです。


「残る」を選ぶなら、確認したいこと

その上で、残留を選ぶ場合に確認してほしいことを整理します。

①子どもの気持ちを確認したか

「残る」が親の都合や周囲の空気による決定になっていないか。本人が納得しているかが土台です。

②残る理由を言葉にできるか

「移るのが面倒だから」ではなく、「仲間が好きだから」「ここでやり切りたいから」。残る理由が前向きな言葉になっているかを見てください。

③改善の働きかけをしたか

不満があるなら、コーチへの相談や話し合いを試したか。何もせずに我慢するだけの残留は、不満を溜め込むだけになります。

④「いつでも移れる」という選択肢を心に持っているか

残ると決めても、状況が悪化したら動ける。その心の余裕があるだけで、残留は「我慢」ではなく「選択」になります。


まとめ

今のチームに残るべきなのは、不満が一時的なもので、子ども自身がチームを好きで、中から変える余地がある場合です。これが一般的な答えです。

でも、もっと大切なことがあります。友人が「本当にこの高校で良かった」と言えたのは、彼がどの環境からでも学べる人だったからです。移籍しても残留しても、選んだ場所から学び、感謝できる子は、どちらの選択も「正解」に変えていきます。

移籍か残留かで悩んだら、二択の正解探しを一度やめて、「うちの子は今いる場所から学べているか」を見てみてください。そこが育っていれば、どちらを選んでも大丈夫です。そうなれたら、すてきだと思いませんか。


【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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