「子どもを信じて待ちましょう」。子育てでもサッカーでも、よく聞く言葉です。でも、実際に待つのは難しい。本当にこのまま待っていていいのか、それともそろそろ手を貸すべきなのか。待っているだけで、時間を無駄にしていないか。そんな迷いを抱えている方に向けて書きました。
この記事では、25年以上の指導で身につけた「待つ」ことの考え方と、私自身が待ちすぎて失敗した経験をお伝えします。読み終える頃には、「信じて待つ」がもう少し具体的な行動として見えているはずです。
「信じて待つ」について、一般的に言われること
まず、よく言われることを整理します。
先回りせず、子どものタイミングを尊重する
親が答えを出すのを我慢し、子どもが自分で気づくのを待つことが大切とされます。
成長のスピードは人それぞれ
早い遅いに一喜一憂せず、その子のペースを信じることが推奨されます。
待つことも、積極的な関わりである
何もしないのではなく、「待つ」という選択をすること自体が、子どもへの信頼の表現だとされます。
どれも、その通りだと思います。ただ、「ただ待てばいい」というわけではありません。ここに、待つことの難しさがあります。
「待つ」とは、準備が整っているかを見極めること
私はコーチとして、比較的「待つ」ことは得意な方だと思っています。ただ、私の中では「ただ待つ」という感覚とは少し違います。
相手が子どもの場合、こちらの見立てと、その子の成長を照らし合わせます。今、この子はこれを認知できる状態か。実践できる状態か。それを確認しているのです。
「待つ」というより、その子の準備が整っているかを見極める、という感覚です。
例えば、ある技術や考え方を伝えたい時。子どもにその準備ができていなければ、いくら伝えても届きません。逆に、準備が整った瞬間に伝えれば、すっと入っていきます。だから、その瞬間が来るのを見ながら待つ。ぼんやり待つのではなく、注意深く見ながら待つのです。
信じて待つとは、放置ではありません。子どもをよく見て、タイミングを計りながら待つこと。ここが、ただ待つこととの違いです。
それでも、「待ちすぎた」失敗がある
ただ、見極めているつもりでも、失敗はあります。
私には、待ちすぎた失敗があります。
息子が思春期に差し掛かった頃のことです。性の話をするタイミングを、見計らっていました。まだ早いか、そろそろか。子どもの様子を見ながら、ちょうどいい時を計っていたのです。
ある時、家族で下ネタを言い合うような、くだけた話の流れになりました。今だ、と思って聞きました。
「何か聞きたいこととかない?」
すると、息子はこう言いました。
「もうその話、友達としてるからいい」
もう少し早くてもよかったかな、と思いました(笑)。
見極めているつもりで、慎重になりすぎて、タイミングを逃していた。待つことのプロのつもりでいても、こういう失敗はあるのです。
待つことと、待ちすぎることの境目
この失敗から学んだことがあります。
「準備が整うのを待つ」ことと、「タイミングを計りすぎて逃す」ことは、紙一重だということです。
慎重に見極めようとするほど、「まだ早いかも」「もう少し様子を見よう」と、判断を先延ばしにしがちです。そして気づいた時には、機会が過ぎている。
だから、見極めながらも、迷ったら少し早めに動くくらいでちょうどいいのかもしれません。特に、伝えるべきこと、関わるべきことについては、待ちすぎるリスクも頭に置いておく。完璧なタイミングを狙いすぎないことも、大切だと学びました。
信じて待つために、心がけたいこと
信じて待つことを、放置でも待ちすぎでもない形にするために、心がけたいことを整理します。
①よく見る
待つことの前提は、観察です。子どもの表情、言葉、取り組み。よく見ているからこそ、準備が整った瞬間に気づけます。見ずに待つのは、ただの放置です。
②タイミングが来たら、動く
準備が整ったと感じたら、ためらわずに動く。待つことと、動くべき時に動くことは、セットです。
③迷ったら、少し早めに
完璧なタイミングを狙いすぎると、逃します。特に大事なことは、待ちすぎるより少し早い方がいい場合もあります。
④信じる気持ちは、手放さない
タイミングを計っている間も、「この子は大丈夫」という信頼は持ち続ける。不安から出る「待つ」ではなく、信頼から出る「待つ」であること。ここが根っこです。
まとめ
子どもを信じて待つとは、ただ何もせずに待つことではありません。子どもをよく見て、準備が整っているかを見極めながら待つことです。
ただし、見極めようとするほど慎重になり、待ちすぎてタイミングを逃すこともあります。私も、性の話を計りすぎて「もう友達としてる」と言われた失敗があります。完璧なタイミングを狙いすぎず、迷ったら少し早めに動くくらいでちょうどいいのかもしれません。
よく見て、タイミングが来たら動く。そして、信じる気持ちは手放さない。それが、放置でも待ちすぎでもない、本当の意味で「信じて待つ」ということだと思っています。
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