何かあったのは明らかなのに、聞いても「別に」「何もない」。学校のことも、チームのことも、話してくれなくなってきた。無理に聞けば嫌がられ、聞かなければ親として不安になる。どうすれば話してくれるのか。そんな悩みを持つ方に向けて書きました。
先に正直に言うと、私は25年以上の指導の中で、話してくれない子に無理に話させようとしたことがありません。だから「こう聞けば話す」というテクニックは持っていません。それでも、女子チームを見ていた頃には、家族のこと、将来のこと、人間関係の悩み、家族にも言えない話までが、自然と入ってくるようになりました。この記事では、その理由を振り返りながら、親にできる準備をお伝えします。
子どもが話してくれない時の対応として、一般的に言われること
まず、よく言われる方法を整理します。
質問攻めにしない
「何があったの?」「誰と?」「なんで?」と畳みかけると、子どもはさらに口を閉じるとされます。
並んで話す・ながらで話す
正面から向き合うより、車の中や散歩中など、視線が合わない状況の方が話しやすいと言われます。
話さない自由を認める
「話したくなったら聞くよ」と伝えて引くことで、子どもの心の逃げ場を守る方法です。
親が先に自分の話をする
親が今日あったことや失敗談を話すと、家庭が「話す場所」になっていくとされます。
どれも有効だと思います。ただ、これらはすべて「どう話させるか」の工夫です。私の経験は、少し違うところにありました。
無理に話させようとしたことがない
話してくれない子に、こじ開けるように関わった記憶がありません。
代わりにやってきたことは、一つだけです。
チームを見るということは、人を見るということ。 だから普段から、一人ひとりを知ろうとする。そして、変化を逃さないようにする。
表情、声のトーン、練習への入り方、仲間との距離感。昨日と今日の小さな違い。それを見続けていました。話しかけるためではなく、ただ知ろうとしていました。
結果、家族にも言えない話が入ってきた
女子チームを見ていた頃、気づけばいろいろな話が入ってくるようになっていました。
家族のこと。将来のこと。人間関係の悩み。他のコーチへの悩み。中には、家族にも言えないという話もありました。
こちらから聞き出したものは、一つもありません。本人たちが、話したいタイミングで、話しに来ました。
振り返って思うのは、こういうことです。人は「話させようとする人」には話しません。「自分のことを知ろうとしてくれている」と感じる人に、話したくなった時、話します。 普段から見てくれている、変化に気づいてくれる。その積み重ねが、「この人になら」という信頼になっていたのだと思います。
ジュニア年代の子は、そもそもあまり話さない
もう一つ、知っておいてほしいことがあります。
ジュニア年代では、悩みごとが保護者経由で入ってくることはあっても、子ども本人から来ることはあまりありません。
つまり、小学生の子が親にすら深い話をしないのは、珍しいことではないということです。自分の気持ちを言葉にする力が、まだ育ちきっていない年代です。「話してくれない=関係が悪い」ではありません。話せる言葉を持っていないだけ、ということも多いのです。
だから、話してくれないことに焦る必要はありません。焦るべきなのは、話してくれないことではなく、親が子どもの変化に気づけなくなることの方です。
親にできる準備は3つ
「話させる」の代わりに、親にできることを整理します。
①毎日、変化を見る
言葉はいりません。表情、食欲、寝つき、部屋での過ごし方。普段を知っているから、変化に気づけます。気づいていることは、不思議と子どもに伝わります。
②心配は、隠さず、押しつけず
心配していることは伝わっていい。実際、心配しているのですから。ただし「心配だから話して」と迫らない。「何かあったら聞くよ」と一度伝えたら、あとは日常に戻ります。
③話しに来た時を、最優先にする
子どもが話しに来るのは、親の都合のいいタイミングではありません。忙しい時、疲れている時に限って来ます。その瞬間に手を止められるか。一度「あとでね」と流された子は、次に話しに来るまでの距離が遠くなります。
まとめ
子どもが話してくれない時、必要なのは話させるテクニックではありません。話させようとするのをやめて、知ろうとし続けることです。
無理に聞き出したことは一度もないのに、家族にも言えない話が入ってくるようになった。その理由は、普段から見て、変化に気づこうとしていたことだけでした。
ジュニア年代の子が深い話をしないのは、自然なことです。焦らず、毎日の変化を見て、話しに来たその瞬間を逃さない。その準備をして待つことが、親にできるすべてであり、それで十分だと思っています。
▼ この記事と一緒に読まれています
- 落ち込んでいる時に親ができること|「見立てる」という考え方
- サッカーの話をしない方がいい時|基準は言葉ではなく表情
- やる気がないように見える時
- 子どもとの信頼関係を深める会話
- 自信を失った子どもへの接し方
▼悩み別ガイドはこちら
・親の声かけ完全ガイド ジュニアサッカーの親の声かけ完全ガイド|子どもが伸びる関わり方とは「何て声をかければいいんだろう?」ジュニアサッカーをしていると、多くの保護者が一度は悩みます。試合でミスをした時。負けて…



コメント