「周りの子は毎日自主練しているのに、うちの子は全然しない。」
ジュニアサッカーをしていると、多くの保護者が一度は抱える悩みです。SNSを見ると自主練の動画が流れてくる。チームメイトの保護者から「毎日リフティングやってるらしい」という話が聞こえてくる。すると「このままで大丈夫だろうか」と焦りを感じてしまいます。
25年以上の指導経験と、息子との関わりの中で見えてきたことをお伝えします。
自主練しない理由は一つではない
一般的に、自主練をしない理由として、こんなことが挙げられます。
周りと比較してしまう焦り
「○○くんは毎日自主練している」という情報が入ると、「うちの子は大丈夫か」という不安につながります。でも毎日自主練している子が必ず伸びるわけではありません。
成長が見えにくい
子どもの成長は直線的ではありません。トラップが少し安定した、ボールを失わなくなった。日々見ていると気づきにくい小さな成長が、実は積み重なっていることがあります。
自主練が「やらされるもの」になっている
検索すると「毎日1000回リフティング」のような成功例が多く出てきます。でもそれは一例にすぎません。やらされた自主練は長続きしません。
息子と作ってきた成長サイクル
ここからは、私自身がやってきたことです。
息子との間には、一つのサイクルがあります。
一緒に遊ぶ。楽しい。上手くなる。褒められる。嬉しい。もっと上手くなりたいと思う。
このサイクルが基本です。
リフティングも、最初は全くできませんでした。でも一緒に遊んでいるうちに、ほんの少しできるようになる。それを褒める。嬉しくなる。もっとやりたくなる。この連続です。
たくさん時間を使えば、その分できるようになります。でも、最初から「一人で練習しなさい」は無理だと思っています。
一緒に遊ぶことが、自主練への一番の近道だと感じています。
大人になってから自主練に目覚めた教え子の話
もう一つ、忘れられない経験があります。
女子チームを指導していた時、ある選手の母が入団してきました。小学生時代、隣町のチームに所属していて、あまり楽しくない時間を過ごしてきたそうです。
私のチームに入って、本人がとても楽しそうにしている姿を見て、その方も「自分もやりたい」と思ったそうです。
ただ、頭で分かっていることと、体ができることは別でした。言っていることは理解できるのに、プレーができない。その悔しさから、質問してきたり、自分で調べたりするようになりました。
そして最終的には、朝早く起きて一人で自主練をするようになり、リフティングが100回できるようになりました。
誰かに言われたからではなく、自分の中から湧き出た気持ちが、行動を変えていました。
自主練は「自分との会話」
この2つの経験から、自主練について感じていることがあります。
自主練は、自分との会話です。
まず、サッカーをやっていて楽しいか。もっと上達したいか。その気持ちが自分の中から湧き出てこないといけません。
その上で、自分を周りと比較して、客観的に見て、評価できるようにならないと、本当の自主練にはならないと思っています。
親が評価しているうちは、本当の自主練にはなりません。「親に褒められたいから」ではなく、「自分で気づいて、自分で動く」段階に来た時、初めて自主練が始まります。
親にできること
子どもが自主練をしない時、親にできることがあります。
まず一緒に遊ぶ
いきなり「自主練しなさい」と言うのではなく、一緒にボールを蹴る時間を作ってみてください。そこで生まれる小さな成功体験が、次への意欲につながります。
子どもの気持ちを聞く
「なんでやらないの?」ではなく、「今サッカー楽しい?」と聞いてみてください。
焦らず、評価する立場を手放す
親が評価し続けている間は、子ども自身の中から「やりたい」という気持ちは育ちにくいものです。少しずつ、子ども自身が自分を見つめる時間を作っていくことが大切です。
まとめ
自主練しない子に焦る理由の多くは、子ども自身の問題というより、周りとの比較や親の期待から生まれています。
息子とは「一緒に遊ぶ→楽しい→上手くなる→嬉しい」というサイクルを積み重ねてきました。教え子の母は、楽しそうな姿を見て自分から動き出し、最終的には朝早く起きて自主練するようになりました。
自主練は、自分との会話です。誰かに言われてやるものではなく、自分の中から湧き出た気持ちで始まるもの。まずは一緒に楽しむ時間を作ること。それが、自主練への一番の近道だと思っています。
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