比べるより見るべきもの|「その子の中の変化」を見るということ

親のサポート術

他の子と比べるのは良くない。頭では分かっています。でも、いざ試合や練習を見ると、どうしても周りと比べてしまう。あの子より上手いか下手か、レギュラーかどうか。「比べないで」と言われても、では代わりに何を見ればいいのか、そこが分からない。そんな方に向けて書きました。

この記事は、「他の子と比べてしまう」という悩みへの、実践的な答えです。25年以上の指導で大切にしてきた「見るべきもの」を、具体的にお伝えします。読み終える頃には、試合や練習で目を向ける場所が変わっているはずです。


なぜ、比べてしまうのか

まず、前提を整理します。

比べてしまうのは、比べるための情報が分かりやすいからです。誰がレギュラーか、誰が点を取ったか、誰が上手いか。これらは目に見えて、順位がつけやすい。だから、つい比べてしまいます。

一方で、「その子自身の成長」は、目立ちません。意識して見ないと、気づけない。だから、放っておくと、分かりやすい「比較」の方に目が向いてしまうのです。

比べないためには、「比べるな」と我慢するより、代わりに見るものを持つことが有効です。見るべきものが分かれば、自然と比較から目が離れます。


私のチームが、点数をつけない理由

私が指導するチームの話をします。

うちのチームは、全員が試合に出ます。そして、テストのように点数をつけて評価を落とし込むことも、しません。

理由は、はっきりしています。一人ひとり違うからです。

同じ物差しで全員を測って順位をつけることに、意味を感じていません。それぞれ、伸びるところも、課題も、タイミングも違います。だから、全員を同じ基準で比べるのではなく、その子それぞれを見ます。

その子の改善点を、克服できたか。その子のいいところを、発揮できたか。見るのは、それだけです。


「それぞれ」を見ることが、「比べない」ということ

ここが、一番大切なところです。

「それぞれ」を見る、というのは、その子の中の変化、その子の中の成長を見る、ということです。

昨日できなかったことが、今日できたか。前の試合で課題だったことが、今回は改善されたか。その子の持ち味が、今日は出せたか。

比較の相手は、他の子ではなく、過去のその子です。

これこそが、「比べない」ということの正体だと思っています。比べるのをただ我慢するのではなく、比べる相手を「他人」から「その子自身の過去」に変える。そうすると、他の子の順位は、どうでもよくなっていきます。


サッカーだけでなく、「人としてどうか」も見る

もう一つ、私が見ているものがあります。

サッカーの技術やプレーだけでなく、人としてどうか、というところです。

もちろん、見えないところもあります。家庭での様子や、心の中まではわかりません。でも、練習に取り組む姿勢や、仲間との関わりを見れば、いろんなことがわかります。

うまくいかない時にどうするか。仲間が困っている時にどうするか。うまくいった時に、どう振る舞うか。そういう場面に、その子の成長が表れます。技術以上に、こうした部分の成長の方が、長い目で見て大切だと思っています。

そして、こうした「人としての部分」は、他の子とは比べようがありません。その子だけのものです。だから、ここを見るようになると、比較という発想そのものが薄れていきます。


親が「見るべきもの」リスト

では、親は具体的に何を見ればいいのか。整理します。

①その子の中の変化

先週、前の試合と比べて、何ができるようになったか。小さな変化でいいのです。それを見つけて、言葉にして伝えてあげてください。

②その子の課題への取り組み

苦手なことに、逃げずに向き合っているか。結果ではなく、向き合う姿勢を見ます。

③その子の持ち味が出せたか

その子ならではの良さ。足の速さ、声、優しさ、粘り強さ。それが今日、発揮できたか。

④練習や試合への姿勢

うまい下手ではなく、どんな気持ちで取り組んでいるか。楽しそうか、集中しているか。

⑤仲間との関わり

仲間を応援できるか。困っている子に気づけるか。サッカーを通した人との関わり方を見ます。

これらは、すべて「その子自身」を見る視点です。他の子は、一切関係ありません。


まとめ

他の子と比べてしまうのは、比較の情報が分かりやすいからです。比べないためには、我慢するより、代わりに見るものを持つことです。

見るべきは、その子の中の変化です。比較の相手を、他の子から過去のその子に変える。それが「比べない」ということの正体です。そして、サッカーの技術だけでなく、人としての成長も見る。それは他の子とは比べようがない、その子だけのものです。

今日の試合や練習で、まず一つだけ、我が子の「先週からの変化」を見つけてみてください。他の子ではなく、その子自身を見る。その視点が、比較の苦しさから、あなたと子どもを解放してくれます。


【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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