子どもの結果を自分事にしない|「課題の分離」で楽になった話

親のサポート術

我が子が試合で活躍すると自分のことのように嬉しく、ミスをすると自分が責められているように苦しい。子どもの結果に、感情が丸ごと持っていかれる。頭では「子どもの人生は子どものもの」と分かっていても、心が勝手に反応してしまう。そんな方に向けて書きました。

この記事では、トレセンで落ち込む息子を見て私自身が経験したことと、そこで助けになったアドラー心理学の「課題の分離」という考え方をお伝えします。読み終える頃には、子どもの結果と自分の間に、少し健やかな距離が生まれているはずです。


子どもの結果を自分事にしてしまう仕組み

まず、なぜこうなるのかを整理します。

子どもと自分の境界が曖昧になっている

熱心に関わるほど、子どもの成功や失敗が、自分の成功や失敗のように感じられます。愛情の深さゆえに、境界が溶けてしまうのです。

周りから「親の責任」と見られる不安がある

子どもの結果が、親の育て方の評価のように扱われる空気があります。だから、子どもの失敗を自分への評価として受け取ってしまいます。

注いだ時間やお金が「結果」を期待させる

送迎、月謝、応援。かけてきたものが大きいほど、見返りとしての結果を求めてしまう。これも自然な心理です。

これらは責められることではありません。ただ、この状態が続くと、親も子も苦しくなります。私自身、その苦しさを経験しました。


トレセンで、声を出せなかった息子

息子の話です。

息子は負けず嫌いで、勝ちたい気持ちが人一倍強い子です。トレセンの選考にも積極的で、見事に合格しました。

ところが、いざトレセンの練習に行くと、まったく声を出せませんでした。周りのレベルの高さに、自分をまったく出せていなかったのです。

落ち込む息子を見て、私の中にいろいろな気持ちが湧いてきました。

無理してトレセンに行かなくてもいいのではないか。指導者に何か嫌なことを言われたのではないか。それに、送迎や親同士の付き合いも面倒だな、と思う自分もいました。


それは「息子の課題」だった

でも、ある時気づきました。

これは、息子の課題であって、親の課題ではない、と。

周りのレベルの高さに戸惑い、声を出せず、それでもどうするかを決めるのは、息子自身です。挑戦したいと言ってトレセンに入ったのは、息子です。その中で感じる悔しさも、乗り越え方も、息子のものです。

私が「行かなくていいんじゃないか」と先回りするのは、息子の課題を親が奪う行為でした。そして「送迎が面倒」というのは、完全に私自身の課題であって、息子の挑戦とは何の関係もありません。

挑戦したいと言っている息子の課題と、親である自分の課題を、分けて考える。それが大事だと気づいた瞬間、少し楽になりました。

そして息子は、周りのレベルの高さに「行きたくない」と弱音を吐くこともありましたが、今では毎回、楽しみに通っています。私が代わりに悩まなくても、息子は自分で乗り越えていきました。


アドラー心理学の「課題の分離」

この考え方は、アドラー心理学で「課題の分離」と呼ばれるものです。

自分の課題と、他者の課題を分けて考える。与えられた課題を達成するかしないかは、その本人のものであって、他人がとやかく言うものではない、という考え方です。

子どもが挑戦し、悩み、乗り越えるのは、子どもの課題です。親にできるのは、その課題を奪わずに見守り、必要な時に手を貸せる場所にいることだけ。結果を自分事にして一緒に落ち込むことは、子どもを助けているようで、実は子どもから乗り越える機会を奪っています。

アドラーには「目的論」という考え方もあります。過去の経験のせいで今があるのではなく、今の目的に沿って人は生きている、という見方です。子どもは、過去の失敗に縛られる存在ではなく、今そうしたいという目的に向かって動いている。だから、親が過去の結果を引きずる必要もないのです。

こうした考え方に興味があれば、『嫌われる勇気』という本が読みやすくおすすめです。私自身、いい本だと思いました。


結果を自分事にしないための3つの問い

子どもの結果に感情を持っていかれそうになった時、この3つを自分に問いかけてみてください。

①これは誰の課題か

落ち込んでいるのは子ども自身の課題か、自分の課題か。「送迎が面倒」のような自分の都合を、子どもの問題にすり替えていないか。

②自分は結果を奪おうとしていないか

「やめてもいい」「代わりに言ってあげる」と先回りしていないか。それは子どもが乗り越える機会かもしれません。

③自分の感情と、子どもの感情を分けているか

自分が悔しいのか、子どもが悔しいのか。混ざっていないか。子どもはもう切り替えているのに、親だけが引きずっていることもあります。


まとめ

子どもの結果を自分事にしてしまうのは、愛情ゆえの自然な反応です。でも、それが続くと親も子も苦しくなります。

トレセンで声を出せず落ち込む息子を見て、私は代わりに悩みました。でもそれは息子の課題でした。課題を分けて考えた時、私は楽になり、息子は自分の力で乗り越えて、今は楽しく通っています。

自分の課題と、子どもの課題を分ける。子どもが挑戦し、悩み、乗り越えるのは、子どものものです。親にできるのは、奪わずに見守ることです。子どもの結果に心が持っていかれそうになったら、「これは誰の課題か」と、一度問いかけてみてください。


【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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