同じ学年なのに、体の大きさがまるで違う。あの子はもうあんなに速く走れるのに、うちの子はまだ追いつけない。試合を見るたび、練習を見るたび、「うちの子は成長が遅いのでは」という不安が積もっていく。そんな気持ちを抱えている方に向けて書きました。
実は私自身、中学1年で身長140cm、足も遅く、ヒョロヒョロの子どもでした。この記事では、「遅い」と感じてしまう理由の整理と、当事者だった自分の経験、そして私が焦らずにいられた理由だった母の一言をお伝えします。読み終える頃には、「遅い」の見え方が変わっているはずです。
「成長が遅い」と感じる理由として、一般的に言われること
まず、なぜ親は「遅い」と感じてしまうのか。よく言われる構造を整理します。
比較対象が「できる子」になっている
人は無意識に、目立つ子を基準にします。チームで一番大きい子、一番速い子が物差しになれば、大半の子は「遅い」ことになります。実際、「できる子と比べて遅い」と話す保護者は少なくありません。
成長のスピードには最大2〜3年の個人差がある
同じ学年でも、体の発育には大きな幅があります。早熟な子と晩熟な子では、同じ12歳でも体は別の年齢と言っていいほど違います。
今の差を「能力の差」と読み違える
ジュニア年代の差の多くは、能力差ではなく発育タイミングの差です。でも目の前の試合では同じ土俵で戦うので、タイミングの差が実力差に見えてしまいます。
「遅い」の基準が曖昧なまま焦っている
何と比べて、何が、どれだけ遅いのか。言葉にしてみると、実は答えられないことが多いものです。曖昧な不安ほど、大きく膨らみます。
中1で142cmだった話
ここからは、自分の話です。
私は中学1年の時、身長142cmでした。足も遅く、体はヒョロヒョロ。周りには自分よりずっと大きく、速い子がたくさんいました。
「成長が遅い子」そのものだったと思います。
でも、当時の自分はあまり気にしていませんでした。その理由は、後で書きます。先に、体が小さかったことで何が起きたかをお伝えします。
劣っているからこそ、育つものがある
身体能力で劣っている場合、大きい子や速い子と同じやり方では勝負になりません。だから、工夫するしかなくなります。
体をぶつけられないなら、ぶつけられる前にボールを離す。スピードで振り切れないなら、相手の逆を取る。力で勝てないなら、体の使い方とポジショニングで守る。
結果として、足元の技術や体の使い方が磨かれていきます。
これは私だけの話ではありません。指導現場でも、体格で劣る子ほどボールを丁寧に扱い、周りを見る力が育っている場面を何度も見てきました。「成長が遅い」時期は、実は身体に頼れないからこそ、技術と頭が育つ時期でもあるのです。
体は、いずれ追いつきます。その時、小さい時期に積み上げた技術と工夫が、そのまま武器として残ります。
母の一言|「中学になってから早くなればいい」
では、なぜ当時の私は焦らずにいられたのか。
母が、こう言っていたからです。
「中学になってから早くなればいい。」
どこに何の理由があって言っていたのか、今でも分かりません。何か根拠があったのかもしれないし、なかったのかもしれません。
でも、そのおかげで、私は自分の体の小ささをあまり気にすることなく、サッカーを続けられました。
親の「遅い」という不安は、口に出さなくても子どもに伝わります。逆に、親が「今じゃなくていい」と本気で構えていれば、それも伝わります。母の一言に科学的な根拠があったかどうかは、実はどうでもよかったのです。親が焦っていないという事実そのものが、子どもにとっての安心でした。
「遅い」と感じた時に、確認してほしいこと
不安になった時、この3つを自分に聞いてみてください。
①誰と比べているか
比較対象がチームで一番の子になっていないか。その基準なら、ほとんどの子は「遅い」ことになります。
②遅れているのは「体」か「技術」か
体の発育はコントロールできません。でも、体が小さい今だからこそ育つ技術があります。見るべきは身長や速さではなく、工夫が生まれているかどうかです。
③その不安、子どもに漏れていないか
ため息、他の子を見る視線、「もっと食べなさい」の言い方。不安は言葉にしなくても伝わります。伝えるなら、母の一言のような「今じゃなくていい」の方です。
まとめ
「成長が遅い」と感じる理由の多くは、できる子を基準にした比較と、発育タイミングの差を能力差と読み違えることにあります。
中1で140cmだった私は、体で勝負できなかったからこそ、技術と工夫を磨くことになりました。そして焦らずにいられたのは、「中学になってから早くなればいい」という母の一言のおかげでした。根拠があったかは分かりません。でも、親が焦っていないことが、子どもの一番の安心になります。
お子さんの成長が遅いと感じたら、今日はまず、焦りを見せないことから始めてみてください。そして体の代わりに育っている技術と工夫を、探して伝えてあげてください。
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