強豪チームは本当に良いのか|全国優勝チームのその後から考える

親のサポート術

強豪チームのセレクションを受けるべきか。今のチームから強いチームに移るべきか。「レベルの高い環境の方が伸びる」という言葉はよく聞くけれど、厳しすぎて潰れてしまわないか不安もある。

子どもの可能性を信じたい気持ちと、無理をさせたくない気持ちの間で揺れている方に向けて、この記事を書きました。

25年以上の指導経験と、ある「全国優勝チームのその後」の話から、強豪という選択をどう考えればいいかをお伝えします。読み終える頃には、強豪かどうかより大切な判断基準が見えているはずです。


強豪チームについて、一般的に言われること

まず、メリットとデメリットの両方を整理します。

強豪のメリットとされること

  • レベルの高い仲間と切磋琢磨できる
  • 質の高い指導と練習環境がある
  • 強い相手との試合経験が積める
  • セレクションを勝ち抜いた自信がつく

強豪のデメリットとされること

  • 出場機会が限られ、試合に出られない期間が長くなることがある
  • 競争のプレッシャーが大きい
  • 練習量・遠征が多く、体と生活への負担が大きい
  • 費用がかかる場合が多い

どちらも事実です。ただ、この比較表だけでは見えないものがあります。


全国優勝チームの、その後

もう10年以上前に、スクール経営をしていた友人から聞いた話です。

ある年の全日本少年サッカー大会(全少)で優勝したチームの選手たちを、その後追いかけたそうです。

高校までサッカーを続けた子は、半分以下でした。

小学生年代で日本一になった子どもたちです。技術も環境も、間違いなくトップレベルだったはずです。それでも、半分以上がサッカーから離れていった。

いわゆるバーンアウト、燃え尽きだと思います。強豪だから強くなった。でも、その強度の中で、サッカーへの気持ちが燃え尽きてしまった子が多かったのではないか。その話を聞いた時、そう感じたことを今でも覚えています。

小学生年代の日本一と、サッカーを長く好きでい続けることは、別の話なのです。


「十人十色」のもう一つの意味

十人十色という言葉があります。

普通は「人にはそれぞれ個性がある」という意味で使われます。でも私は、もう一つの意味があると思っています。

「人にはそれぞれの成長がある」ということです。

成長のスピードも、伸びる時期も、伸び方も、人によって全く違います。小学生で花開く子もいれば、中学、高校、もっと後で伸びる子もいます。

高校時代の友達に、偏差値で言うと市内で一番低い高校に行った友達と、一番高い高校に行った友達がいます。

その2人は、同じ大学に進学しました。

どの道を通るかと、どこにたどり着くかは、必ずしも一致しません。強豪チームというのは「今の時点で評価された子が集まる場所」であって、「将来伸びる子が集まる場所」とは限らないのです。


強豪が合う子、合わない子

強豪チームを全否定するつもりはありません。合う子には最高の環境になります。

強豪が合いやすい子

  • 競争そのものを楽しめる
  • 試合に出られない時期も、練習で積み上げられる
  • サッカーへの気持ちが競争によって強くなるタイプ

慎重に考えたい子

  • 認められることでエンジンがかかるタイプ
  • 出場機会がないと気持ちが萎むタイプ
  • すでにサッカー以外の生活とのバランスがぎりぎり

大切なのは、チームの強さではなく、我が子の成長のタイプとの相性です。


判断する時に見てほしいこと

強豪チームを検討する時、確認したいポイントです。

子ども自身が行きたいと言っているか

親の期待が先行していないか。本人の言葉で「行きたい」が出ているかが出発点です。

出場機会が少ない時期を、家庭で支えられるか

強豪では、試合に出られない期間がほぼ確実にあります。その時期に子どもの気持ちを支える準備が家庭にあるかどうかです。

「辞めたい」と言える逃げ道があるか

合わなかった時に環境を変えられる選択肢を、親が心の中に持っておくこと。それだけで子どもへの圧が変わります。

6年後、10年後もサッカーが好きでいられそうか

今の勝利より、長くサッカーを好きでいられるかどうか。全少優勝チームの話が教えてくれるのは、この視点です。


まとめ

強豪チームは、合う子にとっては最高の環境です。ただ、全国優勝チームですら半分以上が高校までにサッカーから離れたという事実は、「強豪=正解」ではないことを教えてくれます。

十人十色には「それぞれの個性」だけでなく「それぞれの成長」という意味もあります。偏差値が市内で一番低い高校と一番高い高校の友達が、同じ大学にたどり着いたように、通る道とたどり着く場所は一致しません。

強豪かどうかで選ぶのではなく、我が子の成長のタイプに合っているか、そして10年後もサッカーを好きでいられそうかで選んでください。それが、遠回りに見えて一番の近道になります。


【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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