結果より過程を認める伝え方|「それは知ってるけど、どうだった?」

親のサポート術

「結果より過程を認めましょう」。子育てやスポーツの記事でよく見る言葉です。理屈は分かります。でも、実際に何と言えばいいのか。「頑張ったね」だけでは薄い気がするし、過程を褒めようにも、そもそも練習を全部見ているわけではない。具体的な言葉が見つからないまま、結局「勝ってよかったね」と結果の話をしてしまう。そんな方に向けて書きました。

この記事では、25年以上の指導と子育てで実際に使ってきた、過程に目を向けさせる具体的な聞き方をお伝えします。特別なテクニックではありません。読み終えたその日から使える、シンプルな言葉の習慣です。


結果より過程を認めることについて、一般的に言われること

まず、よく言われる考え方を整理します。

結果は本人にコントロールできない

勝敗には相手の力や運も絡みます。コントロールできない結果で評価され続けると、子どもは挑戦を避けるようになるとされます。

過程を認められた子は、努力を続けられる

取り組みそのものを認められる経験が、結果が出ない時期を乗り越える力になると言われます。

結果だけ褒めると、結果が出ない自分に価値がないと感じる

「勝ったから偉い」の裏返しは「負けたらダメ」。結果偏重の声かけは、自己肯定感を結果に依存させてしまいます。

どれもその通りだと思います。問題は、これをどう日常の言葉にするかです。


私がいつも聞く言葉は一つだけ

練習後、試合後、子どもや選手にいつも聞く言葉は決まっています。

「今日どうだった?」

これだけです。

ただし、この質問には続きがあります。子どもの答えは、だいたい二種類に分かれるからです。


「楽しかった」と返ってきたら

練習後に聞くと、だいたい「楽しかった」「つまらなかった」という感想が返ってきます。

そこで終わらせずに、聞き返します。

「なんで?」「なにが?」

楽しかったの中身を、自分の言葉で言わせるのです。「シュートが決まったから」「新しい技ができたから」「〇〇と一緒だったから」。理由を言葉にする過程で、子どもは自分の一日を振り返ります。この振り返りこそが、過程に目を向けるということです。


「2-0で勝った」と返ってきたら

試合後に「今日どうだった?」と聞くと、子どもはたいてい結果を答えます。

「2-0で勝った」

そこで、こう返します。

「それは知ってるけど、どうだった?」

結果はもう知っている。聞きたいのはそこじゃない。この一言で、子どもは「何を答えればいいんだろう」と考え始めます。そして、自分のプレー、感じたこと、考えたことを話し始めます。

スコアの手前にある感想や結果ではなく、何を感じたのか、どう考えたのか。それを常に聞く。この習慣が、子どもの中に「振り返る回路」を作っていきます。


「結果はどうでもいいんだけど」という枕詞

もう一つ、意識して使っている言葉があります。

「結果はどうでもいいんだけど、、、」

という枕詞です。

「結果はどうでもいいんだけど、あの場面どう考えてた?」「結果はどうでもいいんだけど、今日一番手応えあったのどこ?」

この枕詞を置くことで、結果より内容が大事だということを、暗に伝え続けています。「結果を気にするな」と正面から説教するのではなく、会話の形式そのものに価値観を埋め込む。子どもは説教は聞き流しますが、毎回の会話のパターンは体に染みていきます。


この聞き方が育てるもの

「どうだった?」「なんで?」「それは知ってるけど?」を繰り返していると、子どもに変化が出てきます。

聞かれる前に、自分から内容を話すようになるのです。

「今日ね、あの場面でこう考えてこうしたんだけど」と、結果ではなくプロセスから話し始める。我が家の息子は、高学年になった今、自分からフィードバックをもらいに来るようになりました。振り返ることが、責められる時間ではなく、自分の成長を確認する時間になっているからだと思います。

過程を認める伝え方とは、親が上手に褒めることではなく、子どもが自分で過程を語れるように、質問の形を変えることなのだと思っています。


気をつけていること

この聞き方にも、注意点があります。

問い詰めにならないこと。 「なんで?なにが?どうして?」と畳みかけると、尋問になります。一つ聞いて、答えを待つ。答えが「別に」なら、その日は深追いしません。

本人に話す余裕がない日は、聞かないこと。 負けを消化できていない日、疲れ切っている日は、「今日どうだった?」すら重い時があります。表情を見て、聞くかどうかを決めます。


まとめ

結果より過程を認める伝え方は、上手な褒め言葉を探すことではありません。「今日どうだった?」と聞き、「2-0で勝った」と返ってきたら「それは知ってるけど、どうだった?」と聞き直す。「結果はどうでもいいんだけど」という枕詞で、内容が大事だという価値観を会話の形に埋め込む。

その繰り返しが、子どもの中に「自分の過程を自分で語る力」を育てます。過程を認めるとは、親が評価することではなく、子どもが自分で振り返れるようになることです。

今日の練習後、まず一言だけ試してみてください。「今日どうだった?」。返ってきた答えの、その先を聞くところから始まります。


【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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