失敗を成長につなげる会話術|何も言わなかったら、息子が自分から言った話

親のサポート術

子どもが失敗した時、この経験を成長につなげてほしい。そう思うほど、つい言葉が多くなります。「なんで確認しなかったの」「次はどうするの」「だから言ったでしょ」。でも、言えば言うほど子どもの表情が閉じていく。失敗を学びに変える会話とは、どういうものなのか。そう悩んでいる方に向けて書きました。

この記事では、一般的に言われる会話のコツに加えて、トレセンの大会で息子がスパイクを忘れた日の話をお伝えします。結論を先に言うと、あの日私は何も言いませんでした。それでも、いえ、だからこそ、息子は自分から変わりました。読み終える頃には、「言う」以外の会話術が手に入っているはずです。


失敗を成長につなげる会話として、一般的に言われること

まず、よく言われるコツを整理します。

失敗の直後に責めない

感情が高ぶっている時の指摘は入りません。落ち着いてから話すことが推奨されます。

「なぜ」ではなく「どうする」を聞く

「なんで失敗したの」は責める響きになりやすく、「次どうしようか」は前を向く問いになります。

失敗の中の良かった部分も見つける

挑戦した結果の失敗なら、挑戦したこと自体を認める。失敗全体を否定しない姿勢が大切とされます。

親自身の失敗談を話す

親も失敗する存在だと分かると、子どもは失敗を隠さなくなると言われます。

どれも有効です。ただ、私が息子から教わったのは、会話術の前にある話でした。


トレセンの大会で、スパイクを忘れた

以前の記事でも少し触れましたが、息子がトレセンの大会でスパイクを忘れたことがあります。

実はあの日、忘れたのは息子だけではありませんでした。もう一人いたのです。

その子は、仲間に向かってデカい声で言いました。「やっちゃった!」と。

一方、息子は誰にも言えませんでした。こっそり私のところに来て、小さな声で打ち明けました。そして「履いてるトレシューを貸して」と言うので、貸しました。

同じ失敗でも、子どもによって反応はまったく違います。堂々と言える子もいれば、言えない子もいる。まずその違いを受け止めることが、会話の入り口だと思っています。


何も言わなかった。そうしたら

大会が終わった後、私はスパイクの件について何も言いませんでした。

「なんで忘れたの」も、「前の日に準備しなさい」も、「気をつけなさい」も、言いませんでした。

そうしたら、息子が自分から言ってきました。

「これからは絶対に忘れない」と。

私が言いたかったことを、全部、息子が自分の口で言いました。


なぜ何も言わなくてよかったのか

この出来事を振り返って、思うことがあります。

失敗した本人は、失敗したことを誰よりも分かっています。誰にも言えず、こっそり親のところに来た時点で、息子は十分に恥ずかしさも悔しさも感じていました。

そこに親が言葉を重ねると、どうなるか。子どもの中に生まれかけていた「次は忘れない」という自分の言葉が、「親に言われたから気をつける」という借り物の言葉に変わってしまいます。

自分で言ったことは、残ります。言わされたことは、消えます。

失敗を成長につなげる会話術の核心は、実は「何を言うか」ではなく、子どもが自分の言葉を言うまで、親の言葉を我慢することなのだと思っています。


「言わない」を支えたもの

ただし、ただ黙っていればいいという話ではありません。あの日、私がやったことが2つあります。

①失敗をリカバリーする手段を渡した

トレシューを貸しました。「忘れた罰として試合に出られない」という状況にはしませんでした。失敗の代償が大きすぎると、子どもは失敗を隠すようになります。リカバリーできる経験が、「失敗しても大丈夫、次に活かせばいい」という感覚を育てます。

②こっそり言いに来たことを、受け止めた

誰にも言えなかった息子が、私にだけは言えた。その事実を、責めずに受け止めました。ここで責めていたら、次の失敗は私にも隠すようになっていたはずです。

失敗を打ち明けられる相手でいること。それが、どんな会話術よりも先にある土台です。


それでも言葉が必要な時は

もちろん、すべての失敗で黙っていればいいわけではありません。本人が失敗に気づいていない時、同じ失敗を繰り返して本人が困っている時は、言葉の出番です。

その時も、順番があります。「どうだった?」とまず本人の言葉を引き出す。本人なりの答えが出てきたら、それを土台に一緒に考える。親の答えを先に言うのは、最後の最後です。


まとめ

失敗を成長につなげる会話術の核心は、上手な言葉選びではありません。子どもが自分の言葉で「次はこうする」と言うまで、親の言葉を我慢することです。

スパイクを忘れた息子に何も言わなかったら、「これからは絶対に忘れない」と自分から言ってきました。自分で言った言葉は、親に言われた言葉の何倍も、その子の中に残ります。

そのために親ができるのは、失敗をリカバリーできる形にしてあげることと、失敗を打ち明けられる相手でい続けることです。お子さんが次に失敗した時、言いたい言葉を一度飲み込んで、本人の言葉を待ってみてください。


【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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