自分で考える力を育てる方法|練習を真似るのをやめた日から変わったこと

練習・上達法

ブラジルから帰ってきたあと、私は他の指導者の練習を真似るのをやめました。

うまくいっている人のやり方をなぞれば近づけると思っていたのですが、そうではありませんでした。先に決めるものを変えたら、練習の中身が根本から変わりました。

この記事では、子どもが自分で考えられるようになるために、大人ができることを書きます。言われたことしかやらない気がする、と感じている方に向けた内容です。

よく言われている方法

自分で考える力を育てる方法として、こういうことがよく言われます。

答えを教えずに質問する。選択肢を与えて選ばせる。失敗させて学ばせる。考える時間を待つ。

どれも間違ってはいません。ただ、これらを実行しようとすると、たいてい途中で苦しくなります。待てないからです。

問題は方法ではなく、その手前にあると思っています。

先読みの天才の正体

大人の中には、子どもが困る前に手を出してしまう人がいます。私も、そうなりがちでした。

次に何が必要か分かるので、先に渡してしまう。転びそうだと分かるので、先に支えてしまう。

これは能力が高いからできることです。ただ、その能力が発揮されるほど、子どもが自分で気づく機会は減ります。

先読みが上手い大人ほど、子どもは考えなくてよくなります。

大人にとって、都合がいい状態でもあります

正直に書くと、指示どおりに動く子は、扱いやすいです。

練習が予定どおり進みます。時間内に終わります。事故も減ります。

だから、意識していないと、大人はそちらへ寄っていきます。「よく言うことを聞く子」を褒めているうちに、考えない子が育っていきます。

ここは、自分で気をつけるしかない部分だと思っています。

遠回りの先に、近道があります

自分で考えさせると、時間がかかります。

間違えます。やり直します。同じ失敗を何度もします。効率だけ見れば、教えたほうが早いです。

ただ、教わったやり方は、条件が変わると使えません。自分でたどり着いたやり方は、条件が変わっても応用できます。

短い期間で見ると遠回りですが、数年で見ると逆転します。

「靴がない!」と言われたら

子どもが「靴がない!」と言ったとします。

多くの場合、大人はこう答えます。「ここにあるよ」

でも、こう聞いてみるとどうでしょうか。「どこを探した?」

そう聞いて、少し待ってみる。すぐに答えを渡さず、子ども自身に探させる。

小さなことですが、この積み重ねが「自分で考えて動く」という感覚を育てていきます。サッカーの練習の中だけで育つものではありません。

練習を真似るのをやめた日

ブラジルから帰ってきたあと、練習の作り方が変わりました。

それまでは、他の指導者がやっている練習を見て、良さそうなものを取り入れていました。うまくいっている人のやり方を真似れば、近づけると思っていたからです。

でも、だんだんそれをやめました。

先に決めるのは、「何を身につけてほしいのか」。そのために必要な経験は何か。そこから逆算して、練習の中身を作るようになりました。

結果として、他のチームでは見ないような練習が増えました。

自分で考える力というのも、たぶん同じ構造をしています。

やり方を教わって、その通りにできることではありません。目的が先にあって、そこから自分で手段を選べること。

だから、子どもに考えさせたいときは、方法を減らすより先に、目的を渡すほうが早いです。

「再現性」という言葉に、少し引っかかります

指導の世界では、再現性という言葉がよく使われます。誰がやっても同じ結果が出る、という意味です。

大事な考え方だとは思います。ただ、子ども相手に使うときは、少し立ち止まります。

再現性を上げるということは、その子の個別の事情を減らすということでもあるからです。

同じ練習で全員が同じように伸びるなら、それは楽です。でも実際は、そうなりません。そして、そうならない部分にこそ、その子の特徴が出ます。

手放したほうがいいもの

自分で考える力を育てたいなら、大人の側が手放すものがあります。

すぐに答えを渡すこと。効率よく進めること。失敗させないこと。そして、思ったとおりに動いてもらうこと。

この4つを少しずつ手放すと、時間はかかりますが、確実に変わります。

方法より先に、目的を渡す

自分で考える力は、質問のしかたや待ち方といった技術より前に、大人が何を先に決めているかで変わります。

目的が本人の中にあれば、手段はだいたい勝手に考え始めます。逆に、手段だけを渡された子は、状況が変わった瞬間に止まります。

私は、真似るのをやめて目的から逆算するようにしてから、練習の中身が変わりました。同じメニューでも、狙いが違えば別物になります。それは子どもにも起きることだと思っています。

今日からできることは、「こうしなさい」を一回だけ「今日は何ができるようになりたい?」に変えてみることです。

最初は答えが返ってこないかもしれません。それでも、聞かれ続けた子は、そのうち自分で決め始めます。

【この記事を書いた人】

ぽこちパパ|Junior Football Base運営者

ジュニアサッカー指導歴25年以上。ブラジル・サンパウロでのサッカースクール設立・運営、Jリーグクラブスクールでの指導、女子チームや発達支援現場での活動を経験。現在はNPO法人を運営し、保護者支援や発達支援にも携わっています。

▶ぽこちパパのプロフィール
https://juniorfootballbase.com/profile/

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