先に書きます。今いちばん伸びている子が、いちばん上手くなる子とは限りません。
私はブラジルで、50歳を超えているような男性が驚くほど上手いのを見ました。特別な練習をしている様子はありませんでした。ただ、好きだから続けてきただけでした。
この記事では、上達する子の共通点を、短い期間ではなく長い時間軸で書きます。うちの子は伸びているのだろうか、と気になっている方に向けた内容です。
よく挙げられる共通点
まず、一般的に言われることを整理します。
基礎技術が身についている
トラップ、パス、ドリブルといった基礎が安定している子は、応用も伸びやすいとされます。
試合を多く経験している
実戦の量が、判断力や状況対応力に直結すると言われています。
体格やフィジカルに恵まれている
身体的な能力は、確かに有利に働く場面があります。
良い指導者やチーム環境にいる
質の高い指導を受けられることも、上達に影響すると考えられています。
これらは間違いではありません。ただ、私が現場で行き着いた答えは、もう少しシンプルなものでした。
結局たどり着くのは「自分でやっているか」
これまで見てきた子どもたちを思い返してみます。
学校で一人ボールを蹴り続けていた子。自分からフットサルに来るようになった子。山で一人遊びを工夫していた子。将棋やお菓子作りに夢中だった子。本やゲームに没頭していた子。家族との時間を大切にしていた子。
練習量も、サッカーへの関わり方も、みんなバラバラでした。
でも共通していたのは、それぞれの時間の中で「自分でやっている」感覚があったことです。
誰かに言われたからではなく、自分でやっている。誰かの答えをなぞるのではなく、自分で考えている。誰かの期待に応えるためではなく、自分で求めている。
自主性は、サッカーの中だけにあるわけではない
大事なのは、自主性は練習の中だけで育つものではない、ということです。
将棋に夢中になっている時も、自分で考え、自分で工夫しています。本を読んでいる時も、自分の興味で選んでいます。家族との時間を楽しんでいる時も、自分の意思で関わっています。
その「自分で」という感覚が、サッカーに戻ってきた時に力になります。
教わった通りに動くだけの練習より、たとえ短くても自分の意思で取り組んだ時間のほうが、深く残ります。
50歳を過ぎた男性が、とんでもなく上手かった
ブラジルで現地の人たちとサッカーをしたとき、50歳を超えているような男性が混ざっていました。
その人が、驚くほど上手かったです。
日本にいた頃、「歳を取ったらサッカーはできない」という言い方を何度か聞いたことがありました。でも目の前にいる人は、そういう話とはまったく関係のないところにいました。
特別なトレーニングをしているようにも見えませんでした。ただ、好きだから続けてきただけなんだろうと思いました。
上達する子の共通点を考えるとき、私はこの人のことを思い出します。
小学生のうちの伸びは、体の成長と、始めた時期でだいぶ説明がついてしまいます。今の順位は、その2つの影響をかなり受けています。
そうではなくて、30年後もボールを蹴っているかどうか。その目で見ると、共通点はかなり少なくなります。
究極は「自分で生きているか」
もう少し大きな話をすると、これはサッカーの上達だけの話ではないと思っています。
自分でやっているか。自分で考えているか。自分で求めているか。それを突き詰めると、究極は「自分で生きているか」という問いにたどり着きます。
誰かに敷かれたレールの上を歩くのではなく、自分の意思で選び、自分の意思で動く。その積み重ねが、サッカーでも、勉強でも、人生でも、成長の土台になっているのだと思っています。
その先にある「深さの追求」
自主性があることは、あくまで入り口です。
その先には、技術をどこまで深められるか、課題をどう乗り越えるか、といった具体的な追求があります。でも、その入り口に立てているかどうかが、何よりも大切だと感じています。
入り口に立てていない子に、いくら高度な技術を教えても、本人の中には残りにくい。逆に、入り口に立てている子は、放っておいてもどんどん深めていきます。
親にできること
上達するかどうかを心配する前に、確認してほしいことがあります。
今やっていることを、子ども自身が「自分でやっている」と感じられているか。練習でも、サッカー以外のことでも構いません。
そこさえあれば、あとは時間が解決してくれることが多いと感じています。
30年後もボールを蹴っているか
上達する子の共通点は、短い期間で見ると増えすぎてしまいます。技術、経験、体格、環境。どれも大事です。
ただ、長い時間軸で見ると、かなり少なくなります。自分でやっているかどうか。それだけです。
私がブラジルで見たあの男性は、上手いから続いたのか、続いたから上手いのか。たぶん後者です。
今日できることは、うまくなるための何かを増やすことではなく、「やめる理由」を減らすことです。送迎がきつい、練習が遠い、道具が合っていない、家で否定される。そういう小さなものが、意外と効きます。
うまくなりたいと思っているかより、やめる理由が見当たらないかどうか。そこを見てあげてください。
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